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[政治]ニュース トピック:主張
【主張】代表質問 また開き直りと先送りか
菅直人首相の施政方針演説に対する衆院代表質問が始まった。
首相はさきの演説で「先送りせず、結論を出す」ことが国会に求められていると語った。それをどう実践するか、今国会最初の答弁が問われていたが、空疎さばかり目立った。
社会保障と税の一体改革や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加問題など重要方針は6月をめどに決めると繰り返した。基本方針を持たず国会審議に臨んだ姿勢こそ、「問題先送り」と批判されよう。
最高指導者として、日本の危機を脱するために何をすべきかを語り、その実現に努める責務を果たしてほしい。それをせずに「今度こそ熟議の国会に」と呼びかけても、むなしく響くだけである。
課題の年金制度改革では、税方式による最低保障年金を創設するという民主党と、保険料中心の社会保険方式をとる自民党との間で大きな開きがある。
与謝野馨経済財政担当相が就任後に税方式の困難さを指摘したほか、枝野幸男官房長官も「本質的なところに大きな違いはない」と社会保険方式への歩み寄りを示唆した。しかし、菅内閣としての結論はいまだ出ていない。
政策転換を図ることを躊躇(ちゅうちょ)し、結論を出し切れずにいる無責任な姿勢が表れている。首相は今こそ指導力を発揮し、与野党協議のスタート地点さえ定まらない事態を早急に解消すべきだ。
自民党の谷垣禎一総裁は、菅内閣が子ども手当や農家への戸別所得補償などを盛り込んだ平成23年度予算案を挙げ、「ばらまきのための財源調達を手伝うわけにはいかない」と改めて与野党協議入りを拒否した。首相が重要課題の基本方針を前倒しして示すなど態度を変えない限り、協議入りは困難な情勢だ。
谷垣氏はマニフェストを撤回し、衆院解散・総選挙で信を問い直すことも迫った。首相は解散を否定し、子ども手当などについて「ばらまきではない」とした。開き直りの反論である。協議入りしない野党に対し、「歴史への反逆行為」と批判した発言についても撤回に応じなかった。
小沢一郎元代表の証人喚問問題は「各会派の議論」に委ねるという。政策の過ちを認めず、自ら難問の解決に着手しないのでは、何も変わらない。
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