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きょうのコラム「時鐘」 2011年1月29日
ベートーベンは1770年生まれで、1800年前後に活躍した。日本で言えば200年以上前の江戸時代の人に相当する
以前、クラシックに詳しい落語家が、アンサンブル金沢の演奏会で司会をした。「ベートーベンのころのバイオリンを持っている人いますか」と変な質問をしたところ4、5人もの手が挙がり会場がざわめいたことがあった きょう金沢で1736年に制作された「人類の遺産」とも称されるバイオリンの名器、ストラディヴァリウスとデル・ジェスを弾き比べる演奏会がある。モーツァルト(1756年生まれ)以前に作られた弦楽器である 家を売って一挺のバイオリンを買ったバイオリニストが話題になったことがある。今なら家一軒では買えないという。300年近くも前の楽器が現役で、最新の楽器が追いつけないとは、おとぎ話のようである。現代の演奏者の古い楽器へのこだわりもまた興味深い 「弘法は筆を選ばず」と言えば陳腐な例えだが、本当の弘法は良い筆を選んだという。名演奏家は名器を選ぶ。古ければ古いほど良く、ますます貴重。人間もそうありたい。 |