教え子の女子生徒に09年1~2月、ストーカーまがいの行為を繰り返していた甲府市立中の50代の男性教諭が同年3月、3年生全員の成績表処分を生徒に手伝わせ、流出していたことが、市教育委員会などへの取材で分かった。市教委は当時の女子生徒への行為を口頭注意にとどめ、成績表の外部流出も把握していなかった。
市教委や学校関係者によると、流出した成績表は「素点表」と呼ばれ、3年約160人の定期試験5科目の点数が記されている。3年担当教員の進路指導用で、生徒指導主事だった教諭は他校への異動直前の3月末、顧問だった部活の3年男子部員に素点表のシュレッダー掛けをさせた。
その際、部員が素点表を校外に持ち出し、内容を後輩に伝えたため、保護者から「成績が流出している」と学校に連絡があった。部員が「面白半分に持ち出した」と謝ったことから、教諭のずさんな行為が分かり、外部に漏れた素点表を回収した。
一方、校長は教諭を口頭注意にとどめ、市教委に報告しなかった。県教委指針では、成績など職務上知り得た秘密を漏らすことは懲戒処分対象になる。
市教委の調査に、教諭は流出経緯を認め、校長は「口頭指導で十分と思った」と釈明しているという。市教委の平井政幸・学校教育課長は「生徒に書類の処分を手伝わせるなど考えられない」と話している。【中西啓介】
毎日新聞 2011年1月15日 2時30分(最終更新 1月15日 2時38分)