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スポーツ・青少年分科会(第57回) 議事録

1.日時

平成22年8月3日15時30分~17時

2.場所

文部科学省庁舎16階 16F特別会議室

3.議題

  1. 「スポーツ立国戦略(案)」について
  2. その他

4.出席者

委員

衞藤分科会長、岡島委員、宇津木委員、菊川委員、曽我委員、増田委員、上村委員、笠原委員、木村委員、佐藤委員、田嶋委員、土江委員、服部委員、平井委員、三木委員、宮嶋委員、山口委員

文部科学省

金森文部科学審議官、布村スポーツ・青少年局長、藤原大臣官房審議官(スポーツ・青少年局担当)、有松スポーツ・青少年総括官、山口企画・体育課長、坂元生涯スポーツ課長、芦立競技スポーツ課長、勝山青少年課長、大木参事官(青少年健全育成担当)、上月生涯学習政策局政策課長、平山スポーツ政策企画室長

5.議事録

【衞藤分科会長】  皆さん、こんにちは。お暑い中お集まりいただきましてありがとうございます。
 ただいまから第57回中央教育審議会スポーツ・青少年分科会を開催いたします。本日はご多忙の中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 まず本日は、予定された議題に入ります前に、皆様にお諮りしたいことがございまして、会議の冒頭は非公開としております。お諮りしたい内容は、会議の公開方法に関することでございます。一部の報道関係者から、本日の会議における審議の様子をテレビカメラで撮影したいとの要望が出されております。会議の撮影につきましては、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会の会議の公開に関する規則第2条第2項により、分科会長の許可が必要ということになっております。
 撮影の許可につきましては、例えば会議自体が公開なのだから、テレビカメラによる撮影も問題ないのではないかというお考えもある一方で、意図したことと異なる形で報道されるおそれがあるのではないか、議題によっては関係団体等からの反響なども懸念されるのではないかといったお考えもあろうかと思いますが、いかがでしょうか。何かご意見のある方、ぜひお聞かせいただきたいんですが。
 特段、ご意見がないようですから、私、分科会長として決めさせていただいてよろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

 いろいろな見方はあろうかと思いますが、本日に関しましては公開という原則にのっとって、審議に支障を来さぬようご配慮いただくということで、テレビカメラの撮影を認めるということにさせていただきたいと思います。ご了承いただきたいと思います。
 それでは、報道関係者の方、一般傍聴の方を入れて、公開という形にしたいと思います。よろしくお願いします。

(報道記者入室)

 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
 初めに、東京都高等学校体育連盟の会長の交代がございました関係で、中川委員にかわりまして、本日から佐藤委員に本分科会にご参加いただいております。では、佐藤委員から一言ごあいさつをお願いいたします。

【佐藤委員】  東京都高体連会長になりました佐藤光一と申します。よろしくお願いします。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。また、事務局のほうでも幾つか人事異動があったと聞いておりますので、ご紹介をお願いいたします。

【山口企画・体育課長】  前回の分科会後の事務局の異動につきましてご報告を申し上げたいと思います。まず、文部科学審議官として金森が就任しております。

【金森文部科学審議官】  金森でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山口企画・体育課長】  それから、スポーツ・青少年局内でございますけれども、大臣官房審議官の尾﨑に代わりまして藤原が着任しております。

【藤原大臣官房審議官】  藤原です。よろしくお願いいたします。

【山口企画・体育課長】  それから、スポーツ・青少年総括官の加藤に代わりまして有松が就任しております。

【有松スポーツ・青少年総括官】  有松でございます。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【山口企画・体育課長】  それから、青少年課長の池田に代わりまして勝山が着任しております。

【勝山青少年課長】  勝山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【山口企画・体育課長】  最後になりますけれども、企画・体課長の有松に代わりまして、私、山口が就任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

【衞藤分科会長】  以上でございました。それでは、本日の議題に入ります前に、布村スポーツ・青少年局長よりご挨拶をいただきます。

【布村スポーツ・青少年局長】  本日、委員の先生方にはお忙しい中ご出席をいただきましてありがとうございます。スポーツ・青少年局の幹部は大きく変わりましたけれども、引き続き、先生方のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。
 本日は、スポーツ立国戦略を主な議題として取り上げさせていただいております。現在、スポーツ振興法という法律がございますが、これは東京オリンピックのころに策定されたものでございます。それ以来、約半世紀を経ておりますので、新たなスポーツ基本法という法案の検討も視野に入れる中で、今後のスポーツ政策の基本的な方向性を取りまとめるためにスポーツ立国戦略の策定に動き出しているところでございます。
 この分科会におきましては、昨年の6月から8月にかけまして、衞藤分科会長を委員長としたスポーツ振興に関する特別委員会にご意見の取りまとめをお願いしたところでございますが、それも踏まえながら、今年に入りまして鈴木副大臣、高井政務官を中心としてヒアリングを重ねてまいりました。この委員の先生方の中にも、ヒアリングにご出席をいただいた方が多数おられますし、それから私どもスポーツ・青少年局の職員につきましても、全国各地の地方公共団体やスポーツ団体、あるいはスポーツクラブに足を運ばさせていただきまして、現場のスポーツ団体の方々のご意見を直接伺う作業を重ねてまいったところでございます。お手元にありますように、また事前にお配りさせていただいたように、7月の段階でこの案を取りまとめて、現在、「熟議」という形で、幅広く国民の方々のご意見をいただくという作業を重ねているところでございます。
 本日はスポーツ・青少年分科会の委員の先生方に直接ご意見をいただきながら、最終的なスポーツ立国戦略というものを固めていきたいということで、こういう機会をとらせていただいたところでございます。
 このスポーツ立国戦略では、我が国の新たなスポーツ文化の確立をということで、人々がスポーツの楽しさや感動を分かち合う社会をつくろうという新しいスポーツ文化の国づくり、「スポーツコミュニティ・ニッポン」というネーミングも付した案になっております。今後の概ね10年間を目安として実施すべきスポーツ政策や、スポーツ行政の体制の整備のあり方について、基本的な方向をお示しできるものにしたいと考えているところでございます。
 このスポーツ・青少年分科会において、委員の皆様方のご意見を幅広く、忌憚のないご意見をいただいた上で、最終的な取りまとめにつなげていきたいと考えておりますので、ご指導をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

【衞藤分科会長】  ありがとうございます。それでは、議題の1、スポーツ立国戦略(案)についての議事に入りたいと思います。これまで当分科会では、スポーツ振興に関する特別委員会で、「今後のスポーツの振興方策」を審議してまいりましたが、本年3月から文部科学省においてスポーツ立国戦略の策定に向けた検討作業が開始されましたことを受けまして、前回、第56回の分科会ではその検討に資するよう、さまざまなご意見をちょうだいいたしました。去る7月20日には、スポーツ立国戦略(案)が公表されましたので、委員の皆様には本日の分科会に先立って資料を送付させていただきました。本日は、この案について専門的な見地からご議論をいただきたいと思います。
まず、事務局からご説明をお願いいたします。

【有松スポーツ・青少年総括官】  それでは、お手元の資料1と資料2に基づきましてご説明申し上げたいと存じます。
 まず、本戦略策定の背景、検討の経緯及び今後の予定等につきまして、簡単にご説明申し上げたいと存じます。  先ほど布村局長からも申し上げたところでございますが、本戦略は昭和36年の制定から半世紀を経過しております現在のスポーツ振興法を見直して、新たなスポーツ基本法を検討するということを視野に入れて、今後の我が国のスポーツ政策の基本的方向性を示すものとして、文部科学省において検討を進めてきたものでございます。
 検討に当たりましては、これも先ほど申し上げましたとおりですが、本分科会におきまして委員の先生方からご意見を賜りましたほか、本文の資料2の21ページ目以降に参考資料としてお付けしておりますけれども、有識者の方々からのご意見をいただいたり、また地方公共団体等への現地調査など、スポーツ関係者と幅広く意見交換を重ねながら行政課題を点検してきたところでございます。
 文部科学省ではこうした検討を踏まえまして、本日、ご審議いただくスポーツ立国戦略(案)を取りまとめまして、7月20日に公表いたしました。今後は、本日のご審議や、また後ほどご説明申し上げますが、参考資料5にありますような文部科学省のホームページにおいて実施しております「熟議」による意見募集などを踏まえまして、8月下旬ごろに最終的に取りまとめる予定でおります。また、その後でございますけれども、この戦略で示しましたスポーツ政策の全体像に従いまして、スポーツ基本法や新たなスポーツ振興基本計画、そして予算への反映など、具体的な施策を検討・実行していきたいと考えております。
 それでは、早速ですが、資料に基づきまして、スポーツ立国戦略(案)の概要をご説明申し上げます。お手元の資料1、カラーの横のものをごらんいただきたいと思います。
 本戦略は、我が国の新たなスポーツ文化の確立として、人々が広くスポーツに親しむことを通じてスポーツの楽しさや感動を分かち合い、支え合う社会を築くことを目指す姿として掲げております。
 そして、この目指す姿の実現に向けた基本的な考え方の第1番目として、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことのできる環境を整備することを念頭に、人、つまりスポーツをする人、観る人、支える、あるいは育てる人の重視を掲げております。
 また、基本的な考え方の第2番目といたしまして、連携・協働の推進を掲げております。例えば地域スポーツクラブや学校、スポーツ団体など、スポーツ界の全体が連携し協働することによりまして、トップスポーツと地域スポーツとの好循環を生み出すこと、またスポーツを通じた「新しい公共」の形成を推進し、社会全体でスポーツを支える基盤を整備することを第2番目の基本的考え方としております。
 本戦略では、この基本的な考え方のもとに、今後おおむね10年間で実施すべき5つの重点戦略といたしまして、第1にライフステージに応じたスポーツ機会の創造、第2に世界で競い合うトップアスリートの育成・強化、第3にスポーツ界の連携・協働による「好循環」の創出、第4に、透明性の高い公平・公正なスポーツ界の実現、第5に、社会全体でスポーツを支える基盤の整備。この5つを掲げまして、それぞれの重点戦略につきまして、政策目標、重点的に実施すべき施策を示しております。
 5つの重点戦略の政策目標及び重点的に実施すべき施策の内容につきましては、この資料の2ページ目をごらんいただきたいと思います。
 まず、重点戦略1、ライフステージに応じたスポーツ機会の創造でございますが、これに関する政策目標といたしまして、生涯スポーツ社会の実現のため、成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人、そして週3回以上のスポーツ実施率が3人に1人となること、学校体育・運動部活動の充実を掲げております。
 また、そのための具体的施策として、トップアスリート等を活用した魅力あるスポーツサービスの提供など、地域スポーツ環境の整備のための施策、高齢者の体力づくり支援など、ライフステージに応じたスポーツ活動を推進するための施策、担任とティームティーチングで体育の授業に取り組むなどの活動を行う小学校体育活動コーディネーター(仮称)の配置など、学校体育・運動部活動の充実のための施策を掲げております。
 次に、重点戦略2、世界で競い合うトップアスリートの育成・強化でございますが、政策目標として、オリンピックについて過去最多のメダル数と入賞者数以上を目指すとともに、主な世界選手権大会につきましても過去最多の入賞者数以上を目指すこと、また、中長期的な強化・育成戦略を推進するため、各ジュニア選手権大会のメダル獲得数の大幅増を目指すこと、ジュニア期から引退後まで安心して競技に専念できる環境の整備、国際競技大会の積極的な招致・開催を掲げております。
 そのための具体的施策として、ジュニア期からトップレベルに至る中長期的な戦略的支援の強化や、大学を活用した分散型の強化・研究活動拠点ネットワークの構築、アスリートのキャリア形成支援等を掲げております。
 次に、資料の3ページ目をごらんください。重点戦略3につきましては、スポーツ界の連携・協働による「好循環」の創出に向け、全国300カ所程度を目安として、拠点となる総合型クラブに引退後のトップアスリートなどすぐれた指導者を配置すること、学校体育・運動部活動で活用する地域のスポーツ人材の拡充を目指すことを政策目標に掲げまして、そのために、トップアスリート等がセカンドキャリアとして地域スポーツの場で活躍できる体制を整備する等の施策を推進することとしております。
 次に重点戦略4、透明性の高い公平・公正なスポーツ界の実現につきましては、スポーツ団体のガバナンスの強化やスポーツ紛争の迅速・円滑な解決の支援等を政策目標といたしまして、このための施策として、スポーツ団体の組織運営に関するガイドラインの策定などを掲げております。
 最後に、重点戦略5、社会全体でスポーツを支える基盤の整備でございますが、スポーツを通じた「新しい公共」の形成を促すとともに、社会全体でスポーツを支えるための基盤を整備するために、「新しい公共」の担い手となるコミュニティスポーツクラブの推進や、スポーツへの興味・関心を高めるための国民運動を展開することとしております。この「新しい公共」につきましては、参考資料2「新しい公共」宣言をお配りしておりますので、ご参照ください。
 次に、資料の1ページ目にお戻りいただき法制度・税制・組織・財源などの体制整備と記載されている部分をごらんください。これにつきましては、資料2の本文19ページ目に詳しく記載がなされておりますけれども、ここではこれまでにご説明申し上げました戦略を実現するための体制整備のあり方として、スポーツ基本法などの関連法制度の整備の検討や国の総合的なスポーツ行政推進のための組織のあり方として、スポーツ庁等の行政組織のあり方の検討や独立行政法人日本スポーツ振興センターの機能強化、また、スポーツ振興財源の効率的な活用等を掲げております。
 簡単ですが、以上でございます。よろしくご審議をお願い申し上げます。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。
 それでは、ただいまご説明いただきましたスポーツ立国戦略(案)の概要につきまして、ご意見を皆様からいただきたいと思います。どうぞご自由にご発言いただきたいと思いますが、若干この席から皆様方の位置が見にくいので、いつものように名札をご発言のとき立てていただいて、終わりましたら、また戻していただくということにしたいと思います。

【上村委員】  2点ほどお尋ねします。1つは、今、各スポーツ団体は新公益法人認定に向けて作業を進めておりますが、その新公益法人としての認定を内閣府から受けた後、各スポーツ団体と内閣府、あるいは文科省とのかかわりが今後どういう形になっていくのかかというのが1つです。
 そして、もう一つは、ここにスポーツの統括団体である日体協とJOCの位置づけと役割が明記されておりませんが、それは今までどおりだということで書かれてないのか、それとも新たな戦略として書かれるものなのかをお尋ねしたいと思います。

【衞藤分科会長】  ご質問ですので、事務局のほうからお答えをお願いします。

【有松スポーツ・青少年総括官】  まず、最初の公益法人の件でございますが、ご指摘のとおり、新しい制度における公益認定は内閣府の所管になりますが、スポーツ振興の事業を目的にご活動いただいている団体につきましては、現在の公益法人の主務官庁という立場からのかかわりは離れることになりますが、スポーツ振興を担っている立場からいろいろ連携、協力する関係はこれからも変わらず続いていくものと思っております。
 それから、JOCと日体協の役割についてはご指摘のとおり、これまで中心的な団体としてご活動いただいたことはこれからも一切変わるものではないと思っております。さらに新しいスポーツ振興策の中で、JISSの機能強化等々の戦略をどのようにつくっていくのかといったところでJISSと連携をしていただいて、JOC、体協と十分な連携を図りながら、日本全体としてのスポーツ戦略を練っていくということで、これかも引き続き重大な役割をお果たしいただくと思っております。

【衞藤分科会長】  岡島副分科会長。

【岡島副分科会長】  自然体験活動のようなものはスポーツという中に入っているのかどうかということをお聞きしたいです。文部科学省の所管では青少年課があるわけですけれども、今回のスポーツ立国戦略にはスポーツという概念から自然体験活動は外れているのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。

【衞藤分科会長】  では、概念に関して。

【有松スポーツ・青少年総括官】  広く申しますと、健康増進とか体力の向上とか、さまざまな目的のもとで行う身体活動全般をスポーツと思っておりますので、体をあまり動かさない体験はともかくとして、体験活動の中でも野外活動あるいは自然体験活動、などは大いにスポーツの範疇に入るものと思っております。

【岡島副分科会長】  自然体験活動の場合は、一番大きくスポーツと違うのは、勝ち負けがないというところがあるんです。そういう意味で、文部科学省の範疇の中では、自然体験活動はスポーツ・青少年局の青少年課の課題となっているんですけれども、スポーツ立国戦略の中においては、いわゆる自然体験活動を外してあるのかどうか。というのは、一つも書かれていないのでそこのところをちょっとお聞きしたいんですが。

【有松スポーツ・青少年総括官】  ご指摘を受けまして、なるほどと思うところはあるんですが、自然体験活動という単語は確かにございません。ただ、スポーツというものについて記述している、例えば2ページあたりをごらんいただきますと、その活動自体が体を動かすという人間の本源的な欲求にこたえる云々というふうに自然体験活動にも大いにかかわりのあるような記述をしておりますので、範囲としてはそうしたものも入ると思っているわけでございます。勝ち負けが決まるものだけをスポーツと言っているかというと、そうではないということははっきり申し上げるべきだと思うんですけれども、もし少しそうであるかのように読めるということであれば、検討させていただきたいと思います。

【岡島副分科会長】  勝ち負けがあるから、違うと言っているわけじゃなくて、特性としては勝ち負けがないものなので、スポーツという範疇から外れると思われることが多いんですけれども、文部科学省の所管の中でも自然体験活動はスポーツ・青少年局でありますので、その部分は何らかの形で触れておいていただきたい。そういうことでございます。

【有松スポーツ・青少年総括官】  入っているつもりでおりますけれども、よりはっきりと工夫させていただきたいと思います。

【衞藤分科会長】  では、笠原委員。

【笠原委員】  最初の1に書いてある中で、少し気になることがあるので教えていただきます。新たなスポーツ文化の確立となっていまして、今までスポーツにかかわってきた1人として、スポーツ振興に関する特別委員会でも保健体育審議会での答申や報告書にもありますし、スポーツ文化の確立というのはスポーツ振興基本計画の中にも書かれており、すでに述べられてきている話だと思います。それなのに、新たなということになると、何の新たなのかということが見えない。これは戦略だからということなのかもしれませんけれども、その辺のご説明をいただければなと思っています。私の気持ちとしては、さらなるスポーツ文化の確立ということであるならば、理解できるかなという感じがしまして、一応一言発言させていただきました。

【衞藤分科会長】  それでは、新たなスポーツ文化の確立に関しまして、お答えをお願いします。

【有松スポーツ・青少年総括官】  ご指摘のとおりの趣旨だと思っております。これまでご審議をいただきましたスポーツ文化の確立ということを一層高く実現するという気持ちを込めまして、一層、さらなるという意味で新たに今回取りまとめる戦略のものですので、趣旨はご指摘のとおりでございます。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。それでは、増田委員、お願いします。

【増田委員】  今年の春にこのスポーツ立国戦略という言葉を聞いたときに、私のイメージというのは、立国戦略という言葉から、これからオリンピックでいかにメダルをたくさんとるかという、競技スポーツ強化というイメージが強かったんです。今回まとめていただいた概要によりますと、競技スポーツ強化の先に国民一人一人が生涯を通してスポーツに親しんでいくという市民スポーツの普及というところが先に述べられている点でほっとしましたし、概要を見てバランスがいいなと思いました。
 そして、戦略3のところですけれども、特にこれからトップスポーツと地域スポーツの好循環の創出というところで、トップアスリートの皆さんが地域に帰ってスポーツで地域振興をしていくことは、特に進めていただきたいと感じます。その際に、地域に行ってトップアスリートの皆さんが活動するときの処遇を充実してしっかりやっていただかないと、競技を終えた後のアスリートが積極的に参加出来ず、絵に描いたもちになってしまいますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【衞藤分科会長】  では、木村委員、どうぞ。

【木村委員】  3点ご指摘させていただきたいと思うんですが、まず「はじめに」の文章の中で、スポーツの持つ意義や価値というところには全く異論はございません。ただ、その意義や価値も、よいスポーツ環境の中でスポーツとよいかかわりをつくれるからこそ、その意義や価値というものが実現できるわけで、逆に、場合によっては、よいスポーツ環境でないところでスポーツとかかわりを持つと、人間にとって必ずしも心や体によい影響だけじゃない、害になる可能性だってあるんだということを自覚し、それだからこそよいスポーツ環境づくりが不可欠であるんだということを明記、強調すべきではないかということでございます。それはスポーツの専門であるからこそ認識すべき点ではないかと。
 2点目ですが、学校体育・運動部活動の充実というのは大賛成でございますけれども、スポーツの基礎を学ぶ場として、試合に出られない子を少なくして、安全に楽しく取り組んで、競技種目ではなく、笠原委員が言われたさらなるスポーツという概念。個々の競技種目ではなくて、まとまった統一概念としてのスポーツという概念を身につけるためにもうちょっと学校の部活動の改革が必要なんじゃないか。例えばシーズン制を導入するだとか、トーナメント制から地域のリーグ方式にするだとか、あるいはやり過ぎの問題、さらにはスポーツ障害なんかを防ぐ仕組みづくりだとか、そういう部活動の変革をやらないと、日本のスポーツの根本的なところは変わらないのではないか。そこから初めてクラブ、メンバーとの交流、どちらも出れるような大会とか、そういうものを実現していくような気がしております。それは個々の先生方の負担軽減ということにもつながってくるだろうと考えております。
 3点目は、世界で競い合うアスリートの育成というのは、どうも私から見ると内向きな感じがいたします。戦略2と戦略3はちょっと内向きな感じがいたしておりまして、言うならばアスリートは世界で活躍する。これは大事な大目標でありますけれども、さらには指導者だとかコーチ、監督、トレーナーだとか審判、そういった支えるような人たちの人材をどんどんアジアや世界に打って出て、そこで活躍、貢献できる人材を日本は求めていくべきではないかと考えております。
 以上、3点ご指摘させていただきました。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。土江委員、お願いいたします。

【土江委員】  それじゃ、感想と意見を述べさせていただきたいと思います。
 資料8ページですが、学校における体育・運動部活動の充実というところで、小学校体育活動コーディネーター(仮称)の配置となっています。私、これを見たときに大変うれしく思いましたし、コーディネーターの配置というのは極めて重要であり、高く評価するものです。
 学校を核として、いわゆる連携、協働を推進するためには、学校配置ということが不可欠じゃないのかなと思っております。運動・スポーツの推進には、学童期が基礎づくりをするため極めて重要な時期だと思います。そういったところで小学校配置というのは適切であると思いますし、保育所・幼稚園との接続の観点からも、小学校配置というのは重要だろうと思います。そして、今回、こうした教員等の配置によるコーディネーターということで、いわゆる初等中等教育にまで踏み込んだ提案がされているということが、私は極めて画期的な提案じゃないのかなということで、こういった点も高く評価しております。
 そこで、意見といいますか、要望ですが、これまで教員が学校に配置されています。例えば栄養教諭であるとか、特別支援教育のコーディネーター、学校司書教諭とか、いずれも兼務の発令であり、極めて限られた時間の中で職務を遂行しなければならないのでぜひとも小学校体育活動コーディネーターの配置については、専門職として配置していただきたいなと思っております。ただ、これは教員定数とのかかわりもあって、大きな課題があるんじゃないのかなと考えております。教員専門職としての配置が困難な場合は、ここに「教員等」というふうになっておりますので、民間人を登用して、異動の少ない方の専門職としての登用をお願いしたい。どうしても小学校に兼務のコーディネーター配置ということになれば、新たな1つの要望なんですけれども、中学校区を中心として、民間人も含めた専門職のスポーツに関するコーディネーターをぜひ配置していただきたい。そうすれば先ほどからありますトップアスリートの総合型スポーツクラブへの配置と小学校・中学校、そして地域という形での二重、三重の協働の体制がとれるんじゃないのかなと思いまして、ぜひともこうしたことも要望しておきたいと思います。以上でございます。

【衞藤分科会長】  どうもありがとうございます。それでは、菊川委員、お願いします。

【菊川委員】  1点申し上げたいと思います。
 先ほど岡島副分科会長から自然体験の話が出てましたけれども、同じような観点で、外遊びについての記述がどこかに入れられないかという意見でございます。本文の7ページに幼児期・学童期の運動・スポーツ指針の策定ということが書いてありますけれども、すべての子どもたちの体づくりの土台は、幼児期からの遊びとか、体を動かすという中でつくられているのではなかろうかと思います。そういうことを親や世間に啓発する意味でも、また外遊びが大変減ってきておりますので、スポーツと体を動かして遊ぶということの関連を、どこかで触れていただけるとありがたいと思います。

【衞藤分科会長】  ありがとうございます。それでは、服部委員。

【服部委員】  3点ほどあるんです。1点目は健康増進という意味で、数字には出ておりますけれども、実は男女を比べますと、どちらかというと男の子のほうがまだ体力はあると思うんですが、女性のほうはやせ願望が強くて、20歳までに向かっている子どもの食生活を見ていると、非常にバランスが悪いんです。
 私も10年ほど前にミスユニバースの審査委員をやったことがあるんですが、そのときに美人コンテストは八頭身ぐらいの対象者を見るんですけれども、いわゆるBMI、ボディ・マス・インデックスは体重を身長の2乗で割るわけで、22が平均です。25が肥満で、18.5がやせなんですけれども、私が見たころは22前後の人を対象として選ばせていただいたんですが、7,8年前からは18.5以下でないと優勝しない、栄養失調でないと優勝しないという世の中になってきた。これは困った問題だなと思うんですが、特に美少女コンテストを見ていると、13歳から16歳ぐらいの子を対象に、BMIが17.6とか、5ぐらいの人が優勝者になるんです。海外を見ていますと、モデルクラブでも、例えばスペインのマドリードでは、5,6年前に18.5以下はモデルにしない、翌年にパリ、ロンドン、ニューヨークのモデルクラブが同じように数値を上げて、モデルにしないことになったんですが、日本はいまだにそれが定められてないという現状もあるわけです。
 ですから、何かそういうところと絡ませて指導していかないとまずいんじゃないかとちょっと感じておりまして、体力が落ちている、これは男女ともに実は小・中学生、特に小学生なんかは落ちているんですけれども、これを何とかはね上がらせるためにも、そういう周りのマスコミも含めてですが、協力してもらいたいというのが一つあります。
 それと、先日、平成21年の平均寿命が出ました。女性は25年間世界一ですばらしいなと。86.44歳ですか。男性はたしか79.59歳だったと思うんですけれども、これもすばらしい数字を出しているけれども、こういう方々がどうして長生きしているか。実は100歳を超えている方が4万933名ですか。ところが、どうも数名かは怪しいというのが最近出たんですけれども、それ以外はこれから調べればまたいろいろ数字が出てくると思いますが、こういうことを含めて非常にいい、世界に冠たる数字が出ているんです。
 それと、実はこの前、韓国の農水省の方がいらっしゃったんです。大統領命令で韓国の食を世界に広めたいということで今動いていると。実は農水省だけじゃなくて、ほかの部署の方が一緒に来られまして、大統領命令で動くのに日本はどのぐらい予算をとっているんですかというから、私は農林水産省が協力している、世界に日本料理を広める戦略をやっているんですが、日本の数字で公に出ている数字をちょっとお示ししたら、向こうも教えてくれたんですが、実は日本の5倍なんです。18億円だというわけです。それで、来年から20億円になると。日本は2億数千万円なんですけど。
 それも前回の事業仕分けで半分になったんですが、そういうことを考えていくと、実はオリンピックの優勝者の賞金を世界と比べて見たら、賞金だけが目標で動くものじゃないとは思うんですけれども、もう少し高い位置に、優勝者には賞金を差し上げるような予算を文部科学省にお考えいただければ、よろしいんじゃないかなと。これは普通の体をしているならいいんですけれども、ハンディをしょった人たちの優勝金額も安いということも含まれておりますので、その辺まで見ていただけるような体制はできないのかなと思っています。先ほどの戦略を拝見していると、そういうものに近づける努力を今後されるように感じられる表現があるから、期待します。
 あと問題は、今の若者を見ていて感じる事ですが、例えば栄養とか調理の世界に入ってきた学生を見ると、目的意識は持っているつもりで入ってきたんでしょうが、どうもあやふやな部分が多いなと。僕も8つほどいろいろな大学の客員教授をさせていただいて、講義に大学へ行くんですが、年齢的にも18歳から22ぐらいまでの人たちを見ていて、若さを感じないというか、やる気だとか、そういうものがどうも失われているような気がしているので、こういった人たちに活力を与えるという意味でも、志の意義であるとか、使命感とか、そういったものをもう少しわからせるようなことを我々がやっていくには、もちろんスポーツが早道だと思いますが、体や精神の部分までをわからせてくれるようなスーパースターをもっともっと輩出していただきたい。今はゴルフやサッカーとか野球にはスーパースターはいますが、ほかではあまりいないんです。そういうスーパースターというのは憧れの対象になりますので、もっともっとほかの分野のスポーツ界からもそういう人を出していただきたいと思います。ちょっと取りとめのないような話になったんですが、そういう象徴みたいなものをお考えいただけると、さらに若者にニートやフリーターのような者が少なくなり、やる気のある志をもった人が出ると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【衞藤分科会長】  どうもありがとうございました。じゃ、三木委員。

【三木委員】  今回、スポーツ立国としてスポーツ文化の確立ということで、スポーツ自体は世界の共通の文化であるというのはみんなが認識しているところです。この中でスポーツとスポーツを行う人間、そことのかかわりがもう少し明確に出されてくればいいんじゃないかなと思います。というのは、スポーツから培われる身体能力そのものは、私は文化そのものだと思っているのです。今回もワールドカップのサッカーで本田選手のシュートを見ますと、だれもが感動するし、あるいは芸術だと言うわけです。そのこと自体が文化ですし、多くの選手は自分の体にそういった文化的な身体能力、身体知ともいうのですけれど、そのような文化的身体を全部携えているわけです。しかしこの戦略からいきますと、そういう文化的身体をもつ選手が、結局、トップ選手がやめた途端に、総合型クラブとか地域スポーツの指導者になりなさいというわけです。その前にやることがあるのではないかなと思います。他の伝統芸術では、そういう人たちが伝承によって若い人たちにきっちりと身体知を伝えていきますよね。そういったものが、もう少しスポーツ戦略の中にしっかりと書き込められていく。そういうことが、選手が競技を終えて外国で戦った経験を、その体で感じたことを日本に帰ってきて次の世代に伝えていく、あるいは若い人に伝えていくということが大切になるのです。そこのところなしにすぐに地域スポーツの指導者になりなさいということは、これはちょっと飛躍し過ぎているし、あまりにも選手がそれまでにいろいろと苦労して身につけた身体知というもの、そういったすばらしい能力を評価してないんじゃないかなと思います。そういった意味では、身体運動にかかわる文化的な価値をもっと評価していくべきです。このような考え方が、ここの基本的なところに書かれてほしいなと考えております。

【衞藤分科会長】  じゃ、隣の宮嶋委員、お願いします。

【宮嶋委員】  これまで中体連や高体連は非常に縦割りであったためにいろいろな形で入っていくことができない人たちがいて、チームを組めない人たちがいました。今回、学校における体育・運動部活動の充実の中学生・高校生のスポーツ機会の充実というところに、地域のスポーツクラブで活動する生徒や、複数校で組織するチームなどに参加資格を認めたり主催する団体における検討を促す云々とスポーツ立国戦略の中に書いてあるわけですけれども、これはなかなか一筋縄ではいかないことなのだろうと思うんです。これまでの経緯を考えてまいりますと、今までの歴史を重視する団体でいらっしゃると思うので。しかしながら、ここはぜひぜひ、この少子化の中でスポーツというものの機会を多く与えるという意味でも実行していただきたい部分であるなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あともう一点ですが、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進の幼児期・学童期の運動で、菊川先生も先ほどおっしゃられたように、幼児期は遊びだということですが、私は最初、小学生がどうやってスポーツにかかわっていくかと考えたときに、やっぱり遊びであり、それは幼稚園や保育園でどれだけ体を動かすかということにかかわっているんだろうと思っています。でも、その原点はどこにあるんだろうと思って、ヨーロッパで出産した友人なども多かったので、いろいろな話を聞いて最近わかってきたことなんですが、どの国でも子どもを産んで3日目ぐらいには、どんなに外が暑かろうが、寒かろうが、外を散歩しなさいというような、乳母車に乗せて子どもを連れて出ていったりとか、スノーウエアみたいなのを着させてマイナス11度でも外へ出ていくことを推奨しているんです。要するに人間というのは、外で活動することが生き物の原点であるみたいな考え方があるんです。
 ここで私、はたと困ってしまったのは、スポーツ立国戦略は文部科学省がお書きになっていらっしゃって、出産直後、生後直後その分野は厚生労働省になるんだろうなということなんです。一番重要なのが妊婦の段階とか出産した直後、どうやってライフステージの中に運動やスポーツを取り込んでいくかということをお母様方に理解していただくかということだと思うんです。しかし、所管の官庁は違うと思うので、このあたりのことをどのようにこれから処理されていくのかなということがちょっと気にかかるところであります。できればスポーツ立国戦略に入れていただければと思っています。ありがとうございました。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。では、宇津木委員。

【宇津木委員】  ありがとうございます。私、個人的にトップアスリート事業にはソフトボールの関係でどんどん出させていただいているんですけれども、トップアスリート事業は各1回学校に行き、その後の経過報告というか、この事業の成果はどのくらい出ているのかまずお聞きしたいんですけど。

【坂元生涯スポーツ課長】  私どもの事業の中で、オリンピックや世界選手権等で活躍した選手を小学校や総合型地域スポーツクラブに派遣しておりまして、本年度の予算でも970カ所にそうした選手を派遣できるよう手厚く措置しております。また、選手は自身の体験談の講演やスポーツ指導を行い、それについて子どもにも感想文を書いていただいて、その後、子どもの生活態度がどのように変容していったかと、そこまで調べさせていただいております。子どもにとってはトップアスリートをふれあう経験でありますとか、運動技能に非常に感動し、スポーツをする良い契機になっていると伺っています。

【宇津木委員】  その報告等は一切出してはいないですか。私、個人的にはこの3年間、年間20ぐらい出ているんですよ。それで、感想文は子どもたちから全部いただいて、今も保管しているんですけれども、よかった、楽しかった、今までやったことはないんだけれども、今日の授業を受けてやってみたいとかっていう、すごくたくさんの子ども子どもたちの意見が出ているんです。ただ、それが継続できているかどうかというのがすごく大事だと思うんです。1回こっきりで、次、1年通ったらもう終わりというんじゃなくて、もしできましたら、同じ学校ではないと思うんですけれども、継続的にやることも一つ大事なのかなという感じもしますし、どういう成果が上げられたかというのは出すべきだと思います。
 それともう一つは、先ほど上村委員、また宮嶋委員からも話がありましたけれども、各組織がほんとうに一つになって連携を組んでやっていかないと、なかなかいい組織づくりはできないんじゃないかなという感じがします。JOCの考え、日体協の考え、また各競技団体の考え、みんなそれぞれがうちはこうだ、うちはこうだみたいな形で出ていて、一つにまとまってないんですね。だから、現場の末端までの、子どもたちが、学校が、先生方が、また教育委員会が、地域が、そういう点ではこのアスリート事業に出ても、地域によっては防犯パトロール隊のおじいちゃん、おばあちゃんまで来てくれて、PTAも来て、先生もいて、そして生徒がいて、そういう中で私たちの授業を受けたり、全員が受けてくれる学校と、まるっきり学校だけの対応とか、県によっては地域密着でみんなが子どもたちのために何かしてあげよう、何かしなければいけないんだという県との差がすごくあるんです。
 これは今回、秋田県がまた学力のトップという数字が出ましたね。私はトップの県は維持して、そのまま継続していけばいいと思うんです。逆に、一番だめだった沖縄県はなぜだめなのかという、そこら辺をもう少し考えていって、なぜだめなのか、そこには何か原因があるのか、どういう環境なのかとか、それがすごく今大事なんじゃないかなという感じがします。
 私たちはいろいろな意見を出して、こういうすごくすばらしいものができています。それが末端まで伝わって、これが継続してできないと、ただいいものをつくりました、ただ会をしました、はい、終わりましたでは、なかなかいいものとか、人づくりはできないんじゃないかなという感じがしますので、その点をお願いしたいと思います。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。じゃ、山口委員。

【山口委員】  宮嶋さんと宇津木さんの後に話をするのは話しづらいんですけれども、3点お話しさせていただきたいと思います。
 1つは、策定に向けたヒアリングの際に、スポーツ立国の基本理念はMore People, More Places, More Medalsではないかということをお話しさせてもらいました。今回見ますと、More Peopleがおそらく1のライフステージ、More Placesが5番の基盤の整備、More Medalsが2番のトップアスリートのところではないかと、非常にバランスよく配置されているなというふうに感じております。
 それから、目指す姿の新たなスポーツ文化の確立、わりとこれ、私は気に入っているんですけれども、ただ、スポーツ文化といっても、一般ではなかなかスポーツは文化だというふうに理解されてないのが現状じゃないかと思います。というのは、中学、高校のときの部活動は文化部と運動部があって、運動・スポーツでは文化部に入れてもらえません。この辺ですり込まれていますので、文化・運動の区別なく単に部活動でもいいんじゃないかと思います。スポーツ文化ということを出すんだったら、スポーツ文化の価値を高めるためのいろいろな施策をやる必要があると思います。
 中を見ますと、顕彰制度がスポーツ文化に含まれていましたけれども、もっとスポーツミュージアムの充実とか連携とか、こんなところがあってもいいのではないかなと思います。民間のスポーツミュージアムもかなりあるんですけれども、博物館とか美術館みたいに所蔵品をお互いに交換するとか、そういうのもなかなかありません。もっと協議会を作ったり、連携したりしていくということも考えられるのではないかと思います。
 2番目は、基本的な考え方のところの、人の重視の「する、観る、支える」のところですけれども、このとらえ方がちょっと狭いのではないかなと感じています。それから、支える(育てる)となっていまして、ちょっとあいまいで、中身を読ませてもらいますと、指導者はこの支える(育てる)のところに入っています。専門指導者はむしろ一つのプロフェッションといいますか、専門職として認知すべきではないかというのが今現場の意見ではないかと思います。スポーツの価値を高めるために、この指導者は、「する人」のところに入れるべきじゃないかと思います。コーチをするとか、いろいろなインストラクターもいますし、クラブのマネジャーもいますし、レフェリー、あるいはアンパイアも「する人」ですし、アスレティックトレーナーとかスポーツドクターとか、こういうスタッフも、「する人」に入っていいんじゃないかなと思っています。
 2番目の「観る人」の漢字を「観る」を使いますと、観客だけになってしまうんです。観客だけじゃなくて、実際はテレビやラジオの視聴者、読者、それからスポーツライター、スポーツジャーナリスト、アナウンサー、こういった観るスポーツを支える、伝える人たちがいるわけなので、もう少し広くとらえたほうがいいんじゃないかと思います。
 「支える人」のところも、これは地域クラブのボランティアとか、イベントのボランティアとか、あとアスリートボランティアといって、トップアスリートが今、社会貢献活動を熱心にやっていますので、もう少し広くとらえたほうがいいのではないかなと思います。2006年のスポーツ白書の中に、「スポーツの人的資源」という章がありますので、そこの中に「する、みる、ささえる」で専門の仕事、あるいは役割ということを書いていますので、参考にしていただければと思います。
 3番目は、重点戦略3のスポーツ界の連携・協働による「好循環」の創出と4の透明性の高い公平・公正なスポーツ界の実現を1つにできないかなと思っています。どちらもスポーツ界、あるいはスポーツ団体のガバナンスを強化すること、あるいはスポーツ団の連携・協働を進めていくということなので、1つにしたほうがすっきりして、ページ的に言いましても、どっちとも少ないので、一緒にしたほうがわかりやすくなるのではないかなという感じを持ちました。以上です。

【衞藤分科会長】  ありがとうございます。平井委員、お願いいたします。

【平井委員】  各先生方からいろいろなお話を伺いまして、私もほんとうに同感だなと思ってお聞きしました。私も今回のスポーツ立国戦略を読ませていただきまして、協働とか、「新しい公共」という言葉が何度も出てきたのを読ませていただきまして、私自身はこの言葉は地方自治や、まちづくりなどで大変耳にしたことがある言葉であり、今回、スポーツ界でもこのような言葉が多く出てきて使われているということは、スポーツも一つの地域でのまちづくりとしてやっているということですから全く違和感はありませんし、今後はぜひこの「新しい公共」なり、協働ということでスポーツ界も同じ地域でまちづくりの一環として、スポーツも認められていると思いました。
 それからもう一点ですが、トップアスリートの方がリタイアなさった後に地域を回っていただいて、子どもたちに支援、指導していただくことはほんとうに子どもたちに夢をもってもらうことができる。それから、希望を持ってもらうという意味で、ほんとうに子どもたち、また学校の先生方も大変感激していらっしゃるというのを私も知っております。先ほど宇津木先生のお話にありましたように、トップアスリート指導事業を全国でされているわけですけれども一度学校に行くと、もう二度と行かないものですから、もしまた行けたら、どのように変わっているのかなというのも見れるのかなと思います。
 また、地域ではまだまだ総合型地域スポーツクラブに対する皆さんの思いがいまいちで、スポーツ団体等がそれぞれの自分の団体が1番だという考え方が多くて、これから学校と、スポーツ団体、行政、いろいろなところで協働してやっていくということはほんとうに大事なことだと思うんですが、これを実際にこれから進めていくについてはほんとうに大変なのかなと思います。私どもも地域で同じような認識を持つような学習の場というんでしょうか、ほんとうにスポーツにより、地域から元気になる子どもたち、そしてそこからスポーツはスタートなのではというふうにいつも思っています。現在財源が不足ということで、練習の場の確保も財政難ということで負担等も多くなっているのが現状であります。身近なスポーツ活動の場の確保等、本戦略にしっかり書かれ、提案されておりますので、地域の子どもたちがスポーツをもっとやりやすいような環境づくりをぜひこの辺を実現に向けてよろしくお願いしたいと思います。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。じゃ、曽我委員、お願いいたします。

【曽我委員】  PTAを代表してお話をさせていただきます。私どもの子どもたちが大変お世話になっていること、これはほんとうに御礼申し上げなければならないと思っております。スポーツでさまざまな夢を掲げている子どもたちも多くいます。その子どもたちに夢の実現に向けて、このような宣言がされる、確立されることは大変ありがたいと思っているんですが、最近、私、いろいろな会議の中で教育という考え方の視点を少し違うところから見たときに、もう少し皆さんが連携できるのではないかというお話をさせていただきます。
 例えば「はじめに」の中で、スポーツは人格の形成、体力の向上、健康長寿の礎であると。つまり、それぞれの子どもたちが生まれたと同時に、さまざまなスポーツを通して大きく人間として成長していく。その中でスポーツというのは大変な重要なものであるということがここに宣言されていると思うんですが、そうなると子どもたちに私どもは教育をするという考え方でいろいろな論議をされるんですが、その子どもたちは教育を受ける権利を持っているということは、学習、学ぶ権利があるわけです。その学ぶ権利というのは、一人一人の子どもさんがそれぞれにいろいろな違いがある。つまり、違いがある中で、どのようにさまざまな学習の権利を保障してあげるか、スポーツの権利を保障してあげるかというふうに考えると、これでなきゃいけないという考え方からそれぞれが連携して、うちにはこんな保障することができるよとなると、それぞれの団体が生かされてこなきゃいけないという考え方になってくるわけです。
 例えば私のように田舎に住んでいるところでは、近くに大学があるわけではなし、ほんとうに地域でスポーツを今まで経験した方々にお世話にならないと、子どもたちのスポーツのお世話ができない地域もあれば、いろいろなノウハウを持った大学がすぐそばにあるところもある。でも、いろいろな子どもたちがそこにいるとすれば、その子どもたちにその地域の条件に合わせて、さまざまな施策でスポーツにいそしんで、人格の形成、体力の向上、健康長寿のもとである人間の力をつけてあげるということになれば、その地域の中でいろいろな考え方ができてくる。それは皆さんのこれだけの組織力があれば、さまざまなお手伝いができる環境を備えていただけるのではないか。つまり、部活動と地域スポーツクラブがあるんですが、それぞれでと考えると大変なんですが、地域スポーツクラブの中でこんなお手伝いをするから、学校でもこんなお手伝いをして、お互いにそれを分担し合いましょうという話し合いができれば、ほんとうに子ども子どもたちはさまざまな経験の中で人格形成していくことができると思うんです。
 ところが、私の村にも地域スポーツクラブがあるんですが、学校教育とは全く関係のないところで進んでいく方たちが指導者でいるものですから、学校と連携してないから、部活動と全くバッティングできない。つまり、この部活動をやりたいんだけれども、こっちのほうに地域スポーツクラブがあると、そっちに行かなきゃいけない、全く外れるというような状況もあったりする。でも、ある先生がおっしゃっていましたけれども、陸上の練習をすると、最終的にそれはすごく筋肉のトレーニングにもなりいろいろなスポーツをするのに生きるので、部活動が終わって地域スポーツクラブに行ってもいいんじゃないか、そこまで柔軟になってくれると、地域の中でさまざまな連携ができる。文部科学省としてはそういうふうな考え方を持つ指導者もぜひ教育の中に入れて、そういう方たちの柔らかい考え方が、子どもたちの一人一人のスポーツによる恩恵を受けることができる環境をつくっていくのではないか。
 私どもの子どもたちが日本の未来を支える大きな宝であるということでお認めいただけるならば、ぜひそれぞれの子どもたちにさまざまな権利を保障してあげるような施策を皆さんの手でおつくりいただくような連携をしていただければ大変ありがたいと思っております。以上です。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。田嶋委員、お願いします。

【田嶋委員】  ありがとうございます。まず、自分の立場で、12ページに国際競技大会の招致等が書かれているんですけれども、今、サッカーのワールドカップを招致しようとしていますし、2020年オリンピックも、次、どこかが手を挙げるだろうと言われています。これはもちろん自治体がやることであったり、各競技団体がしっかりやりなさいということはベースにあるとは思うんですけれども、今、我々は、2022年度のワールドカップの招致には菅首相をはじめ文部科学省さんが協力してくださって、ほんとうに感謝しています。
 ただ、ロシア、オーストラリア、アメリカ、イギリス等がほんとうにロイヤルファミリーも含めたすべてでそれに向かっていこうとしているのでまだまだ日本との差はあるなと感じています。そこはだれがリーダーシップがとるのかというところで、19ページでスポーツ庁も書かれているんですけれども、国策としてほんとうにやる気をばーんと見せられるかどうかというのは、大きく票にかかわってくるところだと思っています。そういう意味でも立国化する際には、国としてどう動くかという決断をする機関は必ず必要になってくるんじゃないかと思っています。
 それから、これはここで言うのもあれなんですけれども、学校体育のほうに外部指導者をどんどん派遣しましょうとここで言ってくださっていることも非常に進歩していることだと思うんですけれども、実際に社会構造が変わらない限り、行けないんですよね。例えばドイツであれば、みんな5時ぐらいに仕事が終わって、銀行員でもスポーツクラブへ行って教えたりする環境はあるんですけれども、日本のサラリーマンや、もちろんここにいらっしゃる方たちでも、資格を持っていたり、教える能力がある方でも仕事が終わるのはいつも7時、8時で、家へ帰ってくるのは9時じゃ、スポーツクラブで教えるなんていうことができないわけで、今教えていらっしゃる方が暇でだめな人だという意味じゃ全然ないんですけれども、これはすぐできることじゃないですが、そういう社会構造自体を変えていくようにならないと、ほんとうにスポーツが文化としても定着しないし、すばらしい指導者がその場で教えることはできないんじゃないかなと思います。
 そういう時間さえとれれば、有能な人は絶対いらっしゃるはずなんです。お金も要りませんという人だっているはずなんですけれども、そういう優秀な人に限って時間はないということだと思いますから、そういう社会構造もほんとうに変えられるようなスポーツ界になってほしいと思っています。

【衞藤分科会長】  笠原委員、お願いします。

【笠原委員】  先ほどは1点だけだったので、追加して発言させていただきたいと思います。
 1つは、先ほど木村委員も話をされていましたけれども、重点戦略の2番、3番のところの案ですが、目標数値が挙げられていますけれども、その数値を達成する、その目標達成に向けて努力をしていく過程でまたいろいろな意味があると思うんですけれども、その先のねらいは何だろうと考えたときに、それが書き出されてないのかなという感じがします。と申しますのは、世界共通の文化と言われているスポーツということになってくると、世界における、国際舞台における我が国の存在を示していくことも一つのねらいなんだろうと思っています。ですから、スポーツの意義について、世界平和だとか、国際親善だとか、そういうこともここの中に盛り込んでいく必要があるのかなという感じがしています。
 そして、選手たちの活躍がここに書かれているわけですけれども、先ほど田嶋委員も言われていましたが、国際競技大会の招致ということも含めて、我が国は世界の国際舞台の中でスポーツの力があまり強くないということを、これは東京オリンピック招致で石原都知事も感じて帰ってきてみずからが言っています。そういうことで考えていくと、世界共通の文化のスポーツである以上は、世界の舞台で我が国の存在を示す。そして、それを通じて国際親善を図っていく。そこには選手の活躍ばかりでなくて、競技役員だとか、団体の役員などの活動というものを通じ、日本の存在をアピールしていくことを考えていかないとならないのかなと。今、世界の舞台もそうですけれども、日本を除いたアジアはみんなスクラムを組んで、いろいろスポーツの盛り上げに力を入れています。そういうことを考えていくと、日本はどんどん取り残されていくという心配があります。ここにはもう少しその辺を強調してもらうことが必要なのかなという感じがしますので、それをお願いできればと思っております。
 それからもう一点は、これはこの中に盛り込むという話ではないんですけれども、私も仕事の関係で、いろいろなところで話もさせていただいているんですが、日本で今一番混乱しているのは体育とスポーツの関係であります。ここで発言されている委員の方々も体育とスポーツはどうなのかと言われたときに、なかなか説明が難しいんだろうと思っています。これを整理をしておかないとならないのかなという感じがしてなりません。
 学校体育の充実ということを言っていますけれども、学校体育の充実は何を充実させるのか、学校体育では何を指導するのか、子どもたちに何を教えていくのかということをもう少しはっきりさせる必要があるのかなと。スポーツというのは先ほども言いましたように、体育とはまた違った楽しみ、気晴らしだとか、いろいろな意味があって、また地域社会とのかかわりの中で貢献する部分がありますけれども、それと体育との違いはあるのかないのか、その辺も含めて、ここはしっかり仕分けをしていくことも必要なのかな、その時期に来ているのかなという感じがしますので、これはこの中に盛り込むという話ではないですけれども、今後の検討ということにしていただければありがたいと思います。以上です。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。

【上村委員】  最後にお1ついいですか。

【衞藤分科会長】  じゃ、あとお2人でということで。

【山口委員】  田嶋委員の発言でちょっと関連を思い出しましたので。戦略1のライフステージに応じたスポーツ機会の創造のところですけれども、ここの数値目標が週1回以上だけではなくて、週3回以上というものが出されたのは画期的なことではないかなと思っています。かつては1年間に1回以上だったんですけれども、2000年のスポーツ振興基本計画で週1回以上の目標値が出されました。週3回以上というのは画期的なことですが、下の主な施策を見ますと、3回以上30%というのは厳しいのではないかなと思います。どうしてかというと、週1回というのは週末型のスポーツライフなわけです。ゴルフの打ちっ放しとか、テニス教室とか、週1回、週末だけでいいわけですけれども、週3日ということは平日にやらないといけないということになります。これはワーク・ライフ・バランスとか、職場とか、こういったところにも大きく影響されることになります。
 特に日本の場合は年休を非常に取りにくい雰囲気の職場でして、いつまでたっても50%しか年休の消化率が伸びません。期待しますのは、本資料の19ページに総合的なスポーツ行政体制の検討ということで、スポーツ政策の実行のための関係省庁の連絡会議を新設すると言われていますので、ここにはおそらく厚労省も見えるでしょうし、いろいろなところが来ると思うんです。これはスポーツ庁へのステップになってほしいんですが、こういったところに向けても、例えばワーク・ライフ・バランス、休暇を取りやすい職場、雰囲気、あるいは通勤手段をこれから考えないといけないと思います。通勤といいますか、普通のスポーツだけじゃなくて、通勤の際に自転車で行くとか、ウォーキングで行くとか、こういったところを含めていかないと、なかなか週3日というのは難しくなると思います。自転車で行くと通勤手当が出ないとなると、これはなかなかモチベーションが上がりませんので、インセンティブを出してこういうことを考えて、ぜひスポーツ政策の関係省庁連絡会議でも影響を与えるようなワーク・ライフ・バランスのことも考えていただきたいなと思います。以上です。

【衞藤分科会長】  では、上村委員、どうぞ。

【上村委員】  申しわけありません、最後に。
 スポーツ界に長く関わってきた人間として、最近のスポーツ界での不祥事、トラブルに対し、大変申し訳なく思っております。しかし16ページの4を見てください。「透明性の高い公平・公正なスポーツ界の実現」。これは、「不透明で、不公平で、不公正なスポーツ界」と私は読めて、表現がちょっときついなと思いながら見ていました。そういうところもあるかもしれませんが、スポーツは文化で、スポーツ界は人を育てるところ。私は常日頃柔道を通じて「人づくり」をやるんだと言っております。しかし、タイトルの文言ではスポーツの世界に身を置くものとして、非常に胸の痛む思いであります。この表現をポジティブな方向に変えていただきたいと思います。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。それでは、佐藤委員、簡単にお願いします。

【佐藤委員】  時間がないところで失礼します。今日初めて参加させていただきましたので、ちょっと気おくれしておりましたが、非常にうれしく感じております。今、沖縄でインターハイ、高校総体が行われていまして、28日から8月20日まで。実は文部科学大臣にも、文部科学省の方々もいろいろといらしていただきました。一つの大会ですけれども、スポーツが選手だけではなくて、まちぐるみ、沖縄もいろいろな話題があるところで、政治的な問題もあるところで、スポーツを通して沖縄県民が一体となっております。私もいろいろな会場を見ましたが、選手はもちろんのこと、地元の方、それから高校生、まさに健全育成というのはこういう形だなと体感してまいりました。
 そういう意味では、文科省でこのような取り組みで各界の代表の方々にお集まりいただいて、こういう話が出るというのは非常にうれしいことです。今、東京都でも、国体競技に関連してということではありましたが、いろいろな取り組みを考えております。全国高体連でもいろいろなことを考えております。先ほどありましたように、ナショナルトレセンとかができ、トップアスリートをどう育成するのかというところで、学校体育との関連をどうするのかという課題もあります。
 そういう中でいろいろなアイデアを出しながら、今朝のニュースでしょうか、東京マラソンの応募が非常に多くなってきて、元気があるようですが、中高生に関しましてはどうも勉学に偏っているのか、あるいはほかの理由ですか、元気がなかなかなくて、スポーツをがんがんやるというのがなかなかいかないような部分もあります。そこを国策として文科省が強く学校を支持していただく、あるいは指導していただくということで関連できれば、今後は非常に明るい日本だと思いますので、ぜひ今後ともそういうご指導をいただければなと思います。どうもありがとうございました。

【衞藤分科会長】  ありがとうございます。
 どうも数々のご意見をいただきまして、大変ありがとうございました。文部科学省におきましては、ただいま各委員からいただきましたご意見を踏まえまして、スポーツ立国戦略の最終的な取りまとめを進めていただきたいと考えております。
 それでは、時間の関係もございますので、次の議題に移りたいと思います。まず、青少年教育関係の動きがございますので、事務局から説明をお願いいたします。

【勝山青少年課長】  青少年課の勝山でございます。机上配付させていただいております参考資料3と4につきまして、簡単に私からご説明申し上げます。
 まず、参考資料3は、全国の教育委員会などに対し、学校における自然体験活動の安全な実施及び青少年教育施設における安全管理の徹底について通知したものでございます。これは6月18日金曜日に、静岡県立青少年教育施設で中学校の学校行事の一環であるカッターの訓練中に、残念ながら死亡事故が発生したことを受けまして、翌週21日月曜日付で通知をしたものでございまして、昭和43年の文部省通達等の趣旨を踏まえ、気象状況などに十分留意し、天候その他の異変の際は予定を変更するなど臨機応変の措置をとるなど、より一層の安全確保に努めるよう求めているものでございます。
 続けて、参考資料4としてお配りしている資料は、国立青少年教育振興機構や中央青少年団体連絡協議会等が連携し実行委員会を立ち上げ、実施している「体験の風をおこそうフォーラム」に関するものでございます。本年2月10日の第1回目に続きまして開催いたしました7月16日のフォーラムでは、川端大臣も出席され、定員を上回る約260名の方にご参加いただき、成功裏に終わりました。今後も毎年10月を体験の風をおこそう推進月間とし、子どもたちや家族が一緒に体験できる催しを開催するなど、体験活動の推進を図っていくこととしております。
 参考資料3、4の説明は以上でございます。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。続けて、文部科学省で進めています「熟議」について、事務局から説明をお願いいたします。

【上月生涯学習政策局政策課長】  それでは、参考資料5をお願いいたします。生涯学習政策局の政策課長でございます。
 「熟議」ということをこの春から進めております。そこにありますように「熟議」というのは、理論的に言えば、民主主義はそもそもどういうやり方でという話から始まるんですが、ここのスポーツの話でも、例えば総合型地域スポーツクラブの話でもたくさんの当事者がいらっしゃると思いますが、そういう多くの当事者が集まって、さまざま意見、情報を交換し、互いに学び合い、解決策を洗練していき、個々人が納得して解決をし、また役割を果たしていくといったプロセスのことを指しております。
 こういったことについて私どもとしては、1つはそこにありますように行政改革の観点、もう一つは新しい教育文化の創造。特に、現場サイドが創意工夫を凝らしていく文化の創造といった面で、この熟議ということを進めていきたいなと考えております。
 1枚めくっていただきまして、ページは書いてありませんが、2枚目の「熟議」に基づく教育政策形成の取組、2.というのがございますが、現在、この「熟議」につきまして、「リアル熟議」、現場でフェース・トゥ・フェースでやるものと、ネット上で行うものを同時に進行させております。ネット上のものにつきましては、その裏に掲載しておりますけれども、さまざまなテーマについて、現在、「熟議カケアイ」サイトという形で熟議を行っています。そこに黄土色でマーカーをしておりますが、スポーツ立国についても「熟議カケアイ」サイトで、開かれた形でさまざまな意見をいただいております。
 普通の意見をいただくのと違うのは、ネット上で行っていますので、自分の意見、ほかの人の意見が見える形で、またその意見を見ながら、さらに自分の意見を修正していくなり、変えていくなり、進化させていくということがございます。最終的には、これについても担当局課において取りまとめがされていくのかなと考えております。
 また、この資料の一番最後に、現在、リアル熟議ということを進めていくために、私どもの熟議についての運営懇談会がございますが、そこの委員を中心として各地でさまざまなリアル熟議の企画実施をしております。そこにごらんのように、多いのは学校、家庭、学校と地域の連携について、さまざまな教員、保護者、あるいは地域ボランティアの方などが集まって熟議というものを行っています。そこにありますように、わりと大都市部もあれば、長野県でありますとか、山口県の津和野でありますとか、青森県、秋田県など、さまざまな地域において、その地域の状況に応じて熟議というものを開始して、これらについては「熟議カケアイ」サイトの中にその状況についてオープンにしているところでございます。
 その中の前のページにはいろいろな写真をつけた説明がございますが、この熟議を行う場合に幾つかのやり方があるわけでございますが、特に司会を進行する、この熟議を進めていく場合に、ファシリテーターと私どもは言っておりますが、さまざまな意見、情報が気楽な形で出されるように持っていくための会議の持ち方であるとか、また出てきた意見、情報を見える化するということが大きな要素でございます。そこの模造紙に附せんでいろいろな意見を集めて、この熟議の参加者で整理して、さらにその解決策を練っていくというやり方をやっております。
 また、その次のページの青いTシャツを着ている人たちが映っているものは、慶應大学の学生が中心となっており、鈴木副大臣もおりますが、学生がボランティアで企画をして準備し、また大人も集めて、世代を超えて今後の大学のあり方を熟議したものでございます。
 こういった形で、今、さまざまな形で熟議を進めていきたいなと思っておりまして、先ほどのカケアイサイトのスポーツ立国での熟議ということもございますが、例えば各地域ごとの総合型地域スポーツクラブのあり方なども、多くの関係者の中でこの熟議というものを一つの手法としてご活用いただければなと思っております。
 また、その手法についてさまざまなノウハウ、あるいはファシリテーターについてご疑問なり、ご支援ということがありましたら、生涯学習政策局政策課にご連絡いただければ、いろいろなお手伝いをさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【衞藤分科会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまご説明いただきました内容につきまして何かご質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、本日予定しておりました議題は以上で終了したいと思います。次回以降の日程につきましては、その都度、事務局から各委員へご連絡をお願いいたします。
 それでは、本日はこれで閉会とします。どうもありがとうございました。

                                                                            ── 了 ── 

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