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【社会】

給食費未納対策 自治体手探り 

2011年1月27日 13時53分

 深刻化する給食費の未納問題で「払えるのに払わない人」の対策のため、自治体が特命班を組織したり、簡易裁判所に督促を申し立てたりと試行錯誤を続けている。だが、強制的な督促には限度があり、必ずしも成果を出していないのが現状。地道な家庭訪問の方が効果があるという指摘もある。 (社会部・中沢佳子)

 埼玉県川越市は職員三人で未納の相談や徴収の専門班をつくったが、二〇〇九年度の未納率は0・73%で〇七年度から0・08ポイント増とほぼ横ばい。目立った効果は見られない。

 横浜市は、支払い能力があるのに一年以上払わない場合、簡易裁判所に督促を申し立てている。〇八年度以降、申し立ての対象は十七世帯だが、回収できたのはゼロ。「給食費は強制徴収ができない債権。法的措置を取る姿勢を見せれば払うだろうと考えていたが…」と市の担当者は厳しさを実感する。

 千葉県大網白里町は〇六年、三カ月滞納して催促にも応じなければ「給食を止めることもある」と保護者に通知した。「啓発のつもりだった」というように実際に止めたことはないが、効果も上がらず、通知も一度きりでやめた。

 一方で、東京都東村山市は〇一年以降にプリペイドカードを導入し、未納ゼロを実現した。市内全七校の中学で一定期間分の給食費をカードで前払いし、給食を予約する仕組みだ。予約がなければ給食を食べられないため弁当を持参することになる。市内の一部の小学校も集金袋による徴収を復活させ、悪質な滞納はなくなった。

 宇都宮市は、保護者に給食費納付の確約書提出を連帯保証人付きで求めた。未納額は、制度導入前の〇六年度は六百二十万円だったが、〇九年度は三百五十五万円に減少したという。

 こうした強制による試みの多くが成果を挙げていない中で、教諭らが家庭訪問をするなど地道な回収に取り組む例も多い。長野県辰野町では、一部の学校でPTA役員が顔見知り効果を期待し、未納者の家庭を訪れて支払いを要請するなどの試みもある。

 文部科学省が効果のあった未納対策を自治体に尋ねたところ、家庭訪問34・6%、電話や文書での督促29・0%、集金袋など現金徴収8・0%が上位。法的措置は2・4%にとどまる。

 同省健康教育企画室の佐藤弘毅室長は「遠回りでも保護者と顔を突き合わせて関係を築く手段が効果を出している」と指摘した。

 「全国学校給食を考える会」(東京都港区)事務局の牛島真也さんは「給食を重要な教育の一環ととらえ直せば、未納の事態も変わるのでは」と話している。

(東京新聞)

 

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