巨大な奉納ウサギに目が釘付け! 豊川市「菟足神社」

(取材日:2010年12月20日)

◆県内唯一。ウサギ紋をあしらった神社
2011年の干支はウサギ。気分的なものかもしれませんが、干支にちなんだ神社に参拝すると、なんだかますますご利益を得られそうな、パワーアップできそうな、そんな気がしませんか?

愛知県内に、ウサギにちなんだ神社はないものか...。くまなく探すと、ありました、ありました。豊川市に。小坂井町にある菟足(うたり)神社です。
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神社の名前に、ウサギの古名である"菟"の字が入っています。これは、この神社のご祭神『菟上足尼命(うなかみすくねのみこと)』からとったもの。菟足神社の神紋(社紋)は、ウサギと、寺院でよく使われる輪法があります。神仏習合の名残のようです。境内をざっと見渡すと、ウサギ紋を多く発見できます。たとえば賽銭箱。
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拝殿や神楽殿、手水舎などの鬼瓦や、燈籠の装飾にもウサギがあしらわれています。 03.jpg
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そして拝殿内部を覗くと......なんと巨大な白ウサギが鎮座している!!
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「これは豊橋市の前芝神明社から奉納された張り子神輿。前芝神明社は毎年十二支の張り子を作っている神社さんで、"ウサギは2体作ったので奉納します"と寄贈していただいたものなんです(笑)。なかなか人気があって、写真を撮りたいという方も多いですね」とおっしゃるのは、今回境内を案内してくださった氏子総代の中村さんと、榊原さん。うん。ウサギファンならずとも、たしかにカメラを向けたくなりますよ、これは。

菟足神社はふだんは無人の神社ですが、拝殿はいつもオープンになっています。とてもおおらかな神社さんで、靴を脱いで拝殿の中に入り、このウサギを撮影してもOKなのだそう。というわけで、マツモトも接近してみました~。......うーん、下から撮るとかわいいんだけど、、、
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横から撮ると、ちょっと怖いような(笑)。
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みなさんもいろんなアングルから激写してみてください。ちなみにこのウサギさん、お正月には、拝殿の前面に飾られる予定だそうですよ。ウサギ年の初詣にはぴったり!ですね。

◆無病息災、学業成就、交通安全等にご利益ありの神社
菟足神社のご祭神・菟上足尼命は、第八代孝元天皇の末裔・葛城襲津彦命(かつらぎのそつひこのみこと)の孫にあたり、第二十一代雄略天皇の時代に、穂の国(現在の東三河)の国造に任命されたという人物。菟足神社は延喜5年(905年)に編纂され始めた『延喜式』神名帳にも登記されているほど歴史が古く、1300年以上前から存在していた古社で、数々の不思議な伝説も残ります。そのうちの1つが、ご祭神・菟上足尼命がこの地に着任したとき、海が荒れていたにもかかわらず無事に到着したというもの。そこから"風に強い神様"と言われ、信仰を集めるようになったのだそうです。
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菟足神社のご加護によって風災を免れた伝説はほかにもあり、こうしたことから毎年4月の第2土曜日・日曜日に、例祭として『風祭(かざまつり)』が行われています。拝殿の中には、御鎮座1300年祭のときに撮影された風祭の様子が写真で紹介されています。
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かつては風祭や近郊の祭礼の露天で郷土玩具の「風車」が売られていました。おもに農家の方々が冬の農閑期に作っていたそうですが、時代とともに風車を作る人も減り、現在では保存会のみなさんが手づくりし、この神社でのみ販売しているのだそう。これが、その風車(600円)です。カラフルでかわいい! 柄の部分には、「三河国 式内菟足神社」と記されています。
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羽根は俵を表していて、全部で6枚あります。つまりは6俵。6俵=350kgのお米にあたり、昔は一反の田んぼから6俵収穫できると、大豊作だったのだそう。単なる玩具ではなく、6俵=むびょう=無病ということで、無病息災。また、心棒の先のガラガラは「打ち出の小槌」を表したもので、中には小豆が入っています。マメ(健康)でよく回る風車のように、仕事や商売、お金がよく回る縁起物としての意味も併せ持ちます。江戸時代末期からこの風車は、家の戸口などに飾られていたのだとか。回るとカラカラとかわいらしい音が鳴って和みます。

菟足神社で受けられるご神徳は、「無病息災」、「学業成就」(知恵を意味する社宝である「大般若経」のご神徳でもあります)、「交通安全」(昔からの海上交通のご神徳)。風を司る神様ゆえ、生活全般で"風通しがよくなる"ことも期待できそうですね。

◆お祭りや縁起物にも注目!
菟足神社がもっとも賑わうのは、先ほど紹介した風祭。2011年は4月9日(土)・10日(日)に開催されます。12羽の雀を奉納してその年の豊作を占う伝統神事や、山車の曳き回し、手筒花火・仕掛け花火などの奉納が行われます。ご覧の通り、拝殿へと続く石畳が赤茶けていすが、これは風祭のときの花火で焼けたあと。
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そしてもう1つのお祭り、『御田祭(おたまつり)』は、毎年旧暦の1月7日に行われる神事。2011年は2月9日(水)に開催されます。田打ち、籾撒き、鳥追いなどの昔ながらの田植えから収穫までの工程を、唱と踊りで表現する豊年の予祝行事。現在、県の無形文化財に指定されています。

じつは菟足神社には弁慶が書いたという伝説のある『大般若経五百八十五巻』(国指定重要文化財)や、県の有形文化財に指定されている梵鐘、北条氏綱の鞍と言われている『唐花唐草螺鈿鞍』(市指定重要文化財)など、貴重な社宝も多いのですが、残念ながらいずれも非公開。ただし、毎年旧暦の4月11日(直近の日曜日・2011年は5月8日)に行われる『旧祭(大般若経転読式)』では、大般若経のうち一巻のみ展示され、一般公開されます。
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ふだんは無人ですが、お正月の3が日(2011年は1月1日~16日)には授与所も開いていて、お守り(500円)や絵馬(700円)、風車などが購入可能(不在の場合も、授与所の窓に貼ってある連絡先に電話すれば開けてくださいます。心配な方は事前に神社に問い合わせを)。
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今年からは、新たにラブリーなウサギストラップ(根付。500円)も登場しました。
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いずれもウサギづくしです。ちなみにウサギはついていませんでしたが、おみくじ(100円)もありますよ~。2011年はウサギパワーにあやかって、軽やかに飛躍したいものです!


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