内山“闘牛士”戦法 猛攻かわし1発必中
WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(31=ワタナベ)が「マタドール(闘牛士)」となって3度目の王座防衛を狙う。31日に控える同級4位の三浦隆司(26=横浜光)戦(東京・有明コロシアム)に向けて25日、都内の所属ジムで練習を公開。スパーリングで、相手の猛攻をかわしながら1発必中のパンチを浴びせた。闘牛士をイメージした三浦対策の1つで仕上がりも順調。渡辺会長は7回までの決着を誓った。
突進する猛牛を接触寸前でかわし、鋭い剣を突き立てる。内山の体には、V3戦の戦略がすり込まれていた。三浦陣営も視察に訪れる中、5階級上のミドル級4回戦選手と行ったスパーリング。手数をあえて控え、重量のある相手の猛攻を促すと、上半身を左右、前後に振りながらパンチをかわした。ガードが下がった瞬間に強烈な左右からの連打。迎え撃つ三浦の特徴を踏まえたスタイルだった。内山は「相手はパンチ力があるし、気持ちも強い。しっかり反応することと、ガードを崩さないことです」と試合のポイントを挙げた。これまで行った約150回のスパーリングのうち、半数が三浦と同じサウスポー。直線的な動きから強烈な左ストレートを放つ挑戦者の傾向を頭にたたき込んでいる。試合当日にセコンドを務める渡辺会長は「まさに、闘牛士。自分でうまく動いてフェイントを使え、そうすれば、相手はまっすぐ打ってくる」とイメージを膨らませた。
過去の苦い経験を、今回は生かす。プロデビュー4戦目の06年9月、遠藤智也との8回戦。内山は前へ出る相手を真っ正面から打ち崩しにかかり、優勢に戦いながら辛くも判定勝ち。内山は「あのときは10カ月ぶりの試合だったし、思い切りやるしかなかった」と記憶している。渡辺会長は「相手は頭蓋(ずがい)骨を打たせる作戦で、拳を痛めた。アマ出身のきれいなボクシングをする相手が多かったが、今回は違う」と警戒する。
既に本格的な実戦練習を打ち上げ、減量も残り約1キロと仕上がりは順調。「7回までには決めるでしょう」と期待する渡辺会長に、内山も「予想が当たるように頑張りたい」と気合を入れた。緻密な戦略とともに、王者がリングという名の“闘牛場”で相手を仕留める。【山下健二郎】
[2011年1月26日8時18分 紙面から]
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