|
きょうのコラム「時鐘」 2011年1月27日
回遊魚だから。氷見ブリの産地偽装で問題の仲卸業者が口にした言葉である。季節によって定期的に海の中を移動する魚を指す
その時その時、すみよい所を選んで泳いで回るのだから、確かに回遊魚に固定的な産地はない。だが、それが偽装の言い訳にはなるまい。政界に似た例がある。与謝野経済財政相。自民党から、たちあがれ日本へ回遊し、菅首相に一本釣りされた 明治の「政界」は「政海」とも書いた。日の当たる場所にうまく移るのを「政界遊泳術」とも言う。まことに的確な表現だ。財政再建の信念がいくら強くとも、与謝野流の回遊は、政治家として「偽」のレッテルが張られたも同然だろう 国会論戦が始まり、野党による与謝野氏追及の矢が放たれた。民主党の経済政策を批判し続けた人が内閣の経済財政政策の柱になったのだから、その遊泳ぶりが標的にならないわけがない 偽装ブリは築地市場のプロに見破られた。目利きはどこにもいる。政界の真贋を見分けるのは有権者だ。プロではなくて時に気まぐれだが、最強のアマチュアである。ごまかせると思ったら痛い目にあう。 |