2010年11月28日 17時59分 更新:11月29日 1時15分
【北京・成沢健一、米村耕一】北朝鮮による韓国・延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件を受け、中国の武大偉(ぶ・だいい)朝鮮半島問題特別代表は28日、中国外務省で緊急会見し、北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議首席代表による緊急協議を12月上旬に北京で開催することを提案した。米韓合同軍事演習で緊張が高まる中、08年12月に中断した6カ国協議の議長国として、事態打開に向けた「対話の場」が必要だと訴えた形。しかし、北朝鮮が核開発や軍事的挑発を続ける現状では、日米韓3カ国が提案を受け入れるのは困難な情勢だ。
武代表は会見で「(朝鮮半島の非核化で合意した)05年9月の6カ国協議共同声明に基づき慎重に検討した上での提案」と説明。「共同声明実現の重責を負う首席代表は、緊張緩和に貢献する必要がある」と強調した。
しかし、日米韓は「核開発計画の完全放棄が協議再開の条件」と主張。武代表は「(緊急協議は)6カ国協議再開を意味するものではない」と日米韓に配慮する一方、「再開への条件作りにつながることを希望する」との期待感も表した。
中国は今回の提案を前に、米韓など関係各国と協議を重ねた。戴秉国(たい・へいこく)国務委員がソウルで28日に李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領と会談し、「公正で責任ある姿勢で朝鮮半島の平和に寄与してほしい」と強く求められていた。
一方、米国との「対話」を求める北朝鮮は提案に賛同するとみられる。
中国の新華社通信は28日、北朝鮮の崔泰福(チェ・テボク)党政治局員・書記が30日に訪中すると報道。崔書記は、金正日(キム・ジョンイル)総書記による胡錦濤(こ・きんとう)国家主席へのメッセージを伝える可能性がある。中国も近く外交当局者を北朝鮮に派遣するとの観測がある。