< ボクスター長期テスト>第6回 〜6500km  (2006/10/15)

6月初旬に納車されたボクスターは約4ヵ月半が経過して、現在の走行距離は約 6,500km。月平均で約1,450kmとなり、これは早く思う存分回したいために最初の3000kmまでは毎日通勤に使って慣らし運転をしたためだが、その後 も月平均1 ,200km程のペースで距離が上がっているから、一年後は15,000km程度と予想される。最初は年間1万キロの予定だったから5割増しとなった訳で、結構セーブしてもこれだから、乗りたいだけ乗ったらば年間2万kmは軽く越えそうだ。 やはりボクスターというクルマは、用も無いのについつい乗りたくなる楽しさがある。

3,000km点検を終ってから約3ヶ月が経過したが、その後は特に変わったこともなく、不具合と言ったらエンジン始動前にフロントやリアのトランクが勝手にパコッと開くことくらいだ。この現象はエンジンを始動後には起きた事がないので少なくとも危険はないが、ドシャ降りの雨の日にずぶ濡れでやっと車内に潜り込み、さあてエンジンを掛けようかとキーを差し込もうとした瞬間に、リアから微かに例のパコッが聞こえて、もしやと正面のディスプレイを見ると、やはりトランクが空いている表示が出ている。勿論、この大雨に再度ドアを開けて外に出て持ち上がったトランクカバーをコノォっ!と押してから、ドライバーズシートに収まった時には、ビッショリとなっていたのは言うまでもない。

クルマというのは実際に毎日乗ってみないと判らない点は多いが、そのなかでも 意外に知らないのがワイパーの実際で、確かに普通は雨天の試乗なんてやらないから、これは買ってから気が付く場合が多い。それでボクスターのワイパーはと言えば、目で見てもRHD専用となっていて、左と兼用ということはない。話が飛んでしまうが、BMW5シリーズのRHDはワイパーがLHDと共用になっていて、ワイパーアームの支点が左にある。一時期 商用BBSで手抜きだ何だと大騒ぎをしていたが、確かにマークXのワイパーを逆につけたら右上部に死角ができて危なくてしょうがない。 ところが、5シリーズのワイパーは特殊なリンクで、45°付近ではアームが伸びるために拭き残しは殆どでない。これは実際の雨の日に乗ってみないと判らないし、国産車の知識だけで判断すると、無知を曝して恥ずかしいことになる。


写真1
 

話をボクスターに戻すと、先ず特徴としては写真1で判るように下側に全く拭き残しがでない。これはボクスター(当然部品を共有しているカレラも同様)の着座位置が低く視線も低いために、フロントウインドウの下端一杯までの視界を確保しようという目的と思える。 この辺のところは買って見ないと判らない部分でもあるが、流石はポルシェで、心配しないでもチャンと良心的な設計をしている。これがブランドという物だろう。

と、此処まで絶賛してしまったが、この辺でボクスターのワイパーの不満点を挙げてみよう。それは速度感応式ではない事だ。ある程度のクラス以上の最近のクルマのワイパーは、例えば走行中は連続で動いていたワイパーは停車と共に 間欠式に切り替わる。 走行中に比べてフロントウィンドウに水滴が付くのが少ないからで、停止中も同じ頻度でワイパーを動かすと走行中より少ない水分のために、ゴムがビビッたりガラスを擦って傷を付けたりと良い事はない。 そこで、 ワイパースイッチが連続位置でも停止すると間欠動作になったり、間欠位置でもタイミングが長くなったりするのだが、ボクスターにはそんな機能は付いていないから、連続位置で停車したら自分で間欠に切り替えることが必要になる。まあ、ミッションをマニアルで操作するのと同じと思えば腹も立たないが。


写真2
 

ボクスターは低着座姿勢によって写真2のように、運転中の視野の下3分の1が計器の部分となり、視界の中心部分は直前の車の中心となる。最初は一般的なサルーンに比べて上下方向の視界の狭さに不安を感じるが、 慣れてくると回転計の針の動きが正面を正視したままで、視線を変えずに認識できることに気が付く。ここぞの加速が必要な時に、スロットルペダルをベタ踏みしながら、視線の中心は相手のクルマや道路を見て、下の1/3の見える朱色の針を認識すれば、視線移動なしに安全に最適な回転数まで引っ張ることが可能になる。 この感覚を覚えるのに約5,000kmの走行を要したが、最初からこの事が判っていて意識的に認識するようにすれば、少しは早くマスターできるだろう。どんなにクルマの運転経験が長くても、初めてのポルシェの場合は一人前のポルシェ乗りになるために多少の修行が必要なようだ。現在ポルシェを予約中で納車待ちのかたは、納車されてからの“修行”を楽しみにしながら、待ちどおしい気持ちを少しでも抑えてみては如何だろうか? えっ?返って待ちきれなくなってしまったんですか?
うわぁっ、余計な事を言ってしまった・・・・・・反省。

   

走行距離が6,000kmを過ぎたこともあり、エンジンは納車当時に比べ明らかにスムースになった。条件の良い時を狙って偶には7,000rpm近くまで回すようにしているが、1速で目一杯引っ張ってみれば結構速い。最近はタイミングを体が覚えたので レッドゾーンの寸前でシフトアップが出来るようになったが、最初は回し過ぎを警戒して早めにシフトアップする傾向があったし、一度はチョッと油断したらアッという間にレッドゾーンに飛び込み、期せずしてリミッターの作動確認テストをしてしまった事があった。ポルシェエンジンのレッドゾーンというのは、マダマダ幾らでも回るけれど耐久性を考えて、これ以上は回さないように、という意味と思えば良い。そういえば、35年程前に乗ったアルファロメオ1750GTVが、やはり回転計を見ていないとアッという間にレッドゾーンに飛び込むのを見て、なる程回転計と言うのは飾りではないのだと感心したものだった。その当時の国産車と言えば、回転計のレッドゾーンなんてハッタリも良いところで、実際にそこまで回らないのが普通だった。その名車であったアルファロメオも今では当時の面影はない。それでも一度は死にかけたものの何とか生き返ったとはいう物の、当時にを知る人から見れば何とも情けない。

ボクスターの耐久性や信頼性を語るときに誰でも一番の関心は、ソフトトップが実用的な用途に耐えられるかということだろう。結論から言えば全く問題なし。既に何度も紹介しているがボクスターのソフトトップは、クローズ状態の時の室内からの質感は全くハードトップと同じで、天井の内装の出来もソフトトップとは信じられないくらいに良く出来ている。 内装は良いとしても、一日中外気や埃に曝されているキャンバスの掃除は如何するのかという疑問が湧くだろう。納車時に担当のセールス氏に手入れ方法を聞いたら、全く何もしないで良いとの事だった。半信半疑で何もしなかったが、1ヶ月経ち、2ヶ月が経っても確かに埃もゴミも付いていない。まるで洗濯したての生地の状態が続いている。写真3をクリックして拡大し、その表面の状況を見て欲しい。 これは、3ヶ月間何も手入れというものをしていな状態だから、確かにメンテフリーという事になる。
次の心配は高速などでソフトトップがバタついたりしないかという疑問だろう。これも何度も紹介しているが、改めて説明すると、ドアが完全に閉まる前は写真4のようにサッシレスの再度ウインドウは上端の内側側面がパッキンに当たってはいるが、完全な密閉状態ではない。 その後、再度ウインドウは更に10mm程上昇して、ソフトトップの再度にある樹脂製のフレームに食い込むことで、完全に密閉される (写真5)。この構造は同じポルシェのクーペであるカレラやケイマンには当然採用されているし、BMWのサッシレスクーペであるCi系にも採用されている。ポルシェのライバルでもあるE46のM3もこのタイプとなっている し、 国産車ではフェアレディZが同様にドアを閉めた直後にサイドウインドウが上昇してルーフ側に食い込んで密閉される。BMWのミニも低価格ながら同じ構造を採っている。 これに対して、レガシィはサッシレスドアであるにも関らず水平方向に押し付けるだけ。折角基本性能が良いのに、最悪なシートや手抜きのサッシレスドアに拘ったりして自ら2流品の道を歩んでいる のが何とも惜しい。


写真3
 
写真4
   
写真5

今まで使ってみて、確かにソフトトップは十分信頼できるレベルだったが、それでは最悪の条件では如何なのだろうという疑問も湧く。上手い具合に10日程前に台風並みの低気圧の影響で一晩中強い風と豪雨に曝された時があったが、 翌日晴れてから車の中を点検した結果は全く水漏れはなかった。
実はその豪雨の夜はボクスターで出かけていたために、帰宅時は一般道の冠水を心配して高速道路を使ったのだが、あのくらいの豪雨になると、 ミッドエンジン車の挙動は何とも怪しいし、低い運転姿勢からの視界の悪さに加えて前を行く他車の水しぶきをモロに浴びて更に視界が悪くなる。 これではとてもではないが100km/h程度が良いところだった。これに比べると前ファミリーカーだったBMW320i(E46)は、同じような状況で120km/hを維持するは実に簡単だったし、 こういう場合の緊張感の無さでは20年程前に乗ったメルセデスEクラスが抜群だった。その後、豪雨の中でメルセデスを運転する機会がないので何ともいえないが、最近のモデルは如何なのだろうか?


写真6

 

ボクスターにも最近の欧州車には定番となった、各種情報を表示するオンボードコンピュータが装備されている。この表示が納車時には日本語表示と言えば聞こえは良いが、要するに半角カタカナ表示で非常に見難かった(写真6)。ドイツ人にしてみてば、日本向けには日本語でという親切のつもりかも知れないが、この表示はいただけない。 説明書を見るとステアリングコラム左の2本のレバーのうちの下側にあるファンクションレバーで意外と簡単に切り替えられるようなので早速やってみた。結果は写真7のようになったが、最初はこれも違和感があって何故かと考えてみたら、この手の表示は普通大文字が多いのに、ポルシェの表示はご丁寧にも小文字を使っている。これは慣れの問題かも知れないので今はそのまま使っているが、 それでもカタカナ(それも半角)よりはマシとも言える。
エンジンを始動後にシートベルトを装着していないと写真8のようにディスプレイに警告が出る。それも全体の2/3のバックが赤く表示され、これを見落とすことはあり得ないという程にしつこく警告する。ただし、ステアリングコラム左下のファンクションレバーを手前に引くと通常表示に戻るので、シートベルトなして運転する場合、例えばドライバーが妊娠している場合などに対応している。その場合でも中央のメーターの右下の警告灯(写真7の状態)は点灯し続けている。臨月が近い女性がポルシェを運転するかという突っ込みはこの際 置いておくとして、 ワンタッチでキャンセルできるのは停車中にディスプレイを見たい時にも一々シートベルトが必要などという漫画みたいな状況にはならないので重宝する。


写真7  


 


写真8

 

実は先日のSLK試乗の直後に比較用としてポルシェカレラに乗ってみた。カレラとしては装着オプションも少なくて、言ってみれば素のカレラというクルマだった。エンジンを掛けて最初に感じたのはアイドリングが結構振動を伴うことだ。SLKは勿論、ボクスターと比べてもアイドリングに合わせて、ブルブルと車体全体が振動する。なにしろ、金庫のようだと喩えられるカレラのボディ剛性だから、振動が直接伝わることもあるが、6気筒で3.6ℓという排気量はシリンダー当たりの排気量からいえば大きめなことは間違いない。一般にガソリン車の場合はシリンダー当たり0.5ℓくらいがパワーと滑らかさの両立と言う面では最良とも言われている。すなわち、6気筒ならば3.0ℓ辺りが一番良い訳で、それを越えれば、どうしてもラフになりやすい。逆に6気筒で2.7ℓのボクスターはパワー(トルク)はイマイチでもスムー ズさと言う面では非常に有利になるし、初期型ボクスターの2.5ℓなら更に一段と有利になる。BMWの2.5や3.0は排気量の面からも直列6気筒という構成の面からも有利なことがシルキーシックスの原因の一つともなっている。 とは言っても、それで全てが解決するわけでもなく、旧クラウンやマークUも直列6気筒2.5ℓだったがシルキーとは言えなかったし、その昔のニッサンの主力エンジンだったL型エンジンなんて、本当にこれが直6かと疑いたくなるほどに振動が大きく、スムー ズとは縁遠い特性だった。
この時のカレラはオプションのPASMが未装着だった。カレラSには標準で付くのだがカレラはオプションとなる。試乗車の走行距離が3000kmと少ないこともあるが、それにしても毎日乗りなれているPASM付きのボクスターに比べると明らか乗り心地が硬い。別に我慢できない程ではないが、路面によってはガツンッとくる。PASM付きボクスターは前車のBMW320i(E46)と比べても勝るとも劣らない乗り心地の良さだから、この差は大きい。以前試乗したカレラSは恐ろしく乗り心地がよく、相当な高級車でも敵わないだろうという程だったから、PASMの効果は絶大なのは間違いない。この辺は好き好きだろうが、予算があればPASM装着装着は決して裏切らなるだろう。

      

以前から、このHPでのチョットしたスペルミスや変換ミスに対して誹謗するメールなどが偶に来ている。まあ、これ程までに国産車をボロクソにバカにしているし、 間接的に所得の低い層をバカにしていると思われてもしかたが無い内容になっているのは事実だ。実を言えば、このHPは総額では500万円以上のクルマを買おうとしているユーザーの参考になるようにというのが趣旨となっている。 実際に掲示板に書き込んでくれる常連さんたちはBMW530iクラスが多く、中にはメルセデスSLやM5など軽く一千万の大台を超えるクルマのオーナーもいる 等、 普通のクルマサイトでは有り得ないような状況になっていて、一番貧乏なのは B_Otaku 本人ではないかという意見も多い。

それでは、このHPが目障りでしょうがないというのは如何いう連中なのだろうか。B_Otaku 掲示板への程度の低い嫌がらせは明らかにガキの仕業と思えるが、嫌味なメールは如何考えてもいい歳をし たオッサンのようだ。 そこで、ここは一つ想像力を発揮して、この嫌味オヤジの実態を推理してみよう。


若い頃は革新政党を支持していたし、当時は自家用車に乗るなんて言うのは環境を破壊するし悲惨な交通事故の元だから、もっと規制するベキだと主張していた。子供が生まれて手狭になった2Kの民間アパートからやっと順番が回ってきた公営住宅に住んでからは、団地内の駐車禁止運動を一生懸命にやったものだ。 それから10年後には必死で貯めた頭金を元に念願の我が家を手に入れた。勿論、マンションなんて団地と変わらないものを買うなんて事は考えもしないから、とに角一戸建ての買い得物件を探した。そして見つけた土地が90uの付きの一戸建ては何と駐車場が付いていた。最初は辛かった住宅ローンの支払いも、インフレによる物価上昇と、それに追従するように給料も上がったことで結構楽になってきた。 公営住宅に住んでいた頃はクルマは敵だと思っていたが、一国一城の主となった今は既に革新政党の親派からも足を洗った。 何より駅前駐輪場まで3kmの道のりを毎朝夕に自転車を漕ぐのも疲れてきた。そこで一大決心をして買ったクルマがスターレットだった。何しろ、市道から自宅までの道路はすれ違いが出来ない農道なので、余り大きなクルマは自信が無いし始めてのクルマだから、安いに越したことはなかった。
7年間乗ったスターレットも大分ガタがきたし、思い切って買い換えたのが世界一と言われるカローラだった。1.3ℓのスターレットに比べて流石に1.5ℓはトルクがあるし、ボディだって大きいから女房の実家に帰省するのだって楽チンだった。 この頃、既に流行り始めていたミニバンというのがあったが、予算から言って200万円は出せなかった。それに、買い得感でもカローラが一番だったから、見る目のあるユーザーはセダンを買うんだと納得しながら、自分の知識に酔ったものだった。 そして、その7年後に買ったのがアリオンA18だった。今度は何と言っても1.8ℓで大きさも大きい。自宅のカーポートには一杯で殆ど隙間がないから最初は苦労したけれど、それにも増してエンジンのトルクがあるから高速道路でも実に速いし安定している。 女房の実家へ向かう東北道では速い流れについて行くのに生まれて始めて130km/hなんていう超高速走行をしてしまった。スターレットに乗っている当時は100km/h以上の速度を出す車を見て何て無謀なんだろうと思ったが、このアリオンに乗り換えてからはクルマの実力の違いを思い知ったものだ。
ちょうどアリオンを買った後に、初めてパソコンを買って自宅にADSLを接続した。子供達が必要だし自分自身も職場にPCが導入されて、将来を考えれば自宅でもPCは必要と思って安いノートPCを買うことにした。そして知ったウェブの世界は正に異次元のようで、特に掲示板というのに凝ってしまった。 最初は読んでいるだけだったが、意を決して投稿してみたら直ぐにレスがついて、その後はドンドンとハマっていった。特にクルマの掲示板では日頃腹が立っていた左ハンドルをコテンパンに貶してストレスを発散したし、 輸入車なんて国産の2倍もの価格をボッタクって、オマケに故障も多いなんて日本人を舐めているのだし、あんな物を喜んで買う金持ちが鼻持ちならなかったから、 もう書き始めたら終わりがない争いだった。
そんな時にB_Otakuのクルマ試乗記とかいうとんでもないサイトに行き当たった。国産車をバカにして、非現実的な価格のクルマの試乗記を書きまくって、一体何様のつもりなんだ。 それに掲示板には700万円もするクルマが納車されましたとか、一千万以上もするクルマのオーナーが掲示板で今度は是非私のクルマに試乗してみてくださいなんて書いている。 どうせ脳内オーナーに違いない。大体、そんな高価なクルマはヤクザか芸能人しか買うわけがない。もっと気に食わないのは、長期テストとか言って自分のクルマを自慢している。本当に自分で買ったのかも怪しいもんだ。 以前自分でも、ある掲示板にポルシェを買ったと書いたら、車種は996かなんて訳の判らないことを聞かれたので、いや私のポルシェは911だと言ったら大笑いされてまった。
何れにしてもB_Otakuという奴には腹がたったので、メールで嫌味を言ってやった。ざまあ見ろ。

 

と、まあ想像してみたのだけれど、どんなもんでしょうね。 あっ、社長!何を悩んでるんですか?
えっ、「90uの土地に一戸建ての家なんて建つ訳が無い」ですって?庶民の建売なんてそんなものですよ。 はあっ?会社の取引関係のサラリーマンの買った建売は土地が60坪だと言っていた、ですって。それって、都市銀行の担当者(名刺の肩書きは支店長代理だが、何故かその 上司は課長だ)でしょう。

人間と言うのは自分が世間の標準と思っている場合が多いようで・・・・・。

1