国際【主張】露空港爆破 テロの拡大阻止に全力を2011.1.26 03:21

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【主張】
露空港爆破 テロの拡大阻止に全力を

2011.1.26 03:21

 外国人利用客が多いロシア最大の玄関口、モスクワ南部郊外のドモジェドボ国際空港で、自爆テロにより外国人を含む多数が死傷する惨劇が起きた。到着客や出迎えの人々を巻き込んだ卑劣な無差別テロであり、断じて許されない。

 実行犯、グループはなお判然とはしないが、ロシア南部、北カフカス地方で分離独立を求めて武装闘争を繰り広げるイスラム過激派がかかわった犯行だとの見方が強い。同様の背景を持つ惨事は最近も、ロシア北西部での急行列車への爆弾テロ(2009年)や、モスクワ中心部の地下鉄駅での連続爆破(10年)など繰り返し起きている。

 だが、血塗られたテロの手段は国内外に怨嗟(えんさ)の声を巻き起こすだけだ。そうしたテロに屈してはならない。

 ドモジェドボ空港では04年8月にも、離陸した旅客機2機が同時に爆破されて墜落、乗客乗員全員が死亡するテロが起きた。以来、強化されたはずの空港警備も今回の事態を防げなかった。

 自爆犯は、荷物や身体の検査が行われていない国際線到着ロビーの出迎えの人たちの中に紛れ込んでいたとも報じられ、警備のすきを突かれた可能性が出ている。

 ロシアでは来年、極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催され、14年には、「紛争の火薬庫」と呼ばれる北カフカス地方に隣接する南部のソチで、冬季オリンピックが催される予定だ。こうした国際舞台でテロが起きることのないよう万全の態勢を取ることがロシアの国際的な責任となろう。

 警備と同時に、ロシア政府が展開するテロ組織掃討作戦など、テロ対策全般にも疑問がある。

 イスラム過激派組織による暴挙が後を絶たないのは、テロ活動や組織とは無関係の一般住民をも敵に回してしまう過酷な手法にも問題があるからではないのか。

 同国南部では、テロ撲滅の名の下に、民族間の対立をあおる作戦が取られ、憎悪と報復の念に駆られた若者たちがテロリスト予備軍となっている。彼らと国際テロ組織、アルカーイダ系の勢力との連携が強まるならば、脅威は一段と増すだろう。

 治安状況改善のため、大多数の住民を味方に付け、過激派との間を分断するといった複合的なテロ対策も求められている。

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