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[25514] 【習作】 何かがおかしいブリーチ
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:19dedca9
Date: 2011/01/21 04:56
  何かがおかしいブリーチ





 何かがおかしい鰤。

 

 

 虚夜宮〈ラス・ノーチェス〉。

 数多の虚の頂点に立つ大虚達の本拠地にしてその象徴。

 虚圏でも最も強大な虚達に護られた砦は、例え護庭十三隊の死神でさえ容易には近付く事は出来ない。

 難攻不落の名を千年以上も冠して来た要塞の最奥。通称玉座にて。

 そこには一人の男が静かに腰掛けていた。

 藍染惣右介。今より遡ること一月前、尸魂界に宣戦布告を果たした大逆人である。

 此処に彼が居る事。玉座を占有している事。

 それだけで誰もが理解する。この男が虚圏を掌中に制した事を。

 かつて。それ程遠くない昔、玉座に腰を下ろす事が出来たのは一人の王だった。

 大帝バラガン。虚の神を名乗る最上級大虚〈ヴァストローデ〉。

 強大無比な、正に神の如き力を誇った最強の亡者を。

 彼は完膚無きまでに下した。まるで、赤子をあやすかのように、いとも簡単に。

 大勢は崩れた。虚だろうが死神だろうが関係無かった。その時より男は。

 藍染惣右介は虚の王となった。

 

 

 「死にたい・・・」

 男は頭を抱えていた。完全に俯き、目は虚ろだった。

 明らかに尋常では無かった。その言葉通り、本当に死を望んでいるのかもしれない。

 何故此処まで追い詰められているのか。

 無様というだけでは語り尽くせない彼の姿は。虚圏の王、藍染惣右介とは余りにもかけ離れていた。

 一体何があったというのか。万人が衝撃を受ける様な哀れな背中。

 平素の彼を知る者達からすれば目を疑う光景である。だが、蓋を開けて見ればどうという事は無いのだった。

 本当に些細な理由だった。実の所、誰も理解していないのだ。真実を。

 では、少しだけ。ほんの少しだけ覗いて見るといい。鉄壁の霊圧にとり囲まれた、彼の「心」を。

 

 もう許してくれ。何度思いだせば僕は。

 『驕りが過ぎるぞ、浮竹』

 その言葉をそっくり返してあげたい。

 なんで『僕』はあんなにも上から目線なのか。

 繰り返し再生される映像。擦り切れる程巻き戻されたシーンは、コマの一つ一つまで鮮明に焼き付いている。

 そして極め付けは、締めの一言だった。

 『私が天に立つ―――』

 「ああ・・・」

 もう駄目だ。

 僕はもう、もう。ヴぉくはもぉぉおおおおおおおおおおお!!!

 「死にてぇよおおおおおおおおおおおおおあおおおおおおあああああああああああああ!!!!」

 ゴロゴロ。

 転がった。恥も外面もかなぐり捨て、一心腐乱に。

 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロごろごろごろごろGOROGOROGOROGOROGORO!!

 「どんだけぇ!? 僕って真剣にどんだけぇええええぁああああ!?」

 僕は啼いた。唯只管に啼いた。

 哀しい事ばかりの人生だったけど。最高にキツイ思い出はあれより他に無かった。

 そうです。ぶっちゃけちゃいますと僕って実は。躁鬱病なんです。上がった後にガン下がりするんです。

 なんと! 藍染様は不治の病に陥っていた!!

 

 

 「ああ、いけない。もうこんな時間に」

 一頻り転がり尽くした後(勢いのあまり部屋の角に頭をぶつけて溜飲を下げる)、懐中時計を見ると約束の時間が迫っていた。

 もうすぐ人と会う約束をしているのだ。正確にはヒトじゃないけど。

 勿論、呼び出したのは僕じゃなくて『僕』だ。

 ・・・・・・。『僕』って紛らわしいな。そうだ、自称から取って『私』にでもしよう。

 つまりは『私』が部下を呼び出したという事。今後の為の重要な布石を打つ為らしい。

 僕としては今すぐにでも尸魂界に出頭してめんごしたい所なんだけど、余りにも手を汚し過ぎている。

 仮に全裸手錠付きで帰ったとしても、万象一切灰燼と為されるに決まってるし。

 まぁ、辿り着く前に十中八九嬲り殺されるだろうけどね。

 この状態の僕は弱い。かなり。

 別に戦闘力が皆無って訳じゃないんだけど、それでも『私』と比べると激しく劣ってしまう。

 良心的に見ても下位の隊長格、日番谷君位の力しかない。

 最有力はギン。次点でバラガン。後はノイトラ、グリムジョーって所だろうね。

 僕を恨んでる人達なんて数えたら際限が無いんだよねぇ。言ってて悲しくなるけども。

 兎に角、降伏は無しって事。『私』に従うの癪だけどこのままつっ走るしかないってね。

 中二な性格や語り口以外は優秀なんだよ『私』も。

 ではでは。時間が無いので面談っと。本日の相手は―――

 

 今日の僕の予定

 ・ウルキオラに会う

 ・薄ら笑いを浮かべる

 ・中二言語を羅列する(←ココ重要)

 ※時折、ギンや要がふらっと来るので警戒。

 

 「ウルキオラ、かぁ・・・」

 別に嫌ってる訳じゃ無いんだけどね。

 実際、十刃〈エスパーダ〉の中じゃ一番マシな部類だし。粗雑なヤミー達とは育ちが違うって思う位。

 何故か知らないけどやたら従順なんだよなぁ。

 良い子なんだけど、ねぇ。何か怖いんだよ。

 無表情だし。目元にライン入ってるし。指先黒いし。響転〈ソニード〉迅すぎるし。

 余計な事をする馬鹿(誰とは言わないけど)よりは数百倍マシだけど。

 「はぁ、鬱だ・・・」

 何時まで愚痴っても仕方無い。さっさと会って命令してご飯食べて寝よう。

 懐から手鏡を取り出し、ワンタッチで開く。

 オールバック確認。上着の開き具合、胸の見せ具合OK。頬杖良し、足組み完璧。

 最後に瞳をキリッ―――

 「藍染様」

 「」

 目の前に彼女はいた。

 少し動けば口づけさえ出来そうな距離に。

 第4十刃〈クアトロ・エスパーダ〉ウルキオラ・シファー。

 虚夜宮最強の女の無表情は、今日も変わらず肝が冷える。

 いい加減に響転で近付くのは勘弁して下さい。漏れます。

 

 

 



[25514] 1.5変
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:19dedca9
Date: 2011/01/21 04:55
  何かがおかしいブリーチ 1.5変





 キャスト

 

 ダウナー藍染

 正気を取り戻した藍染様。心は硝子。

 

 ウルキオラ・シファー

 マニキュアが取れない。

 

 

 

 初めは歩いていたがすぐに耐えられなくなった。

 ゆったりした歩調は次第に早足に、掛け脚へと速度を増して行く。

 落ち着こうと思えば思う程、気持ちを抑えようとすればする程膨らんでいった。

 はしたないと謗られるかも知れない。だが、仕方無いだろう?

 何故なら―――

 最早一刻の我慢もならない。全霊を振り搾り、最速の響転で回廊を駆け抜ける。

 私は、ウルは・・・。

 漸く見えて来た。あのお方が君臨する頂きの座が。

 うずうずする。でも、霊圧を乱しちゃ駄目。

 私はクールなのだ。常に冷静沈着で頼り甲斐のある女なのだ。

 破裂しそうになる心臓にきつく言い聞かせ、両脚をフル回転させると・・・

 (ああああああああああああああああああああああああああああああああああんんんんん!!!)

 愛し過ぎて止まない御尊顔が目と鼻の先にあった。

 これってOKって事? こんなに近付いても何も言わないってつまりウルを受け入れるって事?

 キスして良いって事押し倒して良いって事ぺろぺろして良いってry

 妄想が止まらない。駄目、駄目よウル。私は知的なのよ。

 飛びつきたくなる衝動を鋼の胆力で叩きのめす。落ち着きなさい。

 (私はくーる私はくーるっと)

 よし。大丈夫。

 顔面の僅かな緩みも引っ込め、霊圧も平常値に。気付かれて、無いよね?

 軽く俯いた主人を見るが未だに気付いた気配は無い。ふぅ。

 心を落ち着けた私は神速で髪型を整えて服の皺を取り、

 「藍染様」

 うん。何時も通りに。

 

 

 (なん、だと・・・)

 有り得ない。あってはならない事が起こっている。

 私は映像に映る少年を直視出来ずにいた。いや、正確には視てはならないと言うべきか。

 取るに足らない存在だと考えていた。

 所詮は藍染様の掌で踊る駒の一つに過ぎない、滑稽な小僧でしかないと。

 だと言うのに。一体どうして。

 きゅんっ・・・・・・・。

 何でこんなにウルの胸を締め付けるの。

 まさか。まさか私は。この子の事が―――

 (嘘っ! 違うわ!!)

 私が、ウルが好きなのは。愛しているのは!!

 思わず頭を振る。認める訳には行かなかった。この情動を肯定する事はつまり。

 「ウルキ―――

 「ウルが愛しているのは唯一人、藍染惣右介だぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!」

 気付いたのは暫くしての事だった。

 音を立てて崩れ去って行く。今迄私が築いて来たものは、あっけなく倒壊した。

 

 静寂の後。

 「ええと・・・」

 玉座からずり落ちそうになりながら藍染様が言葉を掛ける。

 こんな時ですら気遣ってくれる御心に涙が溢れそうになるけれど。今の私に、貴方と向かい合う資格はありません。

 申し訳ありません。言葉にして紡ぐ事は出来ずに謝罪は口内で止まる。

 これ以上、居られなかった。踵を返した私は一目散に駆け出す。

 許せなかった。あの少年が、何より心を乱してしまった私自信が。

 黒崎一護。私はお前を―――

 「お前を殺す!!」

 やらなければならない。さもなければ。

 二度とあのお方の仕える事は出来ないから。

 私は前方の空間を睨め付け、力の限りに引き裂いた。

 

 

 

 後書き

 痛くし過ぎたかしら。

 

 



[25514] 2変
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:28b517f1
Date: 2011/01/21 04:52
  何かがおかしいブリーチ 2変





 キャスト

 

 ダウナー藍染

 正気を取り戻した藍染様。心は硝子。

 

 東仙要

 ノースリーブは寒い。

 

 市丸ギン

 ゲームのやり過ぎで目が開けられない。

 

 ティア・ハリベル

 おっぱいを解放したい。

 

 

 あらすじ

 恋するウルキオラはせつなくて藍染様を想うとすぐ響転しちゃうの。

 

 

 「ふう・・・」

 取り敢えず首筋が攣りそうになりそうなので体勢を戻す。

 衝撃のカミングアウトから暫くの事。僕は天井を仰ぎつつ考えにふけっている。

 男である以上、異性から好意を持たれる事は嬉しいもの。興奮度合いの差はあれど心を動かさない人間はかなり特殊な部類だ。

 確かにありがたい。嫌われるよりは格段にマシであるのだが。

 「参ったね」

 習慣化しつつある溜め息を吐きだしながら独りごちる。

 どうやら僕は思い違いをしていたらしい。ウルキオラ、彼女についてだ。

 まともな部類に属すると思っていた。彼女は、彼女だけは普通であると思っていた。

 何故だろう。何故、僕の周りには・・・

 「―――随分と。愉しそうですね」

 カツン、と。控えめな足音が響く。やっぱり現れたよ。

 こめかみをグリグリとやりながらも僕が見据えた先には。

 アブノーマルの筆頭、破面〈アランカル〉の統括官にして元九番隊隊長の姿があった。

 

 今日はもう自由になれると思ったのに。鬱だ。

 予定してはいたけれど、続け様に人と話すのは精神的に疲れるんだ。

 出来る事なら自室で休憩してからであって欲しかった。一刻も早くモンハンの続きをやりたかった。

 組織のトップと言う立場上、僕が「狩り」に費やす事の出来る時間は自ずと短くなる。

 つい先日も、友達とのステータスの差に絶望した所なのだ。これ以上差をつけられてはならない。

 急がなければならない。このままではスパロボやGジェネが発売してしまう。

 ああ、そうだ。ウルキオラ忘れてないかなぁ、予約するの。

 様々な頭痛を抱えながらも僕は再び藍染(キリッ)に戻る事にする。威厳って大事だよね。

 「どうかしたのかい? 要」

 まさか本当にウルキオラの事を当て擦ってる訳じゃないだろうね、と言外に呟いて。

 要は「鋼鉄」の二つ名を授けたくなる程に硬くコーティングされた娘だけど、部下との対話にまで口を出すとは思えないが。

 「いえ、それとは別件です。先程、興味深い事実を知りまして」

 一旦そこで言葉を斬った要はずいと僕に歩み寄る。

 うん? 何かなそのやたらに怖い笑みは・・・。

 「昨日は何をしておいでで?」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・・

 たっぷり10秒は沈黙しただろうか。

 嗚呼。僕には心休まる時は無いのと言うのかい?

 僕が安らげるのは部屋でツイッターしてる時だけだよ。月牙さん、君もこんな感じなのかい?

 ツイッター仲間である月牙さん(空座町在住)に思いを馳せる。話を聞く限り、彼は僕と似た様な環境にいるらしい。

 何でも妹と最近できた居候のロリ体型と学校の同級生で胸囲の大きい天然っ娘に囲まれているとか。

 しかもこの前は、トランスフォームする褐色の女性や弓使いの眼鏡にも迫られているとも言っていたなぁ。

 まともな存在が居ない様な気もするけど、僕には彼の気持ちが痛すぎる程分かるよ。

 僕の身近に居る人なんて悪霊と死神だよ? マニアなんて次元じゃない。

 現実逃避もそろそろ、さてどうしよう。どうやってこの危機を打開すべきなんだろう。

 このまま謝ってしまおうか。・・・んん? 思えば何で僕が受けに回っている。

 そうだよ。僕は藍染ですよ、虚夜宮の王ですよっと。エレガントかつ尊大でなければならないんだよ。

 なれば何を戸惑う事があると言うのか。私が天に立つっ!!

 ごごごごごご(←何か霊圧が発現してる音な)

 「要。余り細かい事を詮索するな。(女としての器が)弱く見えるぞ?」

 ドンッ!!

 藍染奥義、「霊圧で跪かせる」!!

 この技を喰らった者は、片膝をついて「はっ、は・・・」と息を切らしながら冷や汗を流さなければならない!

 くくく。一介の隊長格如きが私と並ぶなど―――

 「」

 反応出来たのは奇跡か、それとも藍染パワーだろうか。

 突如降臨した直感のままに首を傾けると、ジュバァァアアという音と共に僕の揉み上げに剃り込みが入っていた。

 「あ、うあうあう」

 あわあわ言いながらその方向を見る。

 人差し指が向けられていた。僕の額に向けて。

 「おや。如何致しましたか? 酷い汗だ」

 つ、突っ込みに鬼道は止めろって何度言ったら・・・!

 膝のカタカタは止まらず、尿道をきつく締めながら表面上は「ほぅ」と藍染スマイルを絶やさないのだった。

 

 その後も腹の探り合いは続いた。先程の反省から僕は余計な事を言わずにすっ呆け続ける。

 このまま平行線となって行くと思われた時。有り得ない事が起こった。

 「―――いいでしょう」

 何と言う事でしょう。あのネチネチガムテープが妥協したのです。

 僕のカリスマが遂に彼女の心に届いたのでしょうか。クルリと背を向ける要の姿にほっとしていると、

 「証人を呼びましょうか」

 彼女がパチンと指をならすと。覚えのある霊圧が近付いてきて・・・

 輪郭を次第に捉えられる様になるとそこに居たのは二人の女性。

 「男は引き際が肝心ですわ。藍染隊長」

 「・・・・・・・・・・」

 薄ら怖い笑みを浮かべる愛しの副官と。

 終わった。色々な物が。

 最後の来訪者を見た僕はがくんと項垂れる。君には失望したよ。

 「ハリベル・・・」

 僕の下半身を常時悩ませる、けしからんおっぱいがいた。

 

 

 



[25514] 2.75変
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:28b517f1
Date: 2011/01/24 07:36
  何かがおかしいブリーチ 2.75変





 キャスト

 

 黒崎一護

 妹よ。便所に入ってくるのは勘弁してくれ。

 

 黒崎一心

 一護、これが最後のコスプレだ。

 

 その他の方々

 黒崎君はぁはぁ。

 

 

 

 ―――俺は肉食系になりたい。そうしなければ、喰われてしまうから。

 

 

 自分の境遇を不幸と思った事は一度も無い。

 お袋が死んじまったのは相当応えたけど、俺には大切な家族がいる。

 やたらと暑苦しい親父も、無愛想な夏梨(俺が言えた事じゃないが)もブラコン度合いが半端じゃない遊子も。

 皆が俺を支えてくれる。だから、大丈夫。

 まだまだ完全に立ち直ったとは言えないけど。きっと何とかなる。

 安心してくれよお袋。俺は、俺達は十分過ぎる程幸せだ。

 俺は何時もの挨拶を終え、閉じていた目を開ける。そして、食卓に向かおうとして・・・

 立ち上がり掛けた腰を再び下ろしていた。

 そうだ。一つだけ言いたい事があったのを忘れてた。別に、これは親父にも言うべきなんだろうが。

 拝啓お袋様。何故、何故俺を―――

 「グッモーニン! いーちーごぉぉぉおうぇえええええええええい!! キスしてくれぇぇええええええええええいいいいいいいい!!!」

 襲い掛かる脅威。180を超える巨体が全力でダイブする光景は恐怖以外の何物でもない。

 これが全くの他人なら手錠を掛けて貰えるんだが、非常に残念な事に俺のDNAの提供者だったりする。

 仕方無い。これも定めだ。

 親父も親父なりに俺を励ましてくれているのだろう。

 確実に上限を超えたスキンシップだが、俺は息子として父上と熱い抱擁を・・・

 「ぶっちゃけ、無理やん」

 140、30。この数字が何を示すか分かるだろうか。

 俺は生まれてこの方、全校集会で先頭の座を明け渡した事がない。

 どれだけ鍛えても筋肉は付かず。何リットル牛乳を飲んでも身体測定は芳しく無い。

 そして何より。何で俺はこんなにも。

 「今日も超可愛い! 愛してるぜ一護ぉぉおおおおおおええええええええうううううう!!」

 親父の瞳に映る自分の面を改めて見直す。

 髪はサラサラ。特にリンスやらキューティクルしてる訳じゃないのに艶があり過ぎる地毛。

 『ちょっと! 何で男子と一緒に着替えてるの!?」

 学級が変わる毎に担任には勘違いされ。

 『好きです! 付き合って下さい!!』

 同性に告白された数は3ケタを遥かに上回る。

 ふっくらした餅の様な肌。綺麗過ぎる目鼻立ち。

 どう見ても、間違えてるいる。生まれて来る性別を。

 もしも某ドラゴンな球があれば俺は願っているだろう。

 飛び込んで来る親父を見る。野太い骨格に無精髭。厚い胸板。

 羨まし過ぎる程におっとこ前な父ちゃんに俺もジャンピングし―――

 「何でもっとワイルドに生んでくれなかったんだ!!」

 全身の捻りを銜えた回し蹴りを頬に叩き込み、部屋の角に吹き飛ばした。

 嗚呼。今日も黒崎家は平和だ。

 今日はストーキングされませんように。

 ―――そんな幻想を抱いていた時期が俺にもありました。

 

 「ぜっ、は―――」

 息が弾む。心臓が今にも爆発しそうだ。

 脳が、肺が、全身が酸素を必要としている。でも、止まる訳には行かない。

 脚を止めたら終わりだ。既に無意識レベルの運動になってる状態で動作を休んだら途端にガタが来る。

 俺に出来る事は唯、逃げる事だ。

 奴らを振り切るまで。奴らの体力が尽きるまで。

 無限に訪れる事が無い様に思える未来を願って俺は走り続ける。

 己の矜持を護る為に、信念を貫く為に。そして何より―――

 「「「ハァハァ、一護(黒崎(君))可愛いよ・・・!!」」」

 俺の貞操を死守する為に!!

 「いいぃやぁぁぁああああああああ!! おーかーさーれーるぅぅぅうううううううぁああああああああ!!!」

 今日も瞬歩に磨きが掛かって行くのです。

 ヨンさん。貴方も毎日こんな感じなんでしょうか。

 無二の親友とも言えるネット仲間の身を案じつつ、俺は過去最高の速度で地を掛けるのだった。

 

 

 



[25514] 3変・前
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:28b517f1
Date: 2011/01/24 07:35
  何かがおかしいブリーチ 3変・前





 キャスト

 

 ウルキオラ・シファー

 存外まともな胸があるらしい。

 マニキュアは黒一択。

 

 グリムジョー・ジャガージャック

 内臓が冷えるわぁ。

 

 

 

 藍染様が搾り殺されようとする頃。現世の空座町に一人の魔人が降臨していた。

 忠臣ならぬ忠犬ウルキオラ。普段は冷静でお利口さんであるが、主人に楯突く者には一切の容赦をしない。

 正確に言えば対象の少年は未だ敵対しておらず、そのような場合は命令でもされない限り行動する事は無いのだが今回に至っては別だった。

 (殺してやる殺してやる殺してやる)

 彼女は切れていた。半端無く怒っていた。

 某十刃より『憤怒』の属性を喰ってしまいそうな程にマグマを沸騰させるウルキオラ。

 破面随一の沸点を持つ彼女らしからぬ光景である。何があったと思う者も多いだろう。

 ―――だが。実の所、非常にどうでも良いかつ傍迷惑な理由だったりした。

 (ウルが心動かされて良いのは、藍染様だけなんだぁぁあああああああああ!!)

 勝手に惚れられ、それを認められずに勝手に切られているこの状況。

 少年、黒崎一護は女難と言う点では歴代ジャンプ史上でもトップクラスに違いなかった。

 

 

 side ウルキオラ

 

 私の行動は尸魂界には筒抜けだろう。

 寄せ集めの我々と違い、奴らは選りすぐられた精鋭だ。探査系に秀でた人材に事欠かない筈。

 普通に考えれば、その様な警戒網に一人で突入する事は自殺行為以外の何物でもないが。

 (奴らには欠陥がある。余りにも統制された縦割り組織の弊害だ)

 如何に優秀な人員を抱えていようが、それらの才能を効率良く引き出すには何より連携が重要になって来る。

 故に、全体的な指令を出す頭が必要になるのだ。そして、司令塔の名は中央四十六室と言う。

 ―――つい先日皆殺しにされたばかりの、な。

 つまり。現時点尸魂界の統制は全く機能していない事になる。

 どれだけ膨大な戦力を有していようが、今の死神は太った豚に過ぎず。留意すべきは現世の塵共だけという事だ。

 一瞬、目を閉じ霊力を集中し。己の神経を隅々まで張り巡らせるイメージを描く。

 「探査神経〈ペスキス〉」

 何百、何千もの影が浮かび上がる。私はそれを瞬時に選別し、障害足り得るレベルの物を掴み取る。

 それなりが2つ。後は、塵だ。

 統括官より受け取った情報を信じるならばこの霊圧には予想が立てられる。

 浦原喜助 、四楓院夜一。

 共に隊長職を担った事もある熟練の死神。苦になる事は無いだろうが、面倒である事は確かだ。

 ならば。私はとある一点の方角を見据える。

 やたらに大きく、不細工な形の霊圧。言うまでも無く、奴だ。

 感付かれる前に消してやればいい。斬魄刀を抜かせる間も無く殺す。

 私は足裏に霊力を移動し、滑る様に空間を渡ろうと・・・

 「―――よぉ。俺にも一枚噛ませろよ?」

 何時の間に肩を掴まれていたらしい。面倒な奴に。

 死神では無い。破面特有の霊圧に、何よりその傲岸不遜な態度と声質から導き出された相手の名は。

 「・・・グリムジョー」

 全く、手早く済まさねばならぬと言うのに。

 好きになれないケダモノの手を振り払い、私は仕方無く振り返る事にした。

 

 

 後書き

 長くなりそうだったので、前・後編にしたった。

 今回は少し真面目。短い。

 

 

 



[25514] 3変・後
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:28b517f1
Date: 2011/01/28 07:23
  何かがおかしいブリーチ 3変・中





 キャスト

 

 グリムジョー・ジャガージャック

 最近サラシがきつくなってきた。

 

 ウルキオラ・シファー

 らぐなろく? ええ、当然承知しています。

 (どうしようどうしよう! 全然分かんない! 藍染様に嫌われちゃうよぉぉおおおおおお!!!)

 

 黒崎一護

 そろそろメアド変えようかなぁ。

 ドメイン設定もしないと。

 

 

 

 ―――遂に見つけた。俺は、遂に天使に、運命に出会った。

 

 

 ウルキオラが藍染に気に入られている事は分かっていた。

 あいつは確かに強いさ。ヴァストローデって事もあるんだろうが、純粋な戦闘力ならあいつがトップだ。

 全く以って気に喰わない事だがタイマンで勝てる相手じゃない。隙を付いても(あるとは思えないが)即殺は出来なそうだ。

 最強最強と喧しいノイトラも、やたらに偉そうなバラガンも同じだ。どう逆立ちしたってウルキオラには及ばない。

 終いにはあの帰刃形態〈レスレクシオン〉だ。反則級に霊圧が激増しやがる。

 大虚時代の苦い思い出は未だに脳髄にこびり付いて消えそうにない。後にも先にも「消滅」を覚悟したの初めてだった。

 でも、ムカつく。俺はどうにかしてあいつを泣かしてやりたくて仕方がない。

 俺を穴アキにした事も含めて復讐してやりたかった。その為に、あいつを尾行しまくったのだが・・・。

 思い出す。あの光景を。

 『彼は黒崎一護と言う』

 藍染の足下に映された映像に映る一人の餓鬼。未だ、幼いと言う印象が強い未成熟な存在。

 ドクン。

 心臓が跳ねる。何回も何回も。

 ドクドクドクドクドクッ・・・!!

 勢いが収まる気配はまるで無い。いや、寧ろ鼓動を重ねる毎に激しさを増して行く。

 思わず膝を付く。馬鹿な、何なんだ。

 痛い、痛い、痛い!! 如何してこんなにも胸が痛いんだ!!!

 俺は両胸を掻き抱き、只管に痛みを堪える。

 こんな経験は今迄にした事が無かった。虚閃〈セロ〉が直撃したってこうはならない。

 激痛を必死に抑え込みながら、答えを求めて元凶とも言える映像を再び視界に納める。

 そこに映るのは相も変わらずのオレンジ髪で―――

 「な、ん・・だと・・・」

 有り得ない。何だ、あいつは?

 白雪の様な透き通った肌。神の造形が如く整った顔立ち。

 吸い付きたくなる桜色の唇。澄み切った黒瞳・・・。

 まるで、他者を魅了する為に生れて来たかのようなそのあどけなさ。

 完璧だった。完全無欠に、あの餓鬼は。

 「―――はは」

 込み上げる。かつてない感情が。

 そうか。やっと分かった。

 俺の中で膨れ上がる破壊衝動。どれだけ殺しても、砕いても一向に収まる事は無かった。

 一時的に気が晴れてもすぐに次が来る。狂っちまいそうだった。

 「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

 笑う。心の底から、遠慮なく笑い続ける。

 だが、今は違う。漸く答えに辿り着く事が出来た。

 俺が求めたのは殺し合いなんかじゃないんだ。戦いには違いないが、土俵が全く異なる。

 十刃は各々が死を体現していると言う。

 例えば、スタークなら『孤独』、バラガンなら『老い』って具合に。

 そして俺の属性とは何か。『破壊』? いいや違う。

 思い出した。何故俺が死んじまったのか、何の執着があったのか。

 一度だけで良いんだ。唯の一度しか望まないから、その変わり。

 駆け出していた。誰よりも迅く、力強く!

 今の俺を止められる奴なんか存在しない。藍染だろうが、市丸だろうが邪魔する奴は薙ぎ倒す。

 「情熱的な恋がしてぇ!!」

 そう。俺は『恋慕』の十刃、グリムジョー・ジャガージャックだ!!!

 俺の魂の叫びが、道を開く。

 全てを捧げる事の出来る、愛しの君の元への。

 ウルキオラ・・・。てめぇに一護君は渡さねえ。

 

 

 後書き

 

 ぐりむじょー は とししたずき の しょうごう を てにいれた!!

 

 

 



[25514] 4変・グリムジョー変
Name: ささにしき◆dd18cd85 ID:28b517f1
Date: 2011/01/28 07:24
  何かがおかしいブリーチ 4変・グリムジョー変





 キャスト

 

 グリムジョー・ジャガージャック

 アマガミか・・・。

 

 

 

 ―――丁度良い。今迄の借り、利子付きで返してやる。

 

 

 「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ッ」

 矢張り今日の俺は来てる。滅茶苦茶に良い。

 かつて無い爽快感。破面化した時、十刃になった時以上に漲っている。

 長年溜め込んだ悩みを吐き出したせいか。それとも燃え上がる恋情が力を与えているのか。

 まぁ、細かい理由は如何でも良かった。何時も以上に身体が動く、その実感は確かなものなんだから。

 それに加えて―――

 「おいおいおいおい! 動きが鈍いんじゃねぇか、ウルキオラァ!!」

 やけに消極的な貧乳目掛けて響転。数十メートル程の間を一瞬で詰める。

 真正面に肉薄。ドアップで捉えたウルキオラの表情は何処か暗い所があった。驚愕半分、焦燥半分ってとこか。

 俺は動揺する第4十刃様に満悦しながらも、更に面を歪ませる為にストレートを放つ。

 鼻っ柱を叩き折るべく振り抜いた一撃はウルキオラに届く直前に利き手に阻まれた。だが、効果がまるで無い訳じゃ無かった。

 普段ならド硬い鋼皮〈イエロ〉に軽々と弾かれるだろう程度の威力だ。俺もそれを想定して第二、三の連撃の準備をした。

 (甘え。何だか分からねぇが、野郎の調子悪さは半端ねぇ)

 俺の拳を弾くのでは無く受け止めたウルキオラ。当然、衝撃を吸収するって事は動きが制限される。

 更に鋼皮自体の強度も温いときてる。何時もの半分にも及ばない集束率だった。

 恐らく何かあったんだろう。およそ、メンタル面に関わる様な出来事が。

 有り得ない事だと思うが、そうでも無ければこのヘタレ具合に理由は付かない。まさか、生理って訳じゃ無いだろう。

 こいつは、ラッキー〈スエルテ〉ってかぁ!?

 手を抜くなんて選択肢は当然俺には無い。何処かのバトルジャンキーみたいな奇特な趣味は持ってない。

 パンチを殺し切れずに体勢を崩すウルキオラ。俺はその無様な姿を見て―――大いに嗤う。

 「さて、穴アキにでもなってみるかぁ?」

 裂ける位に唇を歪ませた俺はボクシングポーズを取って脇を締める。

 「虚弾連打〈バラセリエ〉」

 通常、虚弾は霊力を弾丸として放出するがこいつは違う。

 主体はあくまでパンチだ。霊力を伴うのは直撃する瞬間だけ。

 相手に衝撃が伝わる一瞬に、爆発的な力を注ぎ込む事で脅威的な破壊力を生み出す。

 一見すればシンプルなジャブ。が、喰らう相手側からすれば局所的に虚閃〈セロ〉をブチ込まれる感覚に襲われる。

 尤も、大抵の奴は痛みを覚える前に爆砕するがな。

 では大抵の奴でないウルキオラ君ならどうなるのか。

 「そらそらそらそらそらぁぁぁああああ!!」

 連打連打連打連打連打連打連打連打!!

 鋼皮を強化する間なんて与えない。ガードごとブチ抜いてやる。

 「く、そ―――」

 ギリと歯軋りしながら後退を余儀なくされるウルキオラ。拳の膜で霞みつつあった姿が掻き消えていき・・・

 残念無念。悪いがそいつを待ってたんだ。

 この状況で響転するとすれば上か下。そして、殴られまくってテンパッてるあいつならば。

 「当然、上だよなぁ?」

 既にウルキオラの頭上に移動していた俺は、振り上げていた脚をを一直線に急降下させる。

 完璧に入った。反応する間も無く、鮮やかに踵がウルキオラの頭蓋にめり込むと華奢な身体は重力に捕らわれる。

 ドタマが砕け無かったのは流石と言うべきか。他の十刃ならあれで終わっていたに違いない。

 が、所詮寿命が少し伸びただけだ。俺は落下するウルキオラに両手を突き出す。

 「虚無に帰れってか?」

 放出。十本の指先から、今度は何の捻りも無い弾丸を射出。

 GUNGUNGUNGUNGUNGUNGUNGUN!!

 1秒刻む度に、撃ちこまれる数は数十、数百へと上って行く。

 丁度、千に達した所でフィニッシュ。銃のタイプを機関銃から大砲に切り替える。

 霊力を集束、集束、集束。凝縮された霊力塊が掌大に達した所で準備完了。

 「一護君は諦めな。じゃあな〈ブエノスディアス〉」

 白色の閃光が解き放たれる。

 高速で伸びた煌めきは、ウルキオラの身体を飲み込んで淡く爆ぜた。

 

 俺の、勝ちだ。

 勝利を確信して踵を返そうとした俺の背に。

 ゾクリ、と。

 壮絶な悪寒が走る。

 豹王としての嗅覚か、それとも偶然の産物だろうか。

 全力でサイドステップした俺の脇を。

 「黒、虚閃〈セロ・オスキュラス〉だと・・・!?」

 昼間には全く似つかわしく無い、ドス黒い塊りが駆け抜けていた。

 

 

 


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