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[国際]ニュース トピック:国際情勢分析
【国際情勢分析】胡錦濤主席 訪米のジレンマ
2011.1.15 18:00
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《矢板明夫の目》
中国の胡錦濤(こきんとう)国家主席(68)は18日から米国を公式訪問する。最大な目的は、昨年の米国による台湾への武器輸出問題などで悪化した両国関係を修復することだといわれている。中国の官製メディアは昨年末から米国批判を控えているほか、新年早々にはロバート・ゲーツ米国防長官(67)の訪中を迎え入れて中断していた軍事交流を再開させるなど、中国政府は胡主席訪米を成功させるために事前に友好ムードを懸命につくり出そうとしている。しかし、中国国内の対米世論は依然として厳しく、米国との妥協に反対する保守派や軍関係者からは「米国に無条件降伏するのか」といった批判も出ている。
消えた米国批判記事
中国共産党の機関紙人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」は1月になってから、連日のように一面トップで米中関係の重要性を強調する記事を掲載している。「良好な中米関係は両国人民にとっての共同利益ではなく、地域と世界の平和発展にも利する」といった内容がほとんどで、昨年秋まで環球時報が繰り返し掲載していた「米国が中国を封じ込もうとしている」といった米国批判の記事は全く見かけられなくなった。
10日から始まったゲーツ国防長官の訪中については、中国各メディアは「中米軍事交流の氷を砕く旅」と言った表現で大きく取り上げた。ゲーツ長官が梁光烈(りょうこうれつ)国防相(70)に語った「各レベルの絶え間ない交流と協力は両国の共通利益に符合する」との言葉を見出しにとって報道する中国紙もあった。こうした“対米友好”的な報道姿勢には、メディアを統制する共産党宣伝部の意向が強く反映しているとみられる。米中関係の修復をアピールすることで、国内で高まっている反米世論を緩和させる狙いがある。
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