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[国際]ニュース トピック:主張
【主張】中国の日本海戦略 北での拠点整備は要注意
中国が北朝鮮との経済協力をテコに、日本海をにらむ戦略拠点を構築しようとする意図が鮮明になってきた。
日本海に面した北朝鮮北東部の経済特区・羅先市の港湾(羅津港)の運用が最近開始され、中国企業が大量の石炭を積んだ輸送船を上海に向けて出港させた、と中国紙などが報じている。要注意の動きである。
羅津港は吉林省など中国東北部やロシアに近接している。中国企業が羅津港の10年間の使用権を獲得したのは、天然資源を陸送より低コストで南方に輸送したり、貿易促進を図る物流基地にしたりしたいからでもあるのだろう。
だが、軍事的にみれば様相は異なる。北朝鮮を擁護する姿勢を崩さない中国が日本海を望む拠点を押さえたことは、朝鮮半島有事をにらむ日米韓には大きな懸念材料となるからだ。
中国の動向には気がかりが多い。韓国の朝鮮日報(15日付)が羅先市に中国軍が駐留していると報じたのはその一例だ。投資した港湾設備の警備や在留中国人の保護のためという。これについて中国国防省は「国連からの権限付与がなければ、一兵たりとも海外に派遣しない」と強く否定した。
しかし、「中国軍駐留」の疑念が浮上するのには理由がある。
経済成長を維持するのに膨大な資源・エネルギーを必要とする中国は、アフリカや中東からの海上輸送路を確保するため、パキスタンやスリランカ、ミャンマーなど輸送路に沿ったインド洋一帯の諸国で港湾整備を支援している。インドを取り巻く「真珠の首飾り戦略」である。「将来は軍艦が利用する」と指摘する専門家が少なくない。
日本海の羅津港も「真珠の首飾り戦略」の一環ではないか。中国にとっては、インド洋から南シナ海、東シナ海を経て、日本海に至る首飾りが完成する。日本政府はもっと敏感になるべきだ。羅津港が中国の軍事拠点となれば、日本海が「中国の海」にもなりかねないからだ。
北京で行われた日中両政府の外交、防衛当局者による安保対話では、最近注目を集めた中国軍の次世代ステルス戦闘機についての日本側の質問に、中国側は「試験中で、持っているわけではない」とそっけなかった。中国は信頼関係の構築に努力してほしい。
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