国出先機関:地方移譲上乗せ2%…各府省、依然及び腰

2010年11月28日 2時32分

 国の出先機関で地方自治体への移譲が可能な権限や事業について、各府省がまとめた概要が27日、判明した。8月末の報告では、約500の事務・権限のうち移譲可能と回答があったのは1割弱で、菅直人首相が再検討を指示していた。法務局(法務省)の「司法書士試験の実施」などが上乗せされたが全体の2%程度で、各府省の消極姿勢が改めて浮き彫りになった。29日の政府の地域主権戦略会議で報告する。

 「全国一律・一斉に地方移譲する」と上乗せ回答したのは、法務局の土地家屋調査士試験の実施など2事務だけ。同局の「人権擁護に関する事務」や地方農政局(農林水産省)の2事務、総合通信局(総務省)の「ケーブルテレビの許認可」や「情報通信に関する広報啓発・相談」など5事務は、一部について地方自治体への移譲や、国による統一的判断基準の策定などを条件に「移譲可能」と回答した。

 経済産業局(経済産業省)、地方運輸局(国土交通省)は計7の事務・権限に関し、希望する自治体への移譲を認めるなどと回答した。一方、厚生労働省は都道府県労働局のハローワークについて、国と自治体で一体運営する案を「上乗せ」と主張し事実上のゼロ回答。森林管理局(農水省)や地方環境事務所(環境省)も上乗せはなかった。

 政府は年内に出先機関の権限移譲の工程などを示す「アクション・プラン」を策定する方針。首相は改革実現のため、抵抗する政務三役や官僚に対する「人事権の発動」にも言及しており、省庁の抵抗を越えて権限移譲を進められるかが試される。【笈田直樹】

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