米国:目玉は電子書籍端末…年末商戦始まる

2010年11月27日 20時35分 更新:11月27日 21時16分

 【ワシントン斉藤信宏】米国経済にとっての一大イベント「年末商戦」が、26日から本格的に始まった。景気、雇用の回復が遅れる中、年間小売売上高の3~4割が集中する商戦に、例年以上に期待が高まっている。

 米国では、感謝祭翌日の金曜日(今年は26日)から年末セールが始まる。小売店が軒並み黒字になることから、「ブラックフライデー」と呼ばれる一大イベントだ。

 今年最大の目玉商品は電子書籍端末。アップル社の「iPad(アイパッド)」発売や、アマゾン・ドット・コムの「キンドル」値下げなどで、端末の売り上げは飛躍的に伸び、米民間調査会社フォレスター・リサーチによると、端末はすでに米国内で累計900万台を販売。同社のアナリストは「年内に普及台数が1000万台の大台を超えることはほぼ確実」と予想する。

 米紙ニューヨーク・タイムズは年末商戦について「高齢の両親に恋愛小説や推理小説の書籍をプレゼントしてきた息子や娘たちが、今年のクリスマスには一斉に電子書籍を贈るだろう」と予測。持ち運びが便利で、字の大きさを変えられる電子書籍端末が高齢者に広く普及する可能性を指摘した。端末価格も、アイパッドの450ドル超以外は、キンドルは最も安い機種で139ドル、ソニーの「リーダー」は179ドル、米大手書店バーンズ・アンド・ノーブルの「ヌーク」も200ドル台とクリスマスプレゼントとして手ごろな水準だ。

 買い物好きな国民性がある米国では、最近消費者の「買い控え疲れ」が指摘されている。10月の小売売上高は前月比1.2%増と4カ月連続のプラスで、増加幅は7カ月ぶりの大きさとなった。「消費者は依然として慎重だが、魅力ある商品が並べば年末商戦の行方は期待以上になる可能性もある」(米大手家電販売ベストバイのダン最高経営責任者)との見方も増えており、米国内の消費全体を占う上でも電子書籍端末の売れ行きに注目が集まっている。

top

PR情報

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド