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きょうのコラム「時鐘」 2011年1月26日
水橋文美江さんの愉快な連載「ゆくぞ、母ちゃん道」に、他の子と我が子を比較しない、という子育ての戒めが書かれていた。時に戒めを破りそうになり、母の心は揺れ動くという
子育てに限らず、隣の芝生と青さを比べるという習い性がある。わが政治は三流で、経済も元気がない。相撲は弱いし、ノーベル賞の数もまだ足りぬ。だが、そう簡単に「万能」が手に入らぬことも知っている 偉い人も万能ではない。以前に取材した高名な作家は、北陸が生んだ優れた画家として3人の名を挙げたが、すべて東北人だった。高値が付く書家に近作を見せてもらったら、書かれた芭蕉の句は文字が一つ抜けていた 遠慮がちに文字の抜けを指摘したら礼を言われ、「なるほど、人間には何か取(と)り柄(え)があるものだ」とニヤリとされた。半ばからかわれたのかもしれないが、万能に程遠いわが身にも取り柄はある。そう言われて、悪い気はしなかった 優劣を比べて競うことは大切である。が、むやみに比べると自分が落ち込み、家庭が暗くなる、と水橋さんは言う。「母ちゃん道」に無縁な身にも、これは戒めになる。 |