政治【主張】施政方針演説 問題は決断と実行である2011.1.25 02:50

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【主張】
施政方針演説 問題は決断と実行である

2011.1.25 02:50

 菅直人首相は施政方針演説で、「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」の3点を国づくりの理念として掲げたが、目新しさはほとんどない。

 問題は、理念を繰り返し唱えることではなく、これを実現させられるかどうかであり、それはひとえに、首相の決断力と実行力いかんにかかっている。

 首相は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加について6月をめどに結論を出すと述べた。社会保障と税制抜本改革に関しても、6月までに基本方針を示すとした。その政府方針の提示に向けては、これまで自民党や公明党が打ち出した方針を例示して、与野党間の議論を呼びかけている。

 だが、首相は民主党大会で、野党が協議に参加しないのは「歴史に対する反逆行為」であると、いたずらに野党を挑発して反発を招いている。これでは、野党は協議に乗りたくても乗れない。

 昨年来の国会対応をめぐっても、与野党の信頼関係は損なわれている。今のままでは、首相が演説で触れた「熟議の国会」も与野党協議も幻に終わりかねない。

 どうやって事態を打開するか。すでに自民党などが指摘しているように、まず、首相が方向性を打ち出すことが議論の始まりとなるはずだ。

 首相は、自民党が3月に予定しているTPPに関する結論を待って、与野党の議論を始めると言うが、手順が逆である。首相自身がTPP参加の明確な意思を示し、参加に伴う農林漁業の再生策を具体的に打ち出すべきだ。消費税問題でも、社会保障の将来構想と消費税率引き上げについての持論を訴え、国論を自らが引っ張るという覚悟を示すことが必要である。そうすることによって、初めて事態が前進するのではないか。

 政策を強力に推進するに際してのもう一つのハードルは、「政治とカネ」の問題である。特に、未決着の小沢一郎元代表の問題については、首相が毅然(きぜん)たる姿勢を示さなければ、国民や野党からの信頼を取り戻すことは難しい。

 首相は外交・安全保障に関しては日米同盟の深化を強調した。その認識はいいが、例えば、米軍普天間飛行場の移設問題では改めて基地の「危険性の除去」を言うばかりで、移設実現への展望はまるでみえてこなかった。ここでも、首相の覚悟が問われている。

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