【社説】ソマリア海賊の報復に備えよ

 ソマリア海賊のスポークスマンはロイター通信とのインタビューに応じ、「(今後)韓国船舶や船員を乗っ取った場合には身代金を要求せず、乗組員を殺害する」と語ったという。ロイター通信が23日付で報じた。金目当てに行動する海賊の言葉をそのまま信じるわけにはいかないが、ソマリア海賊が報復を目的に韓国船舶を攻撃する可能性も完全には排除できなくなったわけだ。そのため今回の事件では、たとえ広報目的とはいえ、清海部隊による作戦の内容をあまりにも詳しく報じたのではないかという心配の思いも禁じ得ない。例えば駆逐艦「崔瑩」はサムホジュエリー号を追う際に砲撃を行って海賊を疲労させたとか、救出作戦にあたっては相手の通信用アンテナをまず破壊し、海賊が本部と連絡できないようにしたといった報道など、これらは海賊たちに今後の対応方法を教えたようなものだ。

 韓国が海外との交易を行う際、取引される物資の29%はこの海域を通過する。2009年3月から2010年10月までの間にこの海域を航行した韓国籍の船舶、あるいは韓国人が乗組員に含まれていた船舶は925隻あったが、その中で清海部隊の護衛を受けたのはその13%にあたる120隻に過ぎなかった。しかもソマリア海賊は活動の範囲をインド洋全域にまで拡大している。

 現在、韓国海軍はこの海域に4500トン級の駆逐艦「崔瑩」1隻しか派遣していない。中国は3隻、日本とタイは2隻の駆逐艦(護衛鑑)を現地に送っている。海軍によると、派遣される駆逐艦は6カ月ごとに交代しているが、それに伴う移動、整備、教育などに必要な期間やプロセスを考慮した場合、海軍が保有する6隻の駆逐艦のうち、3隻がこの任務に当たらなければならないという。そうであればこの際、戦力増強計画を予定よりも前倒しし、海軍艦艇を拡充して駆逐艦を追加派遣する方法も研究すべきだろう。

 インドネシアとマレーシアの間にあるマラッカ海峡では、2006年に締結されたアジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)に基づき、韓国を含む16の加盟国が海賊関連情報を共有し、周辺国の艦艇が直ちに出動できるシステムが整えられている。そのためこの協定が発効してからは、海賊行為は目に見えて減少した。ソマリアでも40カ国以上から派遣された50隻以上の海軍艦艇が、連合海軍司令部による指揮の下で活動しているが、各国は自国の船舶を保護するのに忙しいのが実情だ。国連加盟国を中心に連合艦隊を立ち上げ、各国の商船は10隻から20隻のグループ単位で航行し、それをこの連合艦隊が護衛するという形にすることも、検討に値するかも知れない。

 国家が民間商船の運航を100%保護することは現実的に不可能なだけに、船舶もある程度の自衛手段を持つことは緊急の課題だ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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