人材誘致どころか、移民が5年で1万人減の韓国(上)

【失われた20年、日本に学ぶ】

 「活力あふれる開かれた社会を目指し、10-15年で200万人のアジア系移住者を受け入れよう」

 サムスン電子を約10年にわたりリードしてきた尹鍾竜(ユン・ジョンヨン)韓国工学翰林院(韓国工学アカデミー、NAEK)会長は最近、行く先々でこう主張している。少子高齢化による生産年齢人口(15-64歳)の急激な減少が国家競争力の低下をもたらす可能性があることから、それを避けるには外国の労働力を受け入れるべきという論理だ。しかし、現在の韓国はこうした考えに逆行している。国連経済社会理事会によると、海外からの優秀人材が不足している中、昨年までに韓国が受け入れた外国からの移住者は約53万4800人で、5年前に比べ約1万6000人減少した。

首都圏のある大学で、外国人学生がキャンパスを歩いている。韓国の大学で学ぶ外国人留学生は約8万3800人。中国人を除けば、約2万6000人となる。/写真=キム・ヨングク記者
 

高級人材は韓国に見向きもせず

 韓国に移住する外国人は、東南アジアや中国などから中小企業の生産現場、飲食店従業員など低賃金の働き口を求める安い労働力が90%を占める。金融業の一部を除き、高級頭脳は依然として韓国に目を向けていない。

 昨年11月初め、ソウル市陽川区にあるソウル出入国管理事務所を訪れた。2階にある中国滞在管理・旅券交付事務室は、外国人登録証を受け取りにやって来た中国・朝鮮族約100人でごった返していた。電光掲示板には57人待ちと表示されていた。

 ところが、同じ建物の1階にあるグローバル人材・投資外国人誘致支援センターは別世界だった。ここでは企業役員、投資家、教授などいわゆる専門職の外国人を対象に、滞在関連の書類作成や行政手続を支援している。だがこの日、五つある相談ブースは空いたままだった。担当者は「毎日1-2人は訪れるが、きょうはまだ来ていない」と話した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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