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高校無償化」 大学教授ら要請書

手続き「停止」撤回、謝罪を要求

 日本の大学教授ら18氏は、24日、朝鮮学校への「高校無償化」の即時適用を求め、菅直人首相、高木義明文科相、枝野幸男官房長官宛てに要請書を送付した。

 要請は、朝鮮学校に対する「無償化」制度申請の手続き「停止」を一刻も早く撤回し、制度を速やかに適用するとともに、情勢に流され朝鮮学校の生徒や関係者を翻弄してきたことに対する謝罪を要求すると指摘した。

要請書全文

 本年1月17日付で、学校法人・東京朝鮮学園が高木義明文部科学相に対し、「就学支援金の支給対象校に指定しないのは行政の不作為に当たる」として、行政不服審査法に基づく異議申し立てをしました。わたしたちは、日本政府に対し、このたびの朝鮮学校による異議申し立てに真摯に対応し、手続き「停止」という措置を一刻も早く解除し、昨年4月に遡って支給できるように即刻「高校無償化」制度を適用すること、さらにその時々の情勢に流され朝鮮学校の生徒や関係者を翻弄してきたことに対して謝罪することを要求します。

 新聞報道によれば、文部科学省は、朝鮮学校と同じ規程に則って同時期に適用を申請した横浜市内のインターナショナルスクール1校については、手続きを進めているとのことです。これにより、朝鮮学校に関してのみ手続きを「停止」している現状は、「外交上の配慮などにより判断すべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断すべき」としてきた従来の政府方針に矛盾するものであることが、明確になりました。文部科学大臣が規程を公示して間もなく手続きを「停止」するという措置は、恣意的な権力の行使にほかならず、遅滞なき審査を定めた行政手続法・第7条にも違反しています。

 政府のこうした姿勢は、地方自治体による朝鮮学校への教育助成にも負の影響を及ぼしています。東京都は昨年12月、「政府が朝鮮学校の高校授業料無償化の運用手続きを停止するなど今後が不透明」という理由を挙げて、朝鮮学校への補助金の支出を当面中止する方針を固めたと発表しました。他にも支出を「留保」するなどの措置をとっている自治体がありますが、日本政府が朝鮮学校を「高校無償化」の対象とするかどうかの判断を留保しつづけていることが、そうした動きに拍車をかけてきたのです。これはまさに政府こぞっての朝鮮学校への迫害に他なりません。昨春から揺れ動く政策に翻弄され続け、その都度メディアや政治家などにバッシングされてきた朝鮮学校の生徒と関係者の精神的苦痛を少しでも想像したことがあるでしょうか。

 私たちは日本政府に対し、直ちに手続きの「停止」を撤回し、「高校無償化」制度を速やかに適用すると共に、朝鮮学校の生徒・関係者に謝罪することを要求します。

板垣竜太(同志社大学)、市野川容孝(東京大学)、鵜飼哲(一橋大学)、内海愛子(早稲田大学)、宇野田尚哉(大阪大学)、河かおる(滋賀県立大学)、駒込武(京都大学)、坂元ひろ子(一橋大学)、高橋哲哉(東京大学)、外村大(東京大学)、冨山一郎(大阪大学)、仲尾宏(京都造形芸術大学)、中野敏男(東京外国語大学)、藤永壮(大阪産業大学)、布袋敏博(早稲田大学)、水野直樹(京都大学)、三宅晶子(千葉大学)、米田俊彦(お茶の水女子大学)

[朝鮮新報 2011.1.24]