第177通常国会が召集され、菅直人首相が衆参両院本会議で施政方針演説をした。
社会保障の抜本改革や国際的な経済連携の強化への意欲は評価できるが、今度も言葉だけに終わるのではないかという疑念がぬぐえない。これ以上の重要課題の先送りは許されず、首相は責任感を持って政策の実現にまい進してほしい。
首相は演説の冒頭で「平成の開国」というキーワードに触れ、「勢いを増すアジアの成長をわが国に取り込み、国際社会と繁栄を共にする新しい公式を見つけ出す。今年は決断と行動の年だ」と強調した。
オーストラリア、韓国、欧州連合(EU)、モンゴルとの経済連携協定(EPA)交渉を積極的に進める立場を表明。さらに環太平洋経済連携協定(TPP)について「米国をはじめとする関係国と協議を続け、今年6月をメドに交渉参加について結論を出す」と語った。
日本が厳しい国際競争を勝ち抜いていくには、貿易や投資の自由化が欠かせない。首相は「農林漁業の再生は待ったなしの課題だ」と言及したが、具体的な改革の方向はなお不明確である。首相は農業の大規模化・効率化の実現に向けて強い指導力を発揮すべきだ。
政策のもう一つの柱は社会保障と税の一体改革である。首相は「国民の安心を高めるために、ある程度の負担をお願いすることは避けられない」と踏み込んだ。
ただ首相が重視する超党派での政策協議は、現時点で実現のメドが立っていない。まずは年金制度の将来像と消費税の関係などを巡り、政府・与党で具体案の詰めを急ぐ必要がある。
演説の外交・安全保障分野への言及はいかにも迫力不足だった。「日米同盟を深化」「対北朝鮮で日米韓が連携」など従来の方針を繰り返した印象が強い。離島防衛や海上の安全確保については喫緊の課題として対応策の検討を急ぐべきだ。
昨年秋の臨時国会は「熟議」という標語は名ばかりとなり、政策論争の空洞化が目立った。民主党の小沢一郎元代表の国会招致をめぐり、与党側が及び腰の姿勢をとり続けた影響も大きい。小沢氏が近く強制起訴されれば、民主党は一定のけじめを示す必要があるだろう。
自民党など野党もいたずらに対決色を強めるだけでは責任を果たしたことにはならない。民主党の政権担当能力を追及するのであれば、重要課題に関しては対案をきちんと示し、政策論争の質を高めてほしい。
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