第５３回ブルーリボン賞発表　主演男優賞に妻夫木聡

　東京映画記者会（東京中日スポーツなど在京スポーツ７紙の映画担当記者で構成）が選ぶ「第５３回（２０１０年度）ブルーリボン賞」が２５日、決定した。主演男優賞は「悪人」の妻夫木聡（３０）、同女優賞は「キャタピラー」の寺島しのぶ（３８）、作品賞は「告白」。また、生田斗真（２６）が新人賞に選ばれ、ジャニーズ事務所からは初のブルーリボン受賞者となった。授賞式は２月１５日に東京・銀座ブロッサムで開かれる。

　「悪人」では、金髪に染め、土木作業員である暗い表情の孤独な殺人者役を演じきった妻夫木。原作を読んでほれ込み、自分から「この役をやりたい」と望んだ作品だった。ブルーリボン受賞は初めて。

　「変な感じですね。すごくうれしいんだけど、実感がない感じ。でも３０歳という区切りの年に、励みとなり、糧になると思う。自分から希望して映画化が進行した話だったので、特別な思いはあります」と受賞の喜びを抑えた口調で語る。

　役作りは、苛烈を極めた。「自我を捨てるということに徹底し、考えるのをやめた。毎日撮影してても何の手応えもなかった」と、まるで主人公の心象風景に入り込んでいたかのよう。

　また、米を食わず、李相日監督からの食事の誘いも断って体重を６０キロ強から５６キロまで落とした。「すごく顔色が悪くなった。炭水化物ダイエットは、やめた方がいいですよ」と笑う。

　撮影期間中は初めて不眠症状も経験し、「その後、体調を戻そうと病院に行ったり、整体やハリをやったり、自分を盛り上げようとキックボクシングを習った」。

　「自殺しちゃう人の気持ちも何となくわかるような気がした」ほど、重い役柄を全身で引き受けてしまった格好だ。「本当に役のことしか考えてなかった。すべてをささげた作品だった。原作を読んで、何か本能に訴えるものがあったから」と振り返る。

　昨年１２月に、３０代に突入。「自分がなってみて３０歳って子どもなんだなと思う。今、一生子どもでいたいみたいな気分。これから自由に、お芝居の中で遊んでいきたい」と目を輝かせた。