【記者手帳】文字の専門家がいない扁額制作委員会

 文化財庁が24日、ひび割れた光化門の扁額を作り直すための「扁額制作委員会」を発足させ、26日午前にも第1回会議を開催すると発表した。同委は、伝統建築施工、韓国建築史、木材組織、木材乾燥分野の専門家や文化財修理技能長など12人で構成される。今後、同委が木材の購入や乾燥、刻字など、扁額制作過程の全般にわたり、指導、諮問、点検を行う予定だ、というのが文化財庁の説明だ。

 昨年8月15日に光化門が復元されてから3カ月もたたない11月初め、新たな扁額にひびが入り、12月末に文化財庁が光化門の扁額を取り換えることを決めたとき、この機会に文字も変えようという声があちこちから上がった。文化財の専門家はもちろん、多くの国民も「今の文字は躍動感がなく、朝鮮王朝正宮の威厳にもふさわしくない」とし、変更を主張した。変えるとしたら、どのような代案がよいかについても多様な意見が相次いだ。国民は扁額制作委員会で文字の問題を積極的に論議することを期待していた。

 しかし、文化財庁がこの日発表した委員の名簿を見ると、このような期待は完全に外れた。扁額の制作を技術的に論じる専門家が集まっただけで、国民のさまざまな世論を反映するような文化財専門家はもちろん、文字の専門家が一人も含まれていない。木のせいで扁額を作り直さなくてはいけなくなったため、今回はまともな木をよく乾燥させて問題が起きないようにしようという「応急手当て式の処方」が読み取れる。文化財庁の関係者は「委員会は技術的な問題を扱う諮問会議の性格を持っており、文字の問題まで論じるのは難しいだろう」と話した。

 文化財庁が光化門の管理主体だということは明らかだが、すべての決定権を持っているわけではない。光化門は国民のものであり、復元された光化門は21世紀の韓国を代表する文化の象徴でなくてはならない。この機会に論議の場を大きく広げて扁額に関する意見を積極的に集め、国民に愛され、後世の人々にも堂々とした姿を見せられる扁額を作るべきだ。それが、ひび割れた光化門の扁額を見て、心までひび割れた国民の自尊心を再び奮い立たせる道だ。

許允僖(ホ・ユンヒ)文化部記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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