賢者の知恵
2011年01月16日(日)

大阪府知事 橋下徹の"親弁"樺島正法弁護士が告訴「知事のシンパから脅迫された」/取材・文 森功

「地獄落としてやっからな」"反知事"を許さない異様な空気の正体

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「大阪維新の会」の会合で愛知県知事選に出馬する大村秀章氏(左)と河村たかし名古屋市長に挟まれた橋下知事('10年12月、大阪市内で) 〔PHOTO〕福原一緒

[取材・文:森 功(ノンフィクションライター)]

「おい、てめえ、即刻弁護士辞めろ。徹底的に追い詰めて地獄落としてやっからな。てめえの周りの人間も地獄落としてやるから、覚悟しろ、樺島」

 こんな猛烈な口調の脅迫電話を再現した告訴状がある。年明け早々の1月5日付、大阪地検宛てに提出されたばかりだ。

 告訴人は樺島正法(68)。大阪弁護士会に所属する人権派弁護士の一人だ。人権派弁護士が、なぜこのような脅迫被害に遭ったのか。実は、そのことの起こりが、あの大阪のスター知事、橋下徹(41)とのバトルなのである。

 発端は '07年5月27日、関西ローカル放送『たかじんのそこまで言って委員会』(讀賣テレビ)での橋下発言だ。告訴状の〈告訴事実〉には、こうある。

〈(橋下は)光市母子殺害事件の弁護団に対する懲戒請求を呼びかけ、さらに同年8月6日に開かれた「光市母子殺害事件弁護団・緊急集会」をその翌日、「カルト集団の自慰(オナニー)集会」とブログに書き込み、また同年9月6日に「しょうゆのほうからかごに入ってきた」というギャグを捏造して、国民を笑わせて騙した〉(以下、告訴状の原文ママ)

 これに怒ったのが樺島たちである。反対に大阪弁護士会へ橋下の懲戒処分を申し立て、昨年9月には本人に弁護士活動の停職2ヵ月という決定が下った。さらに11月、樺島は処分が軽すぎると「除名か退会命令」を求め、日本弁護士連合会に対して異議を申し立てている。

 もともと樺島は光市母子殺害事件の弁護団には加わっていない。が、橋下とは縁が深い。司法試験に合格した橋下が、弁護士活動を始めるにあたり、事務所に雇ったのが樺島だ。橋下にとって樺島は、いわゆるイソ弁(居候弁護士)時代の親弁で、師匠格にあたる。かつての教え子の言動を見ていられなかったのか。今やその関係が、こじれにこじれているのだ。

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