韓国でも増えるニート(下)

【失われた20年、日本に学ぶ】

 昨年8月にソウル近郊の4年生大学を卒業したソ・ジョンヒさん(23)は、在学中にLG電子とサムスン電子に願書を提出した以外は、就職活動を行っていない。ソさんは、「就職に有利と思って経済学を専攻したが、成績があまり良くなかった(4.5満点の3.3点)。自分よりも成績が優秀で英語もできる人でさえ就職に失敗していることから、就職活動に対する意欲がなくなった」と語る。

 ソさんは現在、インターネット上で衣料品を販売するサイトの広告モデルと家庭教師のアルバイトをしながら、毎月170万ウォン(約12万4000円)を稼いでいる。これでワンルームマンションの家賃40万ウォン(約2万9000円)を払うなどして生活している。

 「大企業の正社員になった友人を見ると、少しうらやましいと思うときもあるが、仕事はとても大変そうだ。以前、一緒に飲みに行ったときも、友人は次の日朝早く仕事に出掛けて行った。大企業に就職しても、給料は毎月200万ウォン(約14万6000円)ほどしかもらえないという。それならストレスを感じながら仕事をするよりも、むしろ楽な気持ちで生活した方がましだ」

 韓国雇用情報院進路教育センターのチョン・ヨンスン・センター長は、ソさんのような若者を「進路未成熟型の失業者」に分類している。彼らは、「専門職や正社員になりたい」という漠然とした願望があるだけで、歯を食いしばって実力を高めたいという思いも、苦労して組織の一員として生き抜く覚悟もできていないという。そのため当然、失業期間も長期化する。

 問題は、「時間が過ぎても意欲を取り戻すことがない」という点だ。チョン・センター長は、「日本のニートは、自分の部屋にこもる“引きこもり型”が多いことから分かるように、個人の心理的な問題を抱えているケースが多い。一方で韓国のニートは、就職難という現実と、自分の望みとの格差が非常に大きい故に挫折するケースが多い」と述べた。

 全国白手連帯のチュ代表は、「若年失業は個人の責任というよりは、社会の構造的な要因が大きいが、国の予算ですべて責任をとることができる問題でもない。かといって非正規職をなくすのは現実的に不可能だ」と語る。2000年代に入って、日本では「下流指向」という時事用語が登場した。目標もなく単調な日々を過ごす若者を指す言葉だ。チュ代表は、「韓国もすでに日本型若年失業の軌道に乗りつつある」と述べた。

ニートとは

 義務教育を終えた後も就職せず、学校にも行かず、職業訓練も受けない若者のことを指す。1990年代に英国政府が考案した統計用語だが、日本では働く意欲を失った若者を指す用語として定着した。神戸女学院大学の内田樹教授は、「欧州のニートは、社会的な上昇志向はあっても機会がないため挫折した若者が多いが、日本のニートは、上昇のチャンスがあっても自らそれを放棄するケースが多い」と指摘する。

ソ・ジョンヒさんは昨年8月に大学を卒業後、オンラインショッピングの広告モデルなどのアルバイトをしながら生活している。自宅を出て、アルバイト先に向かうソさん。/写真=オ・ジョンチャン記者

金秀恵(キム・スヘ)記者

郭彰烈(クァク・チャンリョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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