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知的障害立件に難しさ 福島・4人死亡火災

 福島市の会社員男性宅が昨年12月31日に全焼し家族4人が死亡した火災をめぐり、福島地検は現住建造物等放火容疑で送検された男性の次男(21)の鑑定留置を決めた。精神科医による精神鑑定を実施し、次男の知的障害の程度と刑事責任能力の関わりなどを詳しく調べる。未明に4人が死亡した重大事件容疑者の刑事処分は、精神鑑定の結果に委ねられることになった。(福島総局・菊地奈保子)

■慎重さ必要
 知的障害者の刑事責任の判断について、日本司法精神医学会の会員でもある一陽会病院(福島市)の伊藤光宏院長は「事件当時の行動も大事だが、もともとの知的能力のレベルが重視される。自分のことをうまく表現できないこともあり、本人と周囲からじっくり話を聞かないと判断は難しい」と指摘する。
 専門家の間では、知的障害だけであれば、軽度なら「完全責任能力」、中度なら「限定的」、重度の場合は「限定的」もしくは「責任能力なし」とみなされるという。
 伊藤院長は「発達障害や精神疾患を伴うケースも多く、確認する必要がある。特に幻覚や妄想の有無は注視しなければならない」と付け加える。
 知的障害者が関わった最近の事件では、大阪地検が昨年1月、現住建造物等放火罪などで男性を起訴したケースがある。
 大阪地検は精神鑑定をしないで起訴したが、「物事を表現する能力に問題があった」と初公判前の11月に起訴を取り消した。有力な証拠とされた自白の信用性も疑われ、立証が難しくなったからだった。捜査には慎重さが求められる。
■「死」理解は
 次男は12月31日未明、居間の洗濯物に火を付け、自宅を全焼させた疑いが持たれている。捜査関係者によると、次男は福島県から療育手帳を交付されていた。知的障害の程度は軽度から中度の「B」だとされる。
 捜査関係者は逮捕直後、「結果がこれほど重大でなければ、逮捕は見送ったかもしれない」と漏らした。立件に難しさを伴うことは、当初から想定されていた。
 次男は約2年半、福島市内の授産施設に通っていたが、昨年9月に別の施設に移り、12月にはそこも辞めた。授産施設の元職員は「程度は中度だと聞いていた。自分に関心を寄せてほしいという思いが強い子だった。その一方で、服装に気を使うなど大人っぽい部分もあった」と話す。
 次男は帰宅が遅かったり、頻繁にカラオケに行ったりしたことで、父親に注意されていたという。調べに対し「父親にしかられ腹が立った。家族が寝ているのは分かっていた」と動機などを供述している。
 ただ、関係者の話によると、家族が死亡したことを本当に理解しているのかどうか、明確ではないという。
 知的障害者の親らでつくる「福島市手をつなぐ親の会」の五十嵐裕治会長は「知的障害者にとって『死』という概念を理解するのは困難を伴う。次男も家族が死んだことを認識できていないのではないか。責任能力の有無については、専門家が厳密に調べてほしい」と訴える。


2011年01月16日日曜日


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