ライフ【産経抄】1月28日2011.1.28 02:59

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【産経抄】
1月28日

2011.1.28 02:59

 「アー・ユー・ヤンキー・オア・モンキー?」。明治の美術界の先導者、岡倉天心は日露戦争の最中に渡米していた。ある日ボストンの街を、弟子の横山大観らと歩いていると、現地の大学生風の男が話しかけてきた。

 ▼「アー・ユー・チャイニーズ・オア・ジャパニーズ?」。天心は、すかさず、冒頭の質問をぶつけた。「あなたは猿か?」と切り返された男が、どんな反応を示したのかは知らない。

 ▼サッカーアジア杯準決勝の日本戦で、韓国の奇誠庸選手がPKを決めた後、カメラに向かってした猿の物まねが、韓国で物議を醸している。試合中継を見ていたときは、まったく気が付かなかった。押し気味だった試合で、まさかの先制点を奪われたショックが大きすぎたせいもある。

 ▼奇選手も、「特別な意味はない」とでもコメントしておけば騒ぎにならなかったろうに。自身の「ツイッター」で、「観客席の旭日旗を見て、胸中で涙が流れた」と、日本人への当てこすりであることを認めてしまった。第二次大戦中は米兵が、日本人を「黄色い猿」と蔑(さげす)んだものだ。

 ▼最近では、世界中から選手が集まる欧州サッカー界で、ファンが特定の黒人選手に猿の鳴きまねを浴びせるトラブルが後を絶たない。ときに日本人、韓国人選手も標的になる。事態を重く見た国際サッカー連盟(FIFA)では、差別行為に罰則規定を設けている。スコットランドのセルティックでプレーする奇選手も、承知しているはずだ。

 ▼今回意外だったのが、日本叩(たた)きが大好きだと思っていた韓国のメディアが、奇選手に批判的なことだ。経済でも、スポーツでも、日本を凌駕(りょうが)する勢いの韓国の余裕だろうか。と、持ち上げておく。

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