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[国際]ニュース トピック:主張
【主張】米一般教書演説 国民を鼓舞する姿勢学べ
オバマ米大統領は一般教書演説で、技術革新、教育、インフラ整備などを通し、米国の国際競争力の向上と経済再生を国民に呼びかけた。中国など新興国の追い上げに対抗し、「未来の勝者」の座を堅持していくための決意表明といえる。
そうした立場は昨年の国内総生産(GDP)で中国に抜かれた日本とも共通する。菅直人首相に問われるのは、オバマ氏と同様の危機感を共有し、国家の再生と発展に導く決意と指導力があるかどうかだ。
大統領が演説で競争相手として挙げたのは欧州、日本など先進国ではない。高成長を通じて台頭が著しい国々だ。「中国やインドなどは、科学と数学に重点をおいた早期教育を行い、研究や新技術に投資している」「中国は今や世界最大の太陽光研究施設を誇り、世界最速のコンピューターも有する」などの具体例も挙げた。
韓国についても、「教師は『国家の建設者』と呼ばれている」と述べ、公教育や教師の質の向上を強く訴えた。
大統領が強調したのは「世界は変わった。われわれは雇用をめぐる厳しい競争にさらされている」との認識だ。半世紀前、米国が旧ソ連の人工衛星打ち上げで先を越された「スプートニク・ショック」を挙げたのは好例だ。科学技術を総動員して月面到達を成し遂げたエピソードを持ち出し、「今がわれわれの世代のスプートニクだ」と国民に奮起を促した。
大統領が示した課題の多くは日本にもあてはまる。菅首相は24日の施政方針演説で「今の危機を脱し、将来の日本をどう築いていくのか、建設的に議論することを求めていると思います」と述べるにとどまっている。
受け身の姿勢では国民は将来展望を抱けない。首相に示してほしいのは、政権維持に腐心するレトリック(修辞)でなく、国を繁栄させるための道筋と実行力だ。
演説では日本への言及は昨年に続いてゼロだった。成熟した民主主義国家である欧州や日本への言及がないのは驚くことではない。だが、日本が学ぶべきは、自らの立場を認識し、明確な処方箋を示すことだ。その上で「未来はわれわれが勝ち取るものだ」と国民を鼓舞する姿勢だろう。
経済力を高めるために何が必要か、菅首相は日本の現実を直視しなければならない。
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