同じ答えではない
アニメーターの宮本貞雄(73)はディズニー社のアニメ製作に携わり活躍する日本人のうちの1人。この度、講演の中で宮本は、アニメの本質を語った。
講演した場所はデジタルハリウッド大学。宮本は、手塚治虫が設立した虫プロダクションで『鉄腕アトム』、『リボンの騎士』といったアニメ作品にかかわり、精巧な作画技術で知られた日本でも有数のアニメーターだ。「毎晩模写していた」と語る通り、一時も練習の手を休めなかったとの事。大量に図鑑をそろえ、動物園にも通う。外見だけでなく、筋肉や骨格まで想定してスケッチしながら、アニメのようなキャラクターに近づけていく。
「必要なのは審美眼。この動物の一番いいところを発見すること」。そうやって描かれた絵は、ただうまいだけでなく、躍動感があるという。ディズニー映画『ピーターパン』に感動して50歳を過ぎ渡米、ディズニー社は宮本の絵を見て即座に彼の採用を決めた。「誰もが同じこたえでは面白くない。自分流に咀嚼(そしゃく)して、仕上げていかないといけない」と、宮本は語る。