宮城のニュース

アルコール依存女性急増 20、30代に拡大傾向 再発しやすく注意必要

依存症からの回復のためのアートセラピーに取り組む患者。依存症の若い女性が増えているという=東北会病院

 女性のアルコール依存症患者が増えている。女性の飲酒を許容する風潮が広がり、女性向けの商品や身近でお酒を買えるコンビニなどが増えた影響とみられる。従来は中高年が中心だった患者の年齢層も、再発しやすいとされる20、30代に広がっており、専門医が注意を呼び掛けている。

<10年前の2倍に>
 宮城県内で唯一、アルコール依存症患者専用の病棟を持つ東北会病院(仙台市青葉区)では2009年度、新たに258人が同依存症と診断された。うち女性は68人で、10年前(34人)の2倍。男性の増加率(7%)を大きく上回る。
 女性新患は20〜60代で一様に増えた。40歳未満の増加は近年特有の傾向という。08年度には10代の患者が2人もいた。
 「自分のお酒の飲み方がおかしいと思うこともあった。でも、自分が依存症と認めたくなかった」。07年に同病院でアルコール依存症と診断された若林区の無職女性(35)が語る。
 高校生だった17歳で飲酒を始めた。「友達も飲んでいたし、止める人もいなかったので、罪悪感はなかった」。結婚、出産を経て、25歳ごろから常習的になったという。
 4年ほど前、再就職した会社を1年ほどで辞めてから酒量が増えた。次第に飲酒に伴う問題行動も顕著になった。
 午前10時ごろ、毎日決まって、自宅近くのコンビニで缶ビールを購入。数本を空け、なくなるとまたコンビニに。泥酔し、一人で車で外出―。そんな毎日を繰り返した。
 「退職して社会から取り残された気がした。不安を紛らわすために酒を飲んだ。飲めば飲むほど寂しくなった。2度とあんな自分に戻りたくない」と女性は言う。
 女性は家族の薦めで受診し、4カ月間入院した。今も通院を続けている。診断を受けてからは飲酒していないという。
 若い女性患者が増える背景について、東北会病院の石川達院長(61)は「女性の飲酒をめぐる環境や価値観が変わった影響だろう」と指摘する。

<病への進行早く>
 近年は缶入りのカクテルやチューハイなど飲みやすい女性向きの商品が豊富だ。お酒の広告に若手女性タレントを起用する企業が多い。「一昔前は酒を飲まないことが女性のたしなみだったが、今は違う」と石川院長。
 体格差などの影響で女性は男性よりも少量の飲酒で陶酔感を得やすい。同年代で飲酒を始めると、男性より短期間で依存症になる傾向がある。(1)酒に強い(2)ストレス解消が苦手(3)親密な人間関係を持たない―というタイプは要注意という。
 石川院長は「女性の方が依存症に至る進行が早い。精神の発達過程で飲酒すると、飲酒をやめた後の生活をイメージしづらく、再発しやすい」と警告している。(生活文化部・肘井大祐)


2011年01月27日木曜日


Ads by Google

関連記事

powered by weblio



△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS
  • 47CULB