【北京】中国の軍事専門家は、同国がステルス戦闘機「殲20」の開発で米国の秘密技術を入手したとの見方を否定。中国独自の技術を使って開発したと主張している。
航空専門家らが殲20は外観が米国の「F22ラプター」に似ていると指摘したことから、中国は米国のステルス技術を入手したのではないかとの見方が浮上している。F22は現在のところ実戦配備されているステルス機としては唯一のものだ。2基のエンジンを搭載した殲20は、ゲーツ米国防長官が中国を訪問しているさなかに試験飛行が行われた。
AP通信が23日報じたところでは、セルビアの対空ミサイルが1999年のコソボ戦争中に撃墜した米ステルス戦闘機「F117ナイトホーク」の残骸の一部を中国が入手して何らかのステルス技術を得た公算が大きい、とバルカン半島の軍事当局者が述べたという。F117は米国の最初のステルス戦闘機。
次いで24日には、B2爆撃機の元エンジニア、ノシル・ゴワディア被告がハワイの裁判所で、ステルスミサイル技術を中国に売った罪で32年の禁錮刑を言い渡された。同被告は控訴する方針だという。
中国の専門家らは、F117の残骸からもスパイからも米国の技術を得ていないと述べた。これらの専門家は、F117に使われていた技術は中国が開発したものほど先端的なものではないとしている。ただ、一部の専門家は、公になっている原資料は使った可能性があると語った。
中国人民解放軍国防大学の李大光教授は「中国がステルス戦闘機を作ることは完全に可能だ」と強調した。その上で、「殲20は独自の研究で開発されたと思う。しかし、同時に既存の外国のモデルからも学んでいる。多くの国がステルス機の技術を持っており、ステルスの材料はそれほど高い技術でもないし極秘にもなっていない」と語った。
米当局者らは2009年、次世代ステルス戦闘機F35の開発プログラムにコンピュータースパイが繰り返し侵入したと述べている。当時の当局者は同時に、これが中国からのものだと思うと語った。中国政府はこうした攻撃を否定している。
F117は1970年代に秘密裏に開発され、83年に実戦配備されたが、2008年に退役した。同型機はレーダーを完全に避けることはできなかったが、その捕捉は極めて難しかった。