ロシアのモスクワ郊外の国際空港で爆弾テロ事件が発生し、外国人を含む多くの人々が犠牲になった。いかなる理由であれ、罪のない一般市民を標的にしたテロ行為は断じて許されない。ロシアはこうした悲劇が繰り返されないよう、テロの根絶へあらゆる手を尽くすべきだ。
テロ事件が起きたドモジェドボ国際空港は、モスクワの主要な空の玄関口のひとつだ。日本航空を含めて多くの国際線が乗り入れている。年間の利用客は約2千万人に上る。
爆発は到着便が重なる夕方の時間帯に、混雑する国際線の到着ロビー付近で発生した。無差別の大量殺傷をねらった極めて卑劣な犯行だ。菅直人首相やオバマ米大統領ら主要国の首脳も相次ぎ「非道なテロ行為」を非難した。当然である。
ロシアの治安当局は南部の黒海とカスピ海に挟まれた北カフカス地域の出身者3人を実行犯とみて、指名手配した。北カフカスに拠点を置くイスラム系の反政府武装勢力の関与が濃厚だという。
ロシアでは2010年3月に、モスクワ中心部の2つの地下鉄駅で連続爆弾テロが起き、市民40人が犠牲になった。治安当局はこの事件についても、北カフカス系の女性2人による自爆テロと断定している。
北カフカスでは、ソ連の崩壊前後からチェチェン共和国の反政府勢力が独立運動を展開。ロシア軍との2度の戦争で、多数の犠牲者が出た。ロシアの政権は武力で反政府武装勢力をチェチェンから追い出したが、武装勢力は周辺地域に拠点を拡散した。この地域では今でも治安部隊との衝突やテロが頻発している。
テロは断じて許せぬ卑劣な行為だが、力による弾圧だけで問題が解決しないところに難しさがある。この地域はさしたる産業もなく、失業率が20%前後と極端に高い。貧困対策や社会基盤の整備を通じた地域の安定を目指し、政権への信頼を取り戻すことも重要な課題だ。
14年に冬季五輪が開かれるソチは北カフカスに近い。反政府武装勢力は海外の国際テロ組織とも連携を強めているとされる。ロシアの政権は必要なら、国際社会の支援や協力も仰ぐべきだろう。卑劣なテロ行為は一国だけの問題ではない。
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