NECが27日、パソコンで世界4位の中国メーカー、レノボ・グループ(聯想集団)と、パソコンの合弁会社を設立すると発表した。レノボは新会社の株式の51%を取得する。NECにとっては実質的な事業売却という見方もできる。
NECのパソコンは1980年代前半には国内を代表するブランドで、世界でも最も売れていた。だが、85年のプラザ合意後の急速な円高もあり、米国や台湾勢との競争に敗れた。2009年に海外のパソコン事業から撤退して以来、国内向け専業に甘んじている。
パソコンは技術の進歩が著しい。米国のヒューレット・パッカードやデルはアジアなどの受託生産会社をうまく使い、高収益をあげている。台湾勢には機能を絞り込み、5万円以下で買えるパソコンを送り出して急成長した企業も出ている。NECは音響映像機能などを高めた高付加価値路線に回ったが、価格は高めで消費者をつかめなかった。
海外IT(情報技術)企業と比べ、「パソコンは価格がすべて」との認識が遅れたようにみえる。
パソコン事業ばかりではない。80年代は半導体や通信機も事業規模が世界一だったが、前者は韓国のサムスン電子、後者は米シスコシステムズに敗れている。技術革新への貪欲さで海外企業に負けた可能性がある。例えば米IBMはパソコンなどの本体の事業に見切りをつけた後、ソリューション(解決策)を売り物とし、スマートグリッド(次世代送電網)といった国家レベルの新しい事業に乗る形で、成長を続ける。
ここ10年は旧防衛庁の資材調達に絡む水増し請求事件もあり業績が低迷した。プリンターや半導体製造装置、プラズマディスプレーなどの事業を売却したが、新たな事業展開は中途半端だった。通信機器の納入先であるNTTを頼みとする経営が続き、市場の変化に迅速に対応できなかったのではないか。
国内電機大手はリーマン・ショック後の苦境を乗り越え、成長戦略の方向性を定めつつある。例えば、日立製作所は社会インフラ、東芝は原子力発電所と半導体などの主力事業を中心に業績が回復しつつある。
対するNECは10年4~12月期も最終赤字だった。集中すべき分野は何か。アップルのように機器を選ぶ例もあれば、IBMのように企業向け情報システムのサービスを強化する例もある。選択するのは会社自身であるが、軸足をきちんと定めないと、再び日本のハイテク産業の代表として輝く保証はないだろう。
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