【東京】沖縄などの海底に眠るレアメタル(希少金属)や金、銅などを含んだ海底鉱物の採掘を目指す資源エネルギー庁が、民間企業や有識者と共同で海底採掘ロボットの開発に本格着手する。政府は2008年に策定した海洋基本計画で、沖縄トラフ伊是名海穴や小笠原諸島のベヨネーズ海丘での海底鉱物採掘のシステム開発を明記。11年度はロボットが海底で移動するための実験を予定しており、約10年後の商業化を目指す。
海底には地上より多くの希少な鉱物があることが分かっているが、深海を採掘するシステムは世界でも実現していない。希少鉱物の採掘に向け、海外では実用化の競争が始まろうとしている。
政府は資源開発を目的に08年に海洋基本計画をまとめ、09年~10年度は沖縄や小笠原で環境調査をしてきた。将来の新エネルギーに想定されるメタンハイドレートに加え、金や銅、亜鉛、鉛の鉱物採掘も期待しており、中国やロシアからの輸入が大半を占めるレアメタルも採掘の可能性があるという。
ただ、採掘には深海掘削の機器や、採掘した鉱物を海上の船まで引き上げる輸送システムが必要。11年度は掘削ロボットが海底で移動するための走行用ベルトなど、駆動系の実験を水中で行うという。
同庁は「世界でも初めての開発となるため正確な開発費用は分からないが、全体で1000億円ほどになるのではないか」としている。