政治【産経抄】1月29日2011.1.29 03:16

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【産経抄】
1月29日

2011.1.29 03:16

 1957(昭和32)年10月4日、世界中が衝撃に包まれた。ソ連が人類初の人工衛星スプートニク1号を軌道に乗せるのに成功したからだ。日本でもアマチュア無線家らが、900キロの上空からやってくる発信音を捉えるのを競った。

 ▼衝撃は科学の進歩に対する驚きのためだけではなかった。当時の社会主義大国、ソ連がもうひとつの大国、米国に先んじて打ち上げに成功した。そのことで世界の超大国間の政治的、軍事的バランスが崩れることを予感させたからである。

 ▼米国のショックはもちろん甚大だった。人工衛星の成功は米ソの大陸間弾道ミサイルの精度の差を見せつけた。これではソ連の攻撃から自国を守れないとの危惧が広まる。しかもソ連の狙いは自らの力を見せつけることで、アジアの国々などを陣営に引き寄せるところにもあった。

 ▼案の定、日本でもソ連の科学に対する礼賛が始まる。「社会主義の自由主義に対する勝利」との見方さえされ、いわゆる「左派」を元気づかせた。2年半後の「安保闘争」で、日本人の反米意識が強まったのも、このスプートニクの成功と無関係ではあるまい。

 ▼それから50年余りがたち、オバマ米大統領が一般教書演説でこのスプートニク・ショックを取り上げた。その後の米国が宇宙開発など広い分野で巻き返したことを例に、米国経済の競争力回復を訴えたのだ。経済成長著しい中国を意識していることは言うまでもない。

 ▼日本もその後、自ら高度経済成長を成しとげることで「ソ連の誘惑」を振り切った。しかし今、新たな社会主義大国、中国の誘惑を乗りこえる力があるのだろうか。経済には「疎い」らしい菅直人首相のもとでは何とも心もとない。

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