人材誘致どころか、移民が5年で1万人減の韓国(下)

【失われた20年、日本に学ぶ】

 短期滞在する低賃金の外国人労働者が主体の「輸血」では、競争力を補う上で限界がある。熟練労働者と高級人材に対し、門戸を開放することが課題とされるが、韓国国内の制度的、文化的な閉鎖性がそれを阻んでいる。

 韓国国民のグローバル化に対する信念や熱情は表面的にはかなり高いレベルにある。国際競争力評価で知られる国際経営開発研究所(IMD)が昨年まとめた報告書によると、「グローバル化に対する態度」で韓国は13位にランクされ、日本(18位)やカナダ(21位)を上回った。

遅れた教育・医療システムが人材誘致の障害

 しかし、韓国は実際には外部の世界にオープンとは言えない。英国出身のエンジニアBさん(38)は2007年、韓国の有名な電子メーカーに破格の条件でスカウトされ、家族と共に韓国に移住した。しかし、1年半後に妻子を英国に帰し、Bさん自身も契約が満了となった昨年8月に帰国した。Bさんは「娘を外国人学校に入学させようとしたが、6カ月も待たなければならないなど、教育環境があまりに不便だった」と話した。

 グローバル化に向けては、韓国人の意識も問題点として挙げられる。LG電子に勤務するマドゥカ・グルンさん(32)は、インドの名門工科大学を卒業したエンジニアだ。彼は最近路上を歩いていたところ、取り締まり班とみられる私服の男性からパスポートの提示を求められた。不法滞在者ではないかと疑われたのだ。グルンさんは、「南アジア系の社員はこういう経験をすることが多い。会社でも、インド・パキスタン系の社員にはパスポートと社員証を常時携帯するようアドバイスされる」と語った。

 こうした社会的、文化的なムードと遅れた教育・医療など社会システムは、外国からの高級人材を誘致するに当たって障害となっている。現代経済研究員のキム・ドンヨル研究委員は、「単純労働者を輸入したドイツは深刻な人種対立を招いたが、専門職を積極的に受け入れたカナダは産業生産力が向上した」と指摘した。

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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