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裁判官は同一、裁判員は別々 同じ事件で実刑と無罪

2011年1月29日

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 覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)などの罪に問われたイラン国籍のアブディ・スマイル被告(42)=名古屋市中区=の裁判員裁判の判決が28日、大阪地裁であった。樋口裕晃(ひろあき)裁判長は「被告から指示を受けて密輸しようとしたとする共犯者の供述は信用できない」と述べ、無罪(求刑懲役18年、罰金800万円)を言い渡した。裁判員裁判での全面無罪判決は4例目。

 樋口裁判長ら裁判官3人は昨年3月、別の裁判員6人とともに共犯者とされた日本人の男(37)について審理。アブディ氏が指示役だったと認め、男に懲役13年罰金700万円を言い渡していた。アブディ氏の弁護人の小林徹也弁護士は「共犯者の供述に頼ったずさんな捜査だった。裁判官3人は共犯者を有罪と判断していたので、今回の判決は裁判員の声が反映された」と述べた。

 アブディ氏は2009年7月に男ら数人と共謀し、覚醒剤約4キロを隠したスーツケースをトルコから関西空港に持ち込もうとしたとして起訴された。アブディ氏は捜査段階から一貫して関与を否定していた。

 28日の判決は、アブディ氏の指示で密輸しようとしたと公判で説明した男の供述の信用性について検討。「将来的に暴力団関係者が自分に危害を加えることを防ぐため、捜査が進展しないよう被告(アブディ氏)から指示されたと虚偽の供述をした可能性がある」などと指摘した。

 判決後、アブディ氏は「(裁判員に)ありがとうと言いたい」と話した。裁判員を務めた自営業の女性は記者会見で「十分に評議した」とし、会社員男性(54)は「捜査の幕を引かず、背後関係を明らかにしてほしい」と語った。(岡本玄、平賀拓哉)

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