成人の日の10日、各地で成人式が開かれた。総務省によると、新成人は前年に比べ3万人減の124万人で4年連続過去最少を更新した。未曽有の就職氷河期の中、将来に不安を抱く新成人も少なくない。都内の式典会場で、就職への思いや、選挙権を得て政治に何を託すか聞いた。
東京都千代田区は、「グランドプリンスホテル赤坂」で開いた。3月末で閉館されるため、同ホテルでの開催は最後。大学2年の岡本真理さん(20)は「自分たちの時は今より就職が厳しくなると聞いた」と不安を隠さない。
大学2年の中山慧(さとる)さん(20)も「既に就職情報を集めている同級生もいて内心あせっている」と話す。鉄鋼や自動車関係に興味があるが、取り巻く状況は厳しいと感じている。それでも「技術力を高めれば日本も台頭できる。これから社会に出る僕たちの世代にかかっていると思う」と期待を込めた。
4月の統一地方選を控え、選挙に関心を持ってもらうため、会場では「模擬選挙」も実施された。
専門学校生の石塚このみさん(19)は「本物の投票箱は重みがあった。よく勉強して知事選などに参加したい」と実感がわいた様子。
大学1年の柴田早紀さん(20)は「雇用が少なくて不安。問題が山積しているのに政治家の権力争いばかりが目に付く。だけど、1票で変わらないと思わず、きちんと政治をしてほしいという願いを込めて投票する」と語った。
専門学校を今春卒業する東崎健太さん(20)はカラオケ店のアルバイトを続けながら将来を考える予定。「カーレーサーになる夢もあるが、安定した職がないと結婚も難しい。不安ばかり」と言い、「議員の給料は高すぎる。政治家はもっと無駄を減らす努力をして」と訴えた。【長野宏美】
毎日新聞 2011年1月10日 20時02分(最終更新 1月10日 20時14分)