菅直人首相の施政方針演説に対する各党代表質問が始まった。
質問1番手の谷垣禎一自民党総裁は早期の衆院解散を迫ったが、首相は「現時点では解散は全く考えていない」と拒否した。一方の首相は税と社会保障の一体改革に関する与野党協議への野党の参加を繰り返し呼びかけるだけで、議論は全くかみ合わなかった。
谷垣氏は民主党のマニフェスト(政権公約)は虚言だったと批判し「潔くマニフェストの過ちを認め、これを撤回し、有権者におわびしたうえで、信を問い直すべきだ」と主張した。与野党協議については「ばらまきのための財源調達を手伝うわけにはいかない」と述べ、首相が衆院を解散しない限り、与野党協議に応じない考えを示した。
谷垣氏が民主党のマニフェストの問題点をただすのは当然だが、解散しなければ与野党協議に参加しないというのは理解に苦しむ。消費税を含む税制の抜本改革や持続可能な社会保障制度の構築は、与野党双方が責任を負うべき課題である。まず政府・与党が具体案を示すべきだが、野党第1党の自民党の責任も重大だ。
菅首相の答弁も問題が多い。谷垣氏が指摘するまでもなく、民主党のマニフェストが破綻しているのは明らかだ。しかし首相は批判を正面から受け止めずに「(予算に)大胆なメリハリがついたのは政権交代の成果」などと反論するだけだった。これでは議論が深まらない。
「政治とカネ」の問題を抱える小沢一郎元代表の衆院政治倫理審査会への出席問題が暗礁に乗り上げていることについても、首相は「結果的に実現していないのは残念に思う」と述べるにとどまった。小沢氏の国会招致がいまだに実現しないことが、国会運営の障害になっているという危機感が伝わってこない。
衆参ねじれ国会の下では、衆院の優越規定がある来年度予算案は成立しても、予算関連法案が通らない事態があり得る。国政のいたずらな混乱を避けるためには、予算案の修正協議などを通じて、与野党が互いに歩み寄る必要がある。
政策論争を置き去りにして、不毛な対立が続くのは困る。国会の存在意義が厳しく問われる局面である。
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