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口蹄疫・鳥インフルエンザ

初発、国と異なる見解 県委口蹄疫最終報告

2011年01月28日

 宮崎県で昨年4月に発生した家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)に対する国や県の対応などを検証してきた同県の口蹄疫対策検証委員会(座長・原田隆典宮崎大教授)は14日、最終報告をまとめた。最初のウイルス侵入について国の疫学調査チームの推定と異なる農場の可能性を指摘。一方で、感染原因の特定には至らず、「意図的な見落としや報告遅れはない」とした。

 国の疫学調査チームが昨年11月に出した中間報告では、発生確認6例目の水牛農家(都農町)が最初のウイルス侵入農場と推定された。最も早い3月26日に初期症状が確認され、同31日に採取した検体が遺伝子検査で陽性だった。同チームは今年度末までに最終報告をまとめる。

 これに対し、県の検証委は、7例目の大規模牛農場(川南町)の可能性を指摘した。この農場では3月下旬に体調を崩した牛がいたことが聞き取り調査でわかり、最終報告で「6例目が初発と結論づける明確な根拠はない」とした。この農場では1人の専属獣医師が多数の関連農場も担当していたことから「家畜伝染病予防法だけではなく、獣医師法に照らしても問題がある疑いがある」と指摘。7例目の発生以降、殺処分が顕著に遅れ始めたともした。

 農林水産省の対策検証委員会は昨年11月の最終報告書で県の初動の遅れなどを指摘した。これについて、県の最終報告は「県は防疫指針に基づいて、基本的に国と協議しながら対策を講じており、むしろ問題は防疫指針を超える対応が取れなかったことにある」などとした。また、国の対応については、ワクチン接種はもっと早い時期に決定されるべきだったとした。

 県の問題点としては、事前に埋却地が準備されていなかったことなどで家畜の殺処分に時間がかかり感染拡大の要因となった▽口蹄疫を想定した研修や訓練がされていなかった▽口蹄疫の可能性が否定できなければ速やかに国に検体を送る判断も必要だった▽当初は民間の獣医師の活用が不十分だった▽事態の進展に追いつかず、人員の有効活用や計画的な処理ができなかった――などを挙げている。

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