１６年前に糖尿病を発症し、１２０キロあった体重が７２キロまでしぼんだ

●グレート義太夫さん

　ビートたけし率いる「たけし軍団」。かつてはたけしが出演する番組には必ずといっていいくらい団体で出ていたが、最近はダンカン、ガダルカナル・タカ、松尾伴内を見るくらいで、大半はテレビから消えてしまった。ヒゲ面のグレート義太夫さんもそのひとり。今どうしているんだろうか。

　会ったのは芸人が多く住むことで知られる中野新橋の義太夫さん行きつけの喫茶店。アリャ、ずいぶんしぼんじゃったんじゃない？

「１６年前、３５のときに糖尿病になりましてね。ある日、糖尿病からくる血糖値の異常で倒れ、中野坂上の怪しい病院に運ばれて２週間入院し、その後、大学病院に通ってたんだけど、医者がいうことを全然聞かなくて。腎機能の指標になるクレアチニン値が高くなって、“これ以上になると人工透析ですよ”って怒られてもヘラヘラしてたんです。そしたら３年前くらいに突然、仕事場でしゃべっていて息が続かなくなり、即入院。その日から透析が始まりました」

　今も週３回の透析は欠かせず、１２０キロあった体重は７２キロになった。

「その大学病院で人工透析するために手首のところで動脈と静脈をつなげる手術を受けたんだけど、局所麻酔なんで意識はずっとあるんです。つまり、手術箇所がモロに見えちゃう。執刀医の先生のリクエストで手術室にサザンの『ＴＳＵＮＡＭＩ』が流れ、この曲が後々までトラウマになりました、ハハハ」

　学生時代からバンド活動をしていた義太夫さんは８３年、大ファンだったビートたけしに直接、自分の曲を録音したデモテープを手渡したのをきっかけにたけし軍団の一員になった。

「元気が出るテレビ！！」「ビートたけしのスポーツ大将」「風雲！たけし城」など一時、たけしは週１０本以上のレギュラーを持ち、軍団はそのほとんどに出演していた。

「タンスを背負ってバレーボールとか、いろいろやらされました。なんでタンスを背負ってバレーボールなのか、いまだにわからない、ハハハ。おまけに、それで回転レシーブしろ、なんていわれるんですから。スキー場にロケに行ったときも、服を着てたのは１回だけ。スキーやったこともないのに、裸でいきなり板履かされて、上級者コースでモーグルやったり、軍団対抗直滑降レースで滑ったり。みんな止まれないから、地元の人が網持って下で待ってるんです。殿は“おまえらシャケか”ってゲラゲラ笑いっぱなしで」

　ビートたけしとたけし軍団で誰もが思い出すのが８６年の「フライデー」編集部襲撃事件だ。

「編集長の首を絞めたのは覚えてます。でも、時間にして５、６分、アッという間の出来事でしたよ。警察の取り調べで“カツ丼出せ”と叫んだのが前宮崎県知事（そのまんま東）。実際にカツ丼が出て、帰りにしっかり代金を請求されました。出前かよ、だったら頼むんじゃなかったとみんなブーたれてましたっけ、ハハハ」

　あれから２４年。ダンカンが主宰する劇団「東京サギまがい」の舞台音楽を担当し、糖尿病に関する講演に忙しい。

「軍団をやめようと思ったことはないですね。やっぱり、たけしさんが好きですから。ホント、ボクが最も身近にいるファンかもしれません」

（日刊ゲンダイ2011年1月26日掲載）