ここから本文エリア 【離島から夢の舞台へ】信念の指導揺るがず2011年01月29日 ◆佐渡高校甲子園出場(上) 佐渡高の深井浩司監督(48)は今も忘れられない日がある。 同校に着任したばかりの2006年4月。野球部員を前に「甲子園に行くために佐渡に来た」とあいさつした。すると部員から失笑が漏れた。 「甲子園なんて行けるわけねえっちゃ」 部長を経て06年7月に監督に就任。キャッチボールや全力疾走といった基本的な練習から厳しく鍛え始めた。そこで気づいたのは部員の生活態度が乱れていたこと。あいさつができず、遅刻や授業中にいねむりをする生徒もいた。 「野球だけがうまくても社会では通用しない。人間力、すなわち人間として生きていく力を身につけてほしい」と、日ごろの行動規範などを定めた60カ条の「選手心得」を作った。だが、その教えはなかなか浸透しなかった。 練習試合で選手が悔しさまぎれにバットやヘルメットを投げつけたことがあった。深井監督は部員たちを諭した。「道具を粗末にする者が甲子園に行けると思うか。おまえたちは甲子園に行きたくないのか」 以来、部員たちは気持ちを入れ替えて練習に励むようになった。当時のエース中河達哉さん(現国学院大)は「深井先生を信じてついていけば本当に甲子園に行けるかもと思った」と振り返る。 そして08年夏。県大会で佐渡高は快進撃を見せた。チームが一丸となり、決勝へ進出。延長戦の末、涙をのんだものの、「佐渡でもやればできる」と島民を勇気づけた。 この7年間の経験が現在の指導の根底にある。「指導者が信念を持てば生徒はついてきてくれる。離島であっても甲子園に行けるんだと」 ◇ 離島のハンディを克服して佐渡勢として初めて甲子園への切符をつかんだ佐渡高校。ここまでの道のりと、大舞台に向けての意気込みを紹介する。
マイタウン新潟
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