2011年1月21日20時14分
福岡県久留米市で5歳の女児が母親に虐待され死亡したとされる事件で、傷害致死罪に問われた母親の江頭順子被告(34)の裁判員裁判の判決公判が21日、福岡地裁であった。野島秀夫裁判長は「大きな苦痛や危険を与える陰湿ないたぶり行為で、日常的な虐待の末の犯行だった」と述べて懲役6年(求刑懲役10年)を言い渡した。
判決によると、江頭被告は昨年6月27日、自宅で長女萌音(もね)ちゃんの体にペットボトルなどを入れたリュックサック(約6.8キロ)を掛け、手首を金属製の棚に縛るなどして放置。苦しさから背中や胸を棚などに打ちつけた萌音ちゃんを心臓挫傷で死亡させた。検察側は公判で、江頭被告が萌音ちゃんを洗濯機に入れて回すなどの虐待を繰り返していたと指摘していた。
公判では、「虐待を助長、容認していた」と弁護側が主張した友人女性の影響をどう判断するかが量刑上の争点だった。判決は、被告が「友人から虐待の内容を示唆された」と供述し、友人も虐待を知っていたと証言したことなどから、周囲から孤立して友人への依存を深めた被告が、友人に嫌われたくないために、友人になつかない萌音ちゃんの態度を改めさせようと虐待したと認定。「友人の適切ではない言動もあり、虐待をエスカレートさせた」と指摘した。それでも犯行は被告自身の判断だったとして、責任は大きく減らないと判断した。
一方、被告が犯行後に自殺を図ったことや虐待の内容を詳しく述べたことから「後悔と反省は深い」と認めた。