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[経済・IT]ニュース
バブル、格差拡大、世界と軋轢…危うい経済大国・中国が世界を左右
2011.1.20 20:45
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【上海=河崎真澄】巨額財政支出による公共投資と割安な人民元を武器とした輸出攻勢を両輪に中国は3年ぶりに2けたの経済成長をとげた。名目の国内総生産(GDP)はこの10年で4倍に膨れ、日本を抜き去った。だが、景気過熱で不動産市場はバブル化し、生活必需品などのインフレも加速。取り残された低所得者層は格差拡大に不満を募らせている。人民元問題やレアアース輸出規制などで世界との軋(あつ)轢(れき)は高まるばかり。世界2位の経済大国の実相は危うい。
■モラルハザード
「バンバンバーン」。週末になると、上海郊外のマンション街では早朝から爆竹が鳴り響く。高額物件の契約成立を祝い、不動産業者が景気づけに鳴らしているのだ。
「党と政府は何があっても国有企業や銀行を必ず救済するし、不動産相場はそう簡単に下がらない」。上海の不動産業者は真顔でこう話す。
当局は、不動産バブルの抑制に躍起だ。昨年1月以降、7回にわたり預金準備率を引き上げ、10月以降は2回の利上げにも踏み切り、金融引き締めを続けている。だが、昨年12月の全国70都市住宅価格(オフィス含む)は、前年同月比6・4%上昇した。前月比ベースでも4カ月連続で上昇を続けており、取引が沈静化する兆しはない。
まだ市場経済の経験も浅い中国では、政府が完全に経済をコントロールしていた計画経済時代の幻想が強く、バブル崩壊への危機意識は薄い。
地方当局から富裕層の個人まで誰もが不動産投資に狂奔しており、みずほ総研上席主任研究員の鈴木貴元氏は「モラルハザードが起きている」と警告する。
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