2010年11月30日 11時22分 更新:11月30日 12時58分
【カンクン(メキシコ)國枝すみれ】京都議定書に定めのない13年以降の地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)が29日午前、開幕した。12年末までに新しいルールができなければ、どの国にも温室効果ガスの排出削減義務が生じない「空白期間」ができる。議定書を延長して空白期間を回避しようとする途上国に対し、日本政府は中国など新興国も含めた新しい枠組みを作るよう主張しており、会議は早くも難航が予想される。
開会式でクリスティアナ・フィゲレス条約事務局長は、この会議を各国が共同で壁掛けを編む作業にたとえ「たやすくないが達成可能な仕事だ」と演説。議定書の枠組みの継続・発展と、昨年12月のコペンハーゲン会議で決まった、先進国から途上国への280億ドル(約2兆3500億円)の資金援助システムの具体化などを訴えた。
また、議長国メキシコのカルデロン大統領は、昨年メキシコを襲ったハリケーンや、今夏のパキスタンでの洪水を例に挙げ「温暖化を止めるか、温暖化が文明を変えるかだ。自国の利益に固執しわがままを言うのはやめよう。ここで合意すれば我々は違う未来を分け合うことができる」と呼びかけた。
しかし、本会議の冒頭、パプアニューギニア代表が「(全会一致を前提とする)コンセンサス方式では会議の進行を人質にする国が出てきて、重要審議は進まない」と問題提起。これにボリビア代表が「コペンハーゲン会議では未明に合意案が配られ、決定を強いられるなどコンセンサスの原則が守られなかった。同じことが起きないようにしてほしい」と求め、会議の運営ルールをめぐり議論が続いた。会期は12月10日まで。各国代表や企業、市民団体など約1万5000人が参加する。
COPとは「ConferenceoftheParties」(締約国会議)の略称。地球温暖化防止を目指す「国連気候変動枠組み条約」の締約国が交渉する場で、95年から毎年開かれ、今回が16回目。97年のCOP3では、先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた「京都議定書」が採択された。194カ国・地域が条約を批准している。10月に名古屋市で開かれたCOP10は「国連生物多様性条約」の第10回締約国会議で、議論する条約が異なる。