ライフ【産経抄】1月25日2011.1.25 02:45

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【産経抄】
1月25日

2011.1.25 02:45

 韓国が「アデン湾の快挙」に、沸いているという。確かにソマリア沖で海賊に乗っ取られたタンカーから、韓国人8人を含む21人の乗組員全員を救出した軍の作戦は完璧だった。作戦を命じた李明博大統領の支持率は上昇し、軍当局は「士気高揚の絶好のチャンス」ととらえているそうだ。

 ▼それにひきかえ日本では、またもや自衛隊の士気低下を招きかねない事実が発覚した。北沢俊美防衛相直轄の防諜部隊が、陸上自衛隊OBの佐藤正久自民党参院議員や田母神俊雄元航空幕僚長の講演に潜入して、現役自衛官の参加状況を監視しているという。

 ▼スパイから自衛隊を守るのが、防諜部隊の任務だ。民主党政権に批判的な政治家や言論人の講演を聞いただけで、スパイの烙印(らくいん)を押すつもりなのか。自衛隊行事で、民間人の政権批判を封じた先の事務次官通達問題からもわかるように、自衛隊への「言論統制」が進んでいる。

 ▼背景にあるのは、誤解されやすい「文民統制」という言葉ではないか。立命館大学客員教授の宮家邦彦さんによると、元の英語の「シビリアンコントロール」は、「国家の戦略的意思決定の究極的責任を、職業軍人ではなく、文民の政治リーダーシップが負う制度」と理解されている。

 ▼日本のように「内局や立法府の文民が直接軍事組織を統制する」ことではないという。これを極限まで曲解すれば、自衛隊を政権党の私兵とする、危険な考え方に行き着く。

 ▼ところで、韓国と同じように、日本のタンカーがもし海賊に乗っ取られたとしたら、自衛隊は救出作戦に乗り出せるだろうか。法的には可能だという。制服組の助言を受けて、首相と防衛相が決断する。これが本来の「文民統制」だ。

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