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大阪大:サウジアラビア人心臓手術 期待の医療ツーリズム

心臓の最先端医療を受けるサウジアラビア人のサーレハ・アルシャリーダさん(左)。右は澤芳樹・大阪大教授=大阪府吹田市の大阪大医学部付属病院で2011年1月27日、森園道子撮影
心臓の最先端医療を受けるサウジアラビア人のサーレハ・アルシャリーダさん(左)。右は澤芳樹・大阪大教授=大阪府吹田市の大阪大医学部付属病院で2011年1月27日、森園道子撮影

 重い心臓病のサウジアラビア人患者が28日、自身の細胞を使って心臓機能を回復させる最先端の手術を大阪大病院(大阪府吹田市)で受ける。海外の患者に日本の高度な医療技術を提供する「医療ツーリズム」の先駆けとして注目を集めている。医療ツーリズムは近年、世界的に広まり、日本でも新たな成長分野として期待されている。

 手術を受けるのはサーレハ・アルシャリーダさん(58)。拡張型心筋症で心臓の機能が健康な人の半分くらいしかなく、薬も効かなかった。自国の病院の紹介で来日。足の筋肉細胞を採取し、体外培養して作った「細胞シート」を心臓に張る手術を受ける。阪大の澤芳樹教授らのチームが開発した手法で、これまで9人に実施。8人は既に退院し、補助人工心臓や強心剤が必要なくなるまでに回復している人もいる。

 手術に先立ち、アルシャリーダさんと澤教授が27日夕、毎日新聞などの取材に応じた。28日の手術では、細胞シート約30枚を心臓の左心室に張る。

 アルシャリーダさんは「欧米と比べても高い心臓手術の技術があると知り、ぜひ受けたいと思った。レベルの高い先生方に囲まれ、落ち着いた気持ちで手術に臨めます」と話した。澤教授は「日本も移植などで世界のお世話になってきた。国際貢献すると同時に日本の医療の高さも海外に知ってもらえる」と意気込みを語った。中東から他にも約10件、同じ手術を望む問い合わせがあるという。【林田七恵】

毎日新聞 2011年1月28日 1時37分(最終更新 1月28日 1時52分)

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