2010年11月29日 22時20分 更新:11月30日 8時46分
島根県は29日、安来市の養鶏農家(2万羽飼育)で、高病原性鳥インフルエンザの疑いが強い事例が発生したことを明らかにした。ウイルスはH5型の可能性が高いという。茨城県つくば市の動物衛生研究所に検体を搬送してウイルス検査し、確定する見込み。
県によると、この養鶏農家で29日朝、5羽の鶏がかたまって死んでいるのを農場主が発見、不安に思い通報したという。県の簡易検査で鳥インフル陽性であることを確認した。遺伝子検査(PCR検査)でも高病原性鳥インフルエンザの疑いが強いと判断された。
動物衛生研究所のウイルス検査で発生が確認されれば、この農場の鶏は殺処分されるほか、半径10キロ以内の鶏が移動制限される可能性があり、同エリア内には数軒の養鶏農家があるという
これを受け、農林水産省は29日夜に鹿野道彦農相を本部長とする防疫対策本部を設置し会議を開いた。
同省によると、当該農家の飼育数は計2万3300羽で、30日にも殺処分される。また、当該農家から半径10キロ以内が同日にも移動制限区域となる。区域の一部は鳥取県にもかかり、養鶏農家は計5農家(島根側2、鳥取側3)で、計14万羽を飼育しているという。周辺農家の鶏の異常は報告されていない。
農水省によると、当該農家は中海に近く、「野鳥から感染した可能性はあり、調査する必要がある」(動物衛生課)という。
当該農家では27日にも5羽の死が確認され、29日は朝の5羽のほか夜までにさらに30羽が死んだことなどから、専門家の意見を聞いた上で高病原性鳥インフルエンザが疑われる家畜と判断されたという。
鹿野農相は「拡大をいかに防ぐかに万全を期したい」などと話した。松木謙公政務官と、獣医師の資格を持つ職員ら5人を30日、島根県庁に派遣する。【御園生枝里、佐藤浩】