2010年11月26日 21時49分
京都府向日市の倉庫会社を60歳で定年退職後に継続雇用された大津市の男性(62)が、1年での雇用打ち切りを不服として地位確認と未払い賃金の支払いを求めた訴訟の判決が26日、京都地裁であった。大島真一裁判官は「雇用継続への期待には合理性があり、雇い止めは解雇権の乱用に当たる」と述べ、請求を認めた。男性の代理人弁護士は、再雇用後の雇い止めを巡る訴訟で「期待権」を認めた初の判決としている。
判決によると、65歳までの雇用確保に努めるよう義務付けた06年施行の改正高齢者雇用安定法を受け、同社は08年2月に就業規則を改定。体力面など一定の条件を満たせば再雇用後も契約更新することにした。しかし同年6月に再雇用された男性は業績不振を理由に1年で打ち切られた。
大島裁判官は、同社が他の再雇用者の契約は更新していることなどから「雇い止めを回避する努力を尽くしたとは言えない」と判断。更に男性が定年まで勤め上げたことを踏まえ「再雇用は実質的に期間の定めのない雇用契約に類似する」と述べた。【古屋敷尚子】